元ヤクルトの“常習賭博犯”にいじめ加害者も…「実力主義」が根強く残る韓国プロ野球の“旧体質”

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“エリート主義”の気質は変わっていなかった。少なくとも韓国プロ野球界ではだ。

【写真】元ヤクルトの韓国人投手、常習賭博容疑で懲役刑

韓国プロ野球では、“実力”優先主義を標榜する基調が依然として変わっていない。学生時代のいじめで懲戒を受けた選手がプロに指名され、韓国野球委員会(KBO)は賭博を日常的に行っていた選手をレジェンドに選定した。

そのいずれも、「実力が優れている」という理由からだった。

9月15日に行われた2023年KBO新人ドラフトで、斗山(トゥサン)ベアーズは高麗(コリョ)大学2年の投手キム・ユソン(20)を指名した。

キム・ユソンは元々、高校時代の2020年にNCダイノスから1次指名を受けていた。しかしその後、中学時代のいじめ加害の前歴が発覚したことで、NCとの契約交渉権を放棄されていた。

結局、プロに進めず大学へと進学したキム・ユソンだが、今年から新設された「アーリードラフト」制度を通じてプロに再挑戦し、今度は斗山から指名を獲得した。

なお、「アーリードラフト」とは4年制大学(3年制の韓国ゴルフ大学も含む)の選手が2年生からドラフト指名を受けられる制度のことだ。

「実力さえあれば選ぶ」韓国プロ野球の“エリート主義”

斗山のキム・テリョンGM(ゼネラルマネージャー)は、キム・ユソンの指名について「悩みが多かった」という。

また、「選手が反省していると聞いた。ひとまず選手本人と会って過去の事実を確認した後、どのように対応するか検討する」と伝えた。

学生時代のいじめの真相を把握した後、指名を撤回する可能性について問われると、キムGMは「深い内幕がわからないため、まだ考えていない。着実に解決したい」と言うにとどめた。

そもそも、プロ野球界ではドラフト前からどの球団がキム・ユソンを指名するかの攻防が繰り広げられていた。まるで“指名は当然”というような雰囲気だった。すぐに1軍でプレーして良いほど、キム・ユソンには実力があったからだ。

かつて東京ヤクルトスワローズでも活躍した元投手イム・チャンヨン(林昌勇/46)は、常習賭博や詐欺、税金滞納で物議を醸した。しかし9月19日、KBOの40周年を記念した「レジェンド40人」の1人に選ばれたことが発表されると、大衆は冷たい反応を見せた。

選んだKBOもこうした反応は事前に意識していたようだ。配布された報道資料では、「選手の屈曲も野球の歴史の一部であるため、順位と評価を記録として残すことにした」という一文が加えられていた。

ヤクルト時代のイム・チャンヨン

KBOはイム・チャンヨン以外にも、学生時代のいじめや飲酒運転の前歴があったパク・チョルスン(68)を「レジェンド40人」の一人に選び議論を呼んだ。

今回の選定作業はイベント性があったとはいえ、米メジャーリーグ(MLB)や日本プロ野球(NPB)のように「名誉の殿堂(野球殿堂)」を新設し、一つのブランドに作り上げる前哨でもあった。

しかし、「実力さえ優れていれば選ぶ」というような基調は、アメリカにも日本にもない。

アメリカの伝説的ホームランバッターであるバリー・ボンズ(58)や、サイ・ヤング賞7度の受賞歴のあるロジャー・クレメンス(60)は、薬物投薬疑惑もあってアメリカの野球殿堂入りに失敗した。

現役時代の決定的な投薬の証拠は発見されなかったが、アメリカの大衆や野球専門家、関係者は冷静に評価していた。

「我々はたとえ公人ではないが…」

 

このような議論はスポーツ不正行為の“概念的曖昧性”が一役買っている。

KBOが公式に発刊した「クリーン・ベースボール」ガイドブックによると、選手生活途中に学生時代のいじめの発覚や飲酒運転、賭博、性的暴行を犯した場合、どんな懲戒を受けるかが明示されているだけで、懲戒以後の事後措置については言及されていない。

懲戒以降のガイドラインが明確に設けられていないのは、有望な選手にもう一度チャンスを与えようという意図がある。

とはいえ、その譲歩はややもすると「懲戒を受ければ終わり」という免罪符になる余地もある。その結果が、今回のキム・ユソン、イム・チャンヨン、パク・チョルスンの事例なわけだ。

本紙『スポーツソウル』では以前、かつて千葉ロッテマリーンズや読売ジャイアンツ、オリックス・バファローズに在籍したイ・スンヨプ(46)に取材した際、「後輩選手に伝えたい言葉は何か」と質問したことがあった。そこで、イ・スンヨプは次のように語っていた。

「我々はたとえ公人ではないが、“有名人”として球場の内外で先輩たちの良くない先例を反面教師とし、模範になってよい人だということを多くの人に見せてほしい。それが低迷する韓国プロ野球の生きる道だ」

イ・スンヨプは、誰もが言うような「ミスを犯してもアスリートは実力で示せば良い」というありふれた言葉を言わなかった。代わりに、「良い人になろう」と伝えた。

“真の”レジェンドが伝えた言葉を、韓国プロ野球界はしっかりと受け止めて考える必要がある。