【独占】加藤綾子が“大好きな仕事”を休む理由「結婚して1年、ふたりの生活を見直さなきゃいけない」
今年9月30日『Live News イット!』(フジテレビ系)のメインキャスターを卒業し、一時休業に入ったフリーアナウンサーの加藤綾子。休業の理由や、仕事と家庭の両立などについて、本人を直撃した。
ニュース番組のメインキャスターと家庭の両立
――2019年から3年半メインキャスター務めていた『Live News イット!』をご卒業されました。しばらく休業に入られるそうですが、そう決めたのにはどんな思いがあるのでしょうか?
数年前から自分の生活にゆとりを持ちたい、しっかりと家族と向き合える時間が欲しいという思いがあったんです。
毎週月曜日から金曜日まで番組を担当させていただいて、少し前までは土曜日もバラエティ番組の収録があったので週6日の勤務でした。
毎日ご飯を作ったり、家事をすることが苦しいなと思い始め、家族と一緒に過ごす時間も限られてしまっていたんです。
私はアナウンサーという仕事が大好きなので、お仕事をいただけることはありがたいですし、できることなら続けたい気持ちはあります。
ただ、年齢を重ねるごとに体力的なつらさを感じることもあり、気持ちだけでは乗り切れなくなってきたという実感もありました。
――ニュース番組のメインキャスターとなると、仕事とプライベートの両立は難しそうですよね。
放送は夕方からですが、テレビ局にはお昼頃に入って、全体の打ち合わせをして、1日の全てのコーナーの流れを確認する作業を1時間半から2時間くらい行っています。
終わったら急いで着替えて、20分くらいでメイクを済ませて。それでもう本番15分前になる流れなので、ノンストップでパーっと過ぎていく時間なんです。
それを毎日続けているとかなりエネルギーを使うので、1日が終わると「はぁ、終わった~」ってクタクタになってしまって。
――体力はもちろん、1日中気を張っているので気持ちの面も大変そうです。プライベートに使える時間はどのくらいあったんですか?
取材が入らなければ午前中が空くので、そういう時間はジムでトレーニングをすることが多かったです。
8時過ぎに帰宅するとゆっくりと過ごす時間がなかなか取れなかったので、仕事が入らなければ土日に少しゆっくりできればいいなという感覚でした。
――自分以外の誰かと暮らすって慣れるまでに時間がかかりますよね。特に、結婚1年目はお互いの生活スタイルの違いを感じると思いますし。
一人暮らしの生活が長かったので、お風呂に入るタイミングさえ違いを感じましたね。
私は寝る前にお風呂に入ってゆっくりしてから髪を乾かして寝るパターンだったのですが、一緒に暮らす人がいると自分の好きなタイミングで入れるとは限らず、些細なことにも生活スタイルの違いを感じました。
結婚して1年経った今、そういうふたりで暮らすためのすり合わせにもようやく慣れてきたので、改めて生活リズムを見直さなきゃいけない時期でもあったのかなと思います。
フリーになっても大変
――2016年にフジテレビを退社し、フリーに転向。フリーになったことで自分のペースでお仕事ができるようになりましたか?
会社員時代はやはりお仕事を断りづらい立場ですし、当時は働き方改革もなかったので、来たものはできる限り受けていく環境だったんです。
でもフリーになってからは、事務所の方に相談すれば配慮してスケジュールを組んでくださるので、そういう面では自分のペースでできるようになったと思います。
ただ、フリーの生活に慣れる大変さもあり、自分がやりたいことや、自分の意思をハッキリ伝えなきゃいけない。それが最初は、なかなかできなかったですね。
――これはちょっと無理だなというのは?
例えば、インタビューをお受けすることもそうですね。ずっとお話を聞く側だったので、自分が何を話せば大丈夫なのかは常に心配しています。すごく話がつまらないんじゃないかとか(笑)。
周りの方々から『そのままでいいんですよ』と励ましていただいて、だんだんと慣れてはいるのですが、環境に慣れるまでに時間がかかってしまうんです。
――逆に、フリーだからこそ断れない部分もありますよね。
フリーになってから、私もそう思いました。自分のペースでできるといっても、お話をいただいたのに断るのはリスクがあるじゃないですか。
印象を悪くしてしまうかもしれない、次がこなくなってしまうかもしれないという不安や葛藤はもちろんあるので、そこのバランスが難しいですよね。
――ご結婚されるとき、仕事にも影響が出るかもしれないという不安は?
『イット!』の場合、夕方の放送になるので見てくださるのは家にいる奥様方が多いんです。だから、スタッフさんは『もし結婚したら奥様目線でも話せるようになるからありがたい』という感じでした。
ニュースでは結婚や出産、子供に関する問題も取り上げるので、経験することで説得力が変わると思いますし、視聴者の方々も違和感なく見られるようになるんじゃないでしょうか。
アナウンサーはこうしなきゃいけない
――女性だからこうしなきゃいけないとか、業界の中で男女の差を感じることはありましたか?
アナウンサーは男性より女性の方が多いので、男性の方が差を感じているかもしれません。特殊な世界ですよね。
女性だからというよりも、私はアナウンサーだからこうしなきゃいけないという意識が強かったです。だから、『イット!』に就かせてもらい、等身大で話せる場をいただいたことはすごく大きかったですね。
それまでは自分の意見を入れて話すことは失礼にあたる印象だったので、『このニュースについてどう思いますか?』と意見を求められても何を言っていいのかわからなかったんです。自分が無知すぎて、何を感じているかを言葉にできないというか……。
そこからどんなことに対しても自分はどう思うかを考え、一つのことでもいろいろな考え方があると知る努力をして、この3年半で価値観はだいぶ変わったなと思います。
――自分の意見を言える方が仕事としてはやりやすいですか?
アナウンサーは中立的な役割でやってきているので真ん中の意見しか言えず、『みんなそれぞれ意見が違いますよね』とまとめちゃう癖もありまして。
スタッフさんや共演者の方々が引き出してくださって、だんだん自分の意見を言うことに対する抵抗感はなくなってきました。やっと少しだけやりやすくなったという感じです。
それでもやはりこれまでの経験で身についているところもあるので、自分の意見として出すこと はまだまだ難しいですね。
――職業病みたいなものですかね。ところで、いつでも美しい加藤さんですが、キレイのために何かやっている美容法はありますか?
いや全然、むしろ化粧水と乳液といった最小限のスキンケアです。元々、アトピー性皮膚炎ですごく肌が弱く、小さい頃は食べられないものも多くて食事療法をしないといけないくらいでした。
今でも忙しくなると痒くなってしまうので、スキンケアはずっと同じものを使っていますね。あとは、顔をグリグリやってもらう『コルギ』が好きなので定期的に通っています。
休業直前におこなった本インタビュー、後半では結婚観や私生活についてさらに話を聞いてみた。
取材・文/釣本知子 撮影/中村和孝 スタイリング/岡田涼子 ヘア&メイク/野口由佳(ROI) 衣装クレジット/*ピンクワンピース (PAULE KA/アオイ 参考商品) *ピアス (AHKAH/AHKAH GINZA SIX店 \71,500円)