乗り継ぎ先のポーランドのワルシャワ空港。レバンドフスキの母国だが、空港内ではあまりサッカーは感じられず【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

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【日本代表・取材記】ドイツはワクチン接種証明書がなくても入国が可能

 2022年9月20日、カタール・ワールドカップ(W杯)に臨む日本代表のメンバー決定前、最後の国際親善試合となるキリンチャレンジカップのアメリカ戦(23日)とエクアドル戦(27日)を取材するため、ドイツ・デュッセルドルフへ海外取材に出た。

 エクアドル戦終了後には、クウェートに向かい、8年ぶりのアジアカップ優勝を目指すフットサル日本代表の取材も行う予定だ。

 これまで海外には何度も行っているのだが、いつも出発当日までバタバタしている。特に現在は収束しつつあるとはいえ、コロナ禍の最中。ということで、普段とは異なる準備も求められることを分かっていたのに、すっかり忘れていたことがある。ワクチン接種証明書の準備だ。

 実は昨年の9月にもリトアニアで開催されたフットサルW杯リトアニア2021を取材していた。当時は現在と異なり、接種証明証のアプリもなく、書面でワクチン接種証明証を発行してもらっていた。

 3度目のワクチン接種をした証明書がないことに気づいたのが、出発目前の17日の朝で、この日はフットサル日本代表対ブラジル代表の取材のために愛知へ移動していた。おりしも3連休。役所が動くのは出発日である20日しかなかった。

 慌てて調べてみたところ、ドイツ、クウェートの両国とも、現在はワクチン接種証明書がなくても入国が可能ということで、取材自体は行えることに安堵した。とはいえ、リトアニアでは接種証明書を提示しなければ入れない施設もあり、帰国後も接種証明書があったほうが便利であるため、20日の朝一番で市役所に電話を入れた。

 前回、ワクチン接種証明書を作っていた時のデータが残っていたことが幸いし、厳重注意を受けつつ「特例として」出発に間に合う夕方までに発行してもらえた。台風のなか、市役所に自転車で2往復をするというバタバタがあったものの、これで準備万端となった。海外に行く人は、コロナ禍であることを忘れずに、早めに必要なものの確認と準備をしておこう。

成田空港からの飛行機では日本人以外のほとんどの人がマスクを外している状況

 今回のエアは日本からポーランドのワルシャワを経由して、デュッセルドルフへ行くというルートだった。成田空港から14時間かけてワルシャワに到着。飛行機に乗るまでは、全員がマスクを着けていたものの、飛行機では日本人以外はほとんどがマスクを外していた。ワルシャワ空港に到着後も、マスクをしている人は、10人に1人くらい。ほとんどの人がマスクはしないものの、マスクをしている人はしっかりしたマスクを着けているという印象を受けた。

 ワルシャワからデュッセルドルフへのフライトは、2時間ほど。ワルシャワに入る時点でEU圏に入っていたため、デュッセルドルフの空港では手荷物を受け取る以外に、何もチェックもなく、そのまま電車「S BURN」の乗り場へ向かう。日本では切符を買って、改札に入るのが一般的だが、ドイツでは改札がない。駅に到着すると、そのまま電車のところまで行けるようになっている。駅のホームにはチケット売り場があり、ここでチケットを買うのだが、ドイツに初めて来たうえに、ドイツ語も読めないため、何を買っていいのか分からず、結局、20分間隔の地下鉄を1本、見送ることとなった。

 困っているところ、日本人の団体が来たので教えを乞う。彼らも日本から到着したばかりで、デュッセルドルフで行われている世界的なガラスの展示会の仕事のために訪れたという。ホテルの値段が高騰していたのは、どうやらこのイベントのためのようだ。そして、彼らも日本代表とアメリカの試合を「ついでに」観戦する予定なのだという。

 何度かドイツに来たことがある人がいたこともあり、無事にチケットを入手。最寄り駅で降りて、地図アプリを頼りに初めての土地を歩く。ワルシャワを出発する時は、気温が7℃とされていたデュッセルドルフだが、日が昇り、多少は暖かくなったもののTシャツ1枚だったため、やや肌寒かった。それでも約1キロを歩き、ちょうど身体が温まった頃にホテルへ到着した。

ハードルの高いドイツ人「俺が何か喋って、仕事がなくなったらどうするんだ」

 午後からは、日本代表の練習に出発。どうやら場所は、デュッセルドルフが昔使っていたスタジアムのようだ。冒頭の15分間の公開時間の取材を終えると、取材陣は練習場の隣の駐車場で待機となる。その後、久しぶりのミックスゾーンでの対面取材。これまでコロナ禍のため、オンライン取材が続いていたこともあり、FW堂安律(フライブルク)は「ミックスゾーン、久しぶりだー」と第一声。DF吉田麻也(シャルケ)が来た時は、報道陣が質問を譲り合う形となり、無言の間が続き、「じゃあ」と立ち去ろうとする吉田を報道陣が引き留める場面もあった。少しずつではあるが、徐々にかつての日常が戻ってきていることを感じさせる場面だった。

 取材が終わってからは、ホテルへ戻り、写真の送付や原稿の執筆作業などを行う。移動の際に便利なのが、「FREE NOW」というアプリ。自分の居場所と目的地を入力すれば、近くにいるタクシーが来て、拾って乗せて行ってくれる。クレジットカードを登録しておけば、現金のやり取りなく降車が可能で、もちろん現金でのやり取りも可能だ。

 また、宿泊しているホテルが、たまたまデュッセルドルフを含めたかなり広域の公共施設の乗り放題チケットをくれるホテルだったため、バス、電車、地下鉄、路面電車にある程度、乗り放題だという。デュッセルドルフを訪れてホテルに宿泊する人は、そのようなものがないか、ホテルで確認するのもいいだろう。

 写真を送っている時に、夕食を食べに外に出かけた。町の小さな食堂という雰囲気の店では、太った店員が窯でピザを焼いていた。マルゲリータを1つとコーラを注文して、「サッカーは見るのか?」と聞くと、「いや、スポーツは追っていないんだ」と、答えられた。実は日本代表の練習場の警備員にも、ドイツ人のW杯予想などの話を聞こうと思い声をかけたが「俺が何かしゃべって、仕事がなくなったらどうするんだ」と、笑いながら断られてしまった。たまたまだろうが、ドイツ人、なかなかハードルが高い。(河合 拓 / Taku Kawai)