Dynabookから、スタンダードモバイルノートPC「dynabook S」シリーズの新モデル「dynabook S6/V」が登場。第12世代Intel Coreプロセッサ搭載による性能強化に加え、ボディも小型化され、モバイルノートPCとしての魅力が高まっている。

Dynabookの13.3型スタンダードモバイルノートPC「dynabook S6/V(P1S6VPES)」

○狭額ベゼル化でボディがよりコンパクトに

今回取り上げる「dynabook S6/V P1S6VPES」(以下、dynabook S6/V)は、学生やビジネスユーザーをターゲットとするスタンダードモバイルノートPC、dynabook Sシリーズの新モデルだ。価格はオープン、店頭予想価格は170,000円前後となっている。

大きな進化点となるのが、従来モデルと比べてボディが大幅にコンパクトになっている点だ。サイズは幅305.9×奥行き201.7×高さ15.95mmとなっており、これは従来モデルと比べると幅が10.1mm、奥行きが25.3mm、高さが3.95mmと、それぞれ短くなっている。

ディスプレイサイズは従来モデルと同じ13.3型だが、ベゼル幅がかなり狭くなったことで、ボディサイズを小型化。実際に従来モデルと並べて比較はできなかったが、これだけ小型化されると、見た目の印象もだいぶ変わるはずだ。

ディスプレイのベゼル幅がせばめられたことで、従来モデルから大幅なコンパクト化を実現。より携帯しやすくなった

天板はdynabookロゴがやや目立つが、シンプルでスタイリッシュ

本体正面

キーボードやタッチパッド、ボディには抗菌加工を施している。たとえば、学生は教室やゼミでPCを複数人でシェアする場面も多いと思うが、dynabook S6/Vはほぼボディ全体が抗菌加工となっているため、安心してシェアできるだろう。

重さは約1.21kgで、従来モデルと比べて約69g軽くなった。これもボディサイズの小型化が貢献していると考えられる。13型クラスのモバイルノートPCとしては特に軽いわけではないものの、小型化によってより軽快に持ち運べるようになった。

デザインは、dynabookシリーズとして標準的なものだ。ボディ素材にはアルミニウム合金を採用し、カラーはマット調のプレミアムシルバー。スタイリッシュな雰囲気を強く感じる。PCにも見た目を重視する人にとって、これは嬉しいポイントだ。個人的には、天板のdynabookロゴをもう少し控えめにしてほしかったが、全体的には落ち着いた印象で、学校やオフィスで悪目立ちすることもないだろう。

左側面。高さは15.95mmと、従来モデルから3.95mmも薄くなった

背面

右側面

底面

○第12世代Intel Coreプロセッサで性能強化

dynabook S6/Vの主な仕様は、以下にまとめたとおり。CPUには第12世代Intel Core i5-1235Uを採用し、優れた処理能力を発揮するPerformance-coreが2コア、高効率コアのEfficient-coreが8コアの、10コア12スレッド処理に対応した。マルチスレッド性能とともに、省電力性も高められている。

メモリは標準で8GB、内蔵ストレージは256GBのSSDを搭載。メモリと内蔵ストレージの容量はもう少し余裕があっても良かったように思うが、このクラスとしては標準的であり、納得できる。なお、直販モデルではCPUにCore i7-1255Uを選択したり、メモリを16GB、内蔵ストレージを最大1TBのSSDに強化したりできるので、より高スペックを必要とするなら直販モデルがおすすめだ。

■dynabook S6/V P1S6VPESの主な仕様

・CPU:Intel Core i5-1235U

・メモリ:8GB

・ストレージ:256GB SSD

・OS:Windows 11 Home 64bit

・ディスプレイ:13.3型、1,920×1,080ドット

・カメラ:約92万画素

・無線機能:Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.2

・生体認証:顔認証カメラ

・インタフェース:USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、ギガビットイーサネット、HDMI、microSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック

・本体/重さ:幅305.9×奥行き201.7×高さ15.95mm/約1.21kg

通信機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)準拠の無線LANと、Bluetooth 5.2を搭載。生体認証機能はディスプレイ上部にWindows Hello対応の顔認証カメラを備える。

左側面は、電源コネクタ、HDMI、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1

右側面は、microSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、ギガビットイーサネット。ポートの種類は豊富だ

側面のポート類は、左側面に電源コネクタ、HDMI、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1を、右側面にmicroSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、ギガビットイーサネットをそれぞれ用意。なかなか充実している。USB Type-CはThunderbolt 4対応ではないが、DisplayPort Alternate ModeやUSB PD準拠の電源入力に対応しているため、そこまで大きな不満はない。

オーディオ機能としては、マイク入力とスピーカー出力に対応するAIノイズ除去機能を装備。マイクで入力された音声や、スピーカーから再生される音声に対して、AI処理で雑音やバックグラウンドノイズ(サイレンなど)を低減し、人の声を聞きやすくする機能だ。近年はテレワークやリモート授業などでWeb会議システムを使う場面が増えているが、そういったとき大いに活躍してくれるだろう。

ディスプレイ上部にはWindows Hello対応顔認証カメラ。約92万画素Webカメラとしても利用できる

カメラにはプライバシーシャッターを搭載しており、不要なときはカメラを物理的に覆って無効化する

マイクで拾った音声からバックグラウンドノイズを除去し、声をクリアに相手に届けられる、AIノイズ除去機能

AIノイズ除去機能は、スピーカーから再生される音声にも適用可能。Web会議で役立つ

○13.3型フルHDディスプレイは標準的な表示能力を備える

ディスプレイは1,920×1,080ドット表示(フルHD)の13.3型液晶だ。パネルの種類は非公開だが、十分な視野角が確保されており、視点を移動させても発色や色合いが大きく変化することはない。そのうえで、ディスプレイのベゼル幅がせばめられたことで、従来モデルよりもスタイリッシュに感じる。

1,920×1,080ドット(フルHD)表示の13.3型液晶ディスプレイ。パネル表面は非光沢処理(ノングレア)となり、外光の映り込みはほとんど気にならない。快適な視認性が得られる

発色は、このクラスのモバイルノートPCとしては標準的な印象。表面が非光沢処理(ノングレア)なので、光沢液晶のような発色のビビッドさはないが、写真や動画の鑑賞にも十分だ。学生や一般ビジネス用途であれば、不満に感じることはないだろう。

ところで、dynabook S6/Vはディスプレイが180°開くとともに、Ctrl+Alt+[↑/↓]を押してワンタッチで画面表示を180°回転する機能を用意。複数人で画面を囲んで見る場合や対面プレゼンなど、ディスプレイを目一杯に開いてワンタッチで画面を回転できるのは、なかなか便利に使えそうだ。

光沢液晶のようなビビッドさはないが、発色は十分に鮮やか。写真のレタッチ作業なども問題ないだろう

ディスプレイは180°開く

付属の画面回転ユーティリティを利用して、Ctrl+Alt+[↑/↓]によってワンタッチで画面を180°回転できる

○標準的な配列で扱いやすいキーボード

キーボードは、アイソレーションタイプの日本語キーボード。主要キーのキーピッチは18.8mmと、フルピッチにはわずかに届いておらず、Enterキー付近など一部キーのピッチがやや狭くなっている。ただ、実際にタイピングしてみるとフルピッチのキーボードと比べて窮屈に感じることはなく、問題なくタッチタイプできた。

キーストロークは1.4mmを確保。打鍵感は標準的な固さでしっかりとしたクリック感があり、打ち心地は良好だ。クセのない配列と合わせて、なかなか快適に操作できる印象だ。なお、キーボードバックライトは搭載していない。

アイソレーションタイプの日本語キーボードは、標準的な配列でタッチタイプもやりやすい

主要キーのキーピッチは約18.8mm。フルピッチには届かないが、窮屈さはまったく感じない

キーストロークは約1.4mmで、固さは標準的、しっかりとしたクリック感によって良好な打鍵感だ

Enterキー付近の一部キーはピッチがやや狭くなっているが、慣れれば特に問題ない

ポインティングデバイスはクリックボタン一体型のタッチパッド。面積は特別広いわけではないが、必要十分なサイズだ。ジェスチャー操作も含めて、過不足ない操作性が確保されている。また、キーボードのホームポジションを中心として配置している点も、使い勝手を高めている要因だ。

クリックボタン一体型のタッチパッドはサイズも十分で、ジェスチャー機能も快適だ。キーボードのホームポジションを中心に搭載している点も、操作性を高めている

○メモリの仕様でCPU性能をフルに引き出せていない

では、ベンチマークテストから性能をチェックしていこう。まずはPCMark 10の結果だが、まずまずのスコアだ。とはいえ、やや伸び悩んでいるようにも見える。

要因となっているのがメモリの仕様だ。今回の試用機材はメモリを8GB搭載しているものの、実はシングルチャネル動作となっている。これによって、CPUやCPU内蔵グラフィックスの性能が最大限引き出せず、スコアが伸び悩んでいるのだろう。

いくつかのテストでは、十分にその実力を感じさせるスコアも得られているが、やはりCPU性能を最大限引き出す意味でも、メモリはデュアルチャネルで搭載してもらいたかった。

PCMark 10の結果。搭載メモリがシングルチャネル動作ということもあり、スコアが少々伸び悩んでいるようだ。できればメモリはデュアルチャネルで搭載してもらいたい

CINEBENCH R23の結果も同様だ。シングルコアの結果は申し分ないのだが、マルチコアの結果がもう一歩。使っていて特に不満は感じないとはいえ、性能を引き出せる余地があると考えると、もったいない気がする。

CINEBENCH R23の結果。こちらもスコアはもう少しという印象で、まだまだポテンシャルを備えているはずだ

そして、メモリ仕様の影響をもっとも受けているのが3DMarkの結果だ。

CPUの内蔵グラフィックス機能は、メモリのバンド幅による性能差が特に大きく現れるため、Wild Life、Time Spyともに低いスコアとなってしまった。もちろん、メモリを増設してデュアルチャネル動作にすると本来の性能が発揮され、スコアも大きく向上するはずだが、残念なことにdynabook S6/Vはユーザーが簡単にメモリを増設できる構造とはなっていない。そういった意味でも、メモリは標準でデュアルチャネル動作にしてもらいたかった。

Wild Life(画像上)とTime Spy(画像下)。メモリ仕様の影響を大きく受けており、スコアはかなり低い。メモリをデュアルチャネル動作にするだけでもっと良いスコアが出るはずで、この点は残念だ

最後に、バッテリ駆動時間だ。PCMark 10に用意されているバッテリテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用し、ディスプレイのバックライト輝度を50%で計測してみたところ、駆動時間は6時間23分だった。公称の駆動時間は約13.0時間となっているため、公称の半分ほど。

公称のバッテリ駆動時間は「JEITAバッテリ動作時間測定法Ver.2.0」という甘い条件での計測のため、実際の駆動時間はほぼ半分になると考えていい(大半のメーカーがこの測定法を採用している)。そういった意味では、スペックどおりの駆動時間と言っていいだろう。

とはいえ、もう少し長く使えてほしいのも事実。外出先で長時間利用する場合には、電源の確保や、大容量のモバイルバッテリを用意するといった対策が必要だろう。モバイルバッテリはUSB PD 65W出力に対応していると安心だが、経験上、30W出力や45W出力でも何とかなることが多い。

バッテリベンチマークの結果は6時間23分。最近のモバイルノートPCとしてはやや短いが、公称の駆動時間から考えるとまずまずの結果だ

○メモリを増量した直販モデルがおすすめ

dynabook S6/V P1S6VPESは、従来モデルと比較して大幅なボディの小型化を実現するとともに、第12世代Intel Coreプロセッサの採用で性能を強化。デザイン性も合わせて、スタンダードモバイルノートPCとしての魅力は高まっている。

全体的に見て飛び抜けた特徴があるわけではないが、本体サイズ、重さ、スペック面など、そつなくまとまったPCだ。学生やビジネスマンをターゲットとするスタンダードモバイルノートPCは競合製品も多く存在するが、価格をおさえるためにスペックに妥協しなければならない場合も少なくない。そういった部分があまり見当たらないのも、dynabook S6/V P1S6VPESの魅力だ。モバイルノートPCとしては安価な部類なので、コストパフォーマンスに優れるモバイルノートPCを探しているなら、選択肢として十分考慮に値するだろう。

唯一の弱点が、メモリを8GB搭載しつつもシングルチャネル動作となっている点だ。容量的には問題ないが、CPU性能を最大限引き出せないのは少々残念。そのため、予算に余裕があるなら、直販モデルでメモリを16GB以上に増設して購入することをおすすめしたい。