「紙工作を卒業するのに30年かかった」少年時代に断念したペーパークラフトに再び挑んだ背景を聞いた
Twitterユーザー、のとっちょ(@y_noto)さんは自身が制作した『紙工作ペーパークラフト入門』のペーパークラフトの画像を投稿したところ「懐かしい」という声が集まり、大きな話題になっている。
紙工作入門を卒業するのに三十年かかりました#多分私しかやってない https://t.co/hyIc0xZghu
— のとっちょ (@y_noto) 2022年8月26日
『紙工作ペーパークラフト入門』とは、小学館より1976年に刊行された『小学館入門百科シリーズ』の一冊。基本的には紙工作といった感じのシンプルで大胆な構造の展開図が多いが、最終ページの「D51 ホワイトモデル」だけは超高難易度を誇っている。
のとっちょさんは、2008年頃からペーパークラフトを本格的に制作し始めた。いくつかのキットを完成させた時に『紙工作ペーパークラフト入門』のことを思い出し、少年時代に断念した超高難易度の「D51 ホワイトモデル」の制作に挑んだという。
現時点での技術と使用できる道具(スキャナやプリンタ、デザインナイフ、合成ゴム接着剤など)を組み合わせた結果、見事に「D51 ホワイトモデル」は完成した。
のとっちょさん作の「D51 ホワイトモデル」を見たTwitterユーザーからは「素晴らしい!」「小学生の頃にこの本を買いました!」「私も死ぬまでには完成させたい」と称賛したり、懐古したりするコメントが相次いでいる。
『紙工作ペーパークラフト入門』に関する思い出や「D51 ホワイトモデル」の制作秘話について、のとっちょさんに話を聞いた。
『紙工作ペーパークラフト入門』との出会い
『紙工作ペーパークラフト入門』はいつ手に入れたのでしょうか?また、購入当時はどんなものを制作していましたか?
奥付に「初版第4刷 昭和53年」と記載してあり、記憶が正しければ、その頃に兄が両親に買ってもらっていたと思います。
複雑な構造の車や電車の展開図などは、ほとんど器用な兄にねだって作ってもらいましたね。私はかなり不器用なので、ごく単純な動物や昆虫を完成させることで精々でした。
「D51 ホワイトモデル」の制作はそこまで難しくなかった
D51の制作にはどの程度の期間がかかりましたか?
およそ丸一年の期間を要しましたね。
ただ、私は極端に気分にムラがあるタイプなんです。だから、一つの模型を数週間に渡って制作したあと、唐突に他の模型の制作に移るなど別の作業を進めている期間もありました。実際の制作期間はもっと短いかもしれません。
ご自身が制作してきたペーパークラフトの中で、今回のD51はどの程度の難易度でしょうか?
極端に細かい工作はなく、ちょうど良い難易度でした。普段私が作っている東欧紙模型の中では、やや簡単なぐらいのキットと同程度の難易度だと思います。
加えて、今回はスキャナで取り込んでプリントアウトして作成したことから、失敗してもいくらでもやり直せたり、当時の組み立て方にある「トレーシングペーパーを使って転写する」という手順も省けたりしたので、だいぶ楽でしたね。
制作において、特に苦労した工程はどこでしょうか?
細かいパーツの取り付け位置の指示がなく、いくつかのパーツは想像で取り付けたところですね。
また、普段作っているキットと違い、ホワイトモデルとして完成させるつもりだったので、汚れや接着剤のはみ出しには最善の注意を払いました。
クラフト制作の入り口になった一冊
この本はのとっちょさんにとってどんな存在でしょうか?
ペーパークラフトにとどまらず、あらゆるクラフトの入り口になりました。
本書では自分でペーパークラフトの設計を行うことも推奨されており、自作展開図に挑戦する一つのきっかけとなったかもしれません。
本当に多くの事を学ばせていただいた本ですので、今回多くの方に紙工作の良さを少しでも広めることができたのなら、わずかながらでも恩返しができたのかなと考えています。
少年時代の挫折に改めて向き合う姿勢とパワーに感服させられた。少年時代に諦めた経験がある方は大人になった今、再度挑戦してみてはいかが。
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