Coltテクノロジーサービスは10月4日、インターネット経由でのクラウド利用やSD-WANに最適化された、帯域保証型モバイルインターネット接続サービス「4G/5G Wireless Access」の発売を開始した。

同サービスはヨーロッパ、北米や中東、アフリカを含む世界約90カ国を対象に、有線通信との組み合わせによる冗長ソリューションなどワンストップで提供される。プランは「データ無制限・固定課金」と「データ制限有り・固定課金」の2つがあり、いずれも契約帯域の50%以上を保証する「帯域保証型」で、契約帯域は2Mbpsから数百Mbpsまでとなっている。

また、複数のSIMを用いて、プライマリー側のMNO事業者の障害やメンテナンスの際に、バックアップ側のMNO事業者に自動で切り替えて耐障害性を向上させる「キャリア冗長」を提供する。

そのほか、24時間365日で監視を行い、回線障害時の対応や顧客宅内のモバイルルータ故障時の現地交換、SLAも提供する。

Coltテクノロジーサービス IP Access 担当プロダクト・マネージャー 田中雄作氏は、モバイル通信をWAN回線として導入する企業が増加しており、新サービスはそうしたニーズに応えるものと述べた。

Coltテクノロジーサービス IP Access 担当プロダクト・マネージャー 田中雄作氏

具体的には、工場や工事現場など光ケーブル敷設が難しい場所、ポップアップストアやスタジアムといった短納期・短期間での利用などにおいて、WAN回線によるモバイル通信の導入が進んでいるという。

さらに、田中氏は「クラウドアクセス用インターネット回線における既存のモバイルサービスにはさまざまな課題がある」と指摘し、新サービスはそうした課題を解決すると述べた。同氏は既存のモバイルサービスが抱える課題として、以下を挙げた。

ベストエフォートのため、通信が安定しない時間帯がある

従量課金のため、月々の請求額が不明

データ量上限到達後に速度制限が発生(100kbps〜200kbps程度)

キャリアの障害発生時は通信が遮断

24時間365日の運用監視なし

ルータ故障時の現地故障交換対応なし

「IP Access 4G/5G Wireless Access」のユースケース

代表取締役社長兼アジア代表を務める星野真人氏からは、法人企業のネットワークの利用動向と事業戦略に関する説明がなされた。

Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長兼アジア代表 星野真人氏

星野氏は、法人企業のネットワークの利用動向の特徴として、「ネットワークトランスフォーメーション」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)とクラウドシフト」を挙げた。今年9月時点におけるColtインターネットバックボーンのトラフィックもクラウドサービスが47%の割合で、最も多くなっている。

ネットワークトランスフォーメーションとは、レガシーのWANサービスからSD-WANやSASEへのシフトを意味する。WANサービスでは、インターネットやクラウド向けのトラフィックの増加、パフォーマンスの体か、セキュリティ関連などのコストの増大といった課題が生じていることから、SD-WANやSASEへのシフトが起きているという。

また、DXが進む中で、既存のインフラのクラウド移行のほか、データアナリティクスなど新たなクラウドの利用形態が増えつつあり、「クラウドにデータを置くことで、アナリティクスが容易になるなどのメリットが生まれる。企業は、アナリティクスを活用することでビジネスをオプティマイズできる」と、星野氏は説明した。

同社はこうした企業のネットワーク利用のトレンドにあわせて、以下のようなソリューションを提供している。

ネットワークトランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションとクラウドシフトに向けて提供しているColtテクノロジーサービスのソリューション

「Colt IP Access」は多くのクラウドサービスプロバイダーやSASEプロバイダーとピアリングすることで、低遅延で快適なクラウドアクセスを提供している。148カ国をカバーしており、150社以上のプロバイダーと提携している。

星野氏は、「Colt IP Access」の特徴的な機能として、インターネットで利用した場合も通信を優先できる仕組み「IP Access Cloud Prioritisation(クラウドトラフィック優先オプション)」を紹介した。同機能は現在、マイクロソフトに対応しており、直接ピアリングしているので、インターネっトでも信頼性を確保できるという。同氏は同機能の対象を他のクラウドサービスプロバイダーにも拡張していく計画と話していた。