石岡北府中トランクルーム(画像: ストレージ王の発表資料より)

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 ストレージ王(東証グロース)。トランクルーム関連で2022年4月に上場した、株式市場のニューフェイス企業。

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 「トランクルームが増えている」という実感はある。が、市場規模などに関しての公のデータは、見当たらない。日本セルフストレージ協会からもその種の情報は発信されていない。ようやく辿り着いたのが、同業者:キュラーズ(非上場)が「継続した調査に基づく」として発表しているデータ。

 キュラーズは2001年創業。67施設(3万8000室)を展開している業界大手の一角。トランクルーム市場に関し2021年11月11日付けで、こんな調査結果・今後の予測を公にしている。

 『トランクルーム(屋内型・屋外型)の市場規模は、2008年比約2.4倍の670億円に拡大している。2026年には1000億円を超える可能性を秘めている』

 現状の市場が如何に広がっているかは、トランクルームの店舗数は1万1397店舗。比べて日本フードサービス協会調べの『ファミリーレストラン:1万305店舗』を上回っていることからもうかがえる。「活況」ゆえに新規業者・新規上場会社も増加・・・と受け止めてよいだろう。

 さて新規上場組のストレージ王だが、初の決算となる2023年1月期は「6.1%増収(32億5600万円)、24.8%の営業増益(1億9100万円)」計画。まだ第1四半期が開示されたばかりの段階だが、強気の姿勢を示している。

★トランクルーム需要は引き続き好調。ホテル案件など投資が難しい局面で、ボラティリティ(価格変動)の低いトランクルーム投資は不動産オーナーに適している。

★22年に入っても2月の八潮市(埼玉県)をはじめ3月に3物件、4月に3物件を開業した。4月の「ユーカリが丘」(千葉県佐倉市)は商業施設内への開業となる。

 ビジネスモデルは多くの業者同様に「オーナーからの不動産取得」「トランクルーム建設後売却」「運営管理の受託」。要は、物件数の増加がキャピタル・インカム両面の利益に跳ね返ってくる枠組み。今期末には稼働室数で1200室数超への増加が予定されている。

 「トランクルームとアパート・マンションを比較した場合の、不動産オーナー・運営管理会社の利便性」「リーズナブルな価格設定」「建築確認取得済みの建物の安心・安全性」「定期巡回・清掃等の徹底」「防犯カメラや空調整備によるリスクヘッジ体制」等をストレージ王も強調するが、要は、需要好調な環境下ではなされて当然の取り組み。ポイントはここからの店数・稼働室数の推移であることは、論を俟たない。

 荒川滋郎社長が指摘するように「日本の世帯別トランクルーム普及率は1%未満。米国等の約10%から大きく乖離している」。その差をどう埋めるのか。少子高齢化の進捗の中で「集合住宅」需要が高まり、結果「物を適宜なかたちで整理するトランクルーム」は伸長の“のり代”が十分に残されている。逆に言えば「戦国時代をどう勝ち抜けるか」だ。