「周りの男が、俺の年収10倍だから…?」1カ月ぶりのデートで女にフラれた男の悲劇
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:交際1年半になる年収1,000万超えの彼氏が、結婚を決意してくれない…その理由とは?
恋というものは、始まりはいつも楽しいのに終わりは切ない。
「2022年もあと3ヶ月か〜。僕たちも、もうすぐ33歳だね」
彼女と久しぶりに会えるはずだったのに、珍しく「ご飯はナシで、お茶をしよう」と言われて、僕たちは土曜16時の混んでいる表参道のカフェにいた。
「人も増えてきたし、どこも混んでるね」
「涼ちゃん。私たち、終わりにしない?」
「え?」
この秋で、ちょうど香奈と出会って丸2年になるところだった。
僕の中では、結婚まで考えていた真剣な相手だった。たくさん愛したし、できる限りのことはしていた。
しかしそんな彼女から、僕は突然、別れを告げられたのだ。
Q1:女が男に期待していたコトは?
香奈と出会ったのは、大学のゼミ仲間の紹介だった。僕のゼミは学生時代から仲がよく、卒業後も定期的に集まっていた。
ゼミ仲間の一人である大地が、長年付き合っていた彼女と別れた僕を心配してくれて、香奈を紹介してくれたのだ。
「昔から涼太の元カノとかを見てきたけど、香奈ちゃんは、涼太が絶対に好きなタイプだと思う」
その予想通り、大地がセッティングしてくれた食事会の店・『韓国食堂 入ル 坂上ル』に現れた香奈は見事に僕のタイプだった。
「香奈です、初めまして」
小ぶりな鼻に、色素の薄くて大きな瞳。可愛いけれど、意志が強そうな雰囲気はたしかに僕の好みだった。
「涼太です。初めまして」
「涼太は僕の学生時代からの友人で。香奈ちゃんとはこの前知り合ったんだけど、お互い合いそうだなと思ってさ」
大地のおかげで、僕たちはすぐに打ち解けることができた。
「そっか。じゃあ香奈ちゃんは同じ歳なんだ」
「そうなんですよ。じゃあ敬語はナシでいいかな」
「うん、タメ語でいこう」
このお店の名物である「韓味一の参鶏湯」を食べながら、初対面なのに話が盛り上がり、以前からの知り合いのような気さえしてきた。
そして話はお互いの仕事のことになる。香奈は現在、渋谷にあるIT関連会社に勤めているという。
「涼太くんは?」
「僕は品川にある会社で、営業だよ。何の仕事をしているの?」
「私は今経営戦略課っていうところにいて。涼太くんは?」
「経営戦略課にいるの?すごいね!僕はしがない営業だよ」
「しがなくなんてないよ!私初対面の人と話したりするの苦手だから、営業できる人って本当に尊敬するんだ」
「そうなの?」
単純かもしれないけれど、香奈の言葉が嬉しかった。
「香奈ちゃんって、いいね。一緒に話していたら落ち着くし、ポジティブな気分になれるし…」
「明るさだけが取り柄だからね。でも涼太くんも優しいし、一緒にいると楽しいよ」
そんなことを言ってくれた香奈を好きになるのは、時間の問題だった。だから僕はこの次のデートで交際を申し込み、すぐに付き合うことになった。
「お互い良いパートナーでいようね」
「うん。よろしくお願いします」
実際に僕たちはお互いを支え合いながら、交際を続けてきたはずだった。
Q2:女が男と別れを決めた決定的な理由は?
コロナ禍で人と会う機会が減っていたこともあり、僕たちは頻繁にお互いの家を行き来していた。ただ香奈はいつも忙しそうで、僕のほうが家にいる時間が長かった。
「香奈、明日も遅いの?」
「そうだねぇ。会食が復活してきたからな…。明日は大手IT会社の代表との食事だから、結構遅くなるかもしれない。よく飲む人だし」
香奈から出てきたのは、僕が普段から著書やYouTubeを見ている有名な経営者の人だった。
「え!あの人とご飯なの?すごいじゃん」
「仕事だけどね」
「どうやってつながったの?すごくない?いいな〜うまくいったら僕にも紹介してほしい!営業聞いてくれるかな」
「どうだろうね。まぁ聞いてみるけど。ごめんね、忙しくて」
「何言ってるの(笑)。お互い仕事が忙しいのは良いことだし」
「涼くん、ありがとう」
そう言いながら、僕の腕の中にスッと入ってきた香奈がたまらなく愛おしかった。
そして不思議だったのが、香奈が家にいてもまったく嫌ではなかったことだ。
お互いリモートワークも増えて在宅時間が長くなったのにもかかわらず、むしろ一緒にいる時のほうが心地良かった。
「香奈、もう少ししたら将来のこと、ちゃんと話をさせてね」
「うん、ありがとう」
― たぶんこのまま結婚するんだろうな。
二人とも、そう思っていた。
ただコロナが明けるとともに香奈は目に見えて忙しくなっていった。
「香奈は、また今夜も有名社長と会食なの?」
「今日は違うよ〜」
「でも香奈の周りって、有名人多いよね」
交際してから気がついたけれど、香奈はとにかく顔が広かった。会食へ行くメンバーも錚々たる顔ぶれで、正直に言うと羨ましさもあった。
「香奈はいいな…。僕がどんなに頑張っても辿り着けないような人たちとすぐに会えるから」
「涼くんとは仕事のジャンルも違うからね。それに私が会っている人たちは仕事相手であって、別に飲み友達なわけではないし」
「それならいいんだけどさ」
男として、情けなくもある。香奈の周囲にいるのは、僕の10倍は稼いでいるような人たちばかりだったから。
「僕ももっと稼がないと」
「頑張っていれば、それでいいんだよ」
そう言ってくれる香奈を、僕は強く抱きしめた。
けれども気がつけば香奈は出世街道にのり、気がつけば子会社の立ち上げメンバーに選ばれていた。
「涼くん、聞いて!!!ついに自分のやりたかった事業ができるかもしれない」
ある日、目を輝かせてそう報告してくれた香奈。そんな香奈は輝いていて、眩しかったことを覚えている。
「そうなんだ。おめでとう」
「でもしばらく忙しくなるから、会える時間減っちゃうかも…」
「会える時間が減るのは構わないけど、香奈が遠くへいっちゃうのは寂しいな」
「どこにも行かないよ」
そう言っていた。
しかし香奈の言ったとおり、すぐに忙しくなった香奈と会える頻度が1週間に一度から2週間に一度になり、そして最後は1ヶ月ぶりの再会だった。
そして久しぶりの再会で、僕は別れを切り出されてしまった。
仕事が忙しすぎたのか、それとも僕より素敵な男性に出会ったのか…。
ただただ別れが悲しくて、僕はしばらくカフェで呆然としていた。
▶前回:交際1年半になる年収1,000万超えの彼氏が、結婚を決意してくれない…その理由とは?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女が交際中にずっと思っていた不満は?