L・マルティネスはサイズの部分でも注目集めている photo/Getty Images

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近年はDFもFWも190cm超えのプレイヤーが増えており、大きくてスピードもある選手が1つのトレンドになっている。そんな現代においては、今夏マンチェスター・ユナイテッドにやってきたアルゼンチン代表DFリサンドロ・マルティネスは珍しいタイプのセンターバックと言える。

アヤックスから加入したマルティネスはサイズが175cmとなっており、センターバックとしては小柄だ。それゆえにプレミアリーグで活躍できるのかと不安視する意見もあるが、22日のプレミアリーグ第3節リヴァプール戦では体を張った守備で相手の攻撃を1点に抑え、2-1の勝利に貢献。プレミアで戦える可能性を示すことになった。

確かに背の高いセンターバックの方が空中戦における安心感はある。しかし、180cm以下のセンターバックでも世界トップレベルのプレイヤーとして活躍した選手はいる。

英『FourFourTwo』がマルティネスのプレミア挑戦を機に振り返っているが、まず頭に思い浮かぶのはイタリアのレジェンドDFフランコ・バレージとバロンドールも獲得したファビオ・カンナバーロか。

2人とも身長は176cmとなっているが、超がつくワールドクラスのセンターバックだ。バレージは的確な判断力に加えて足下の技術が高く、カンナバーロは身体能力が高かった。自分より背の高いFW相手にも競り合う術を備えており、高さ不足がそこまで目立たなかった印象だ。

南米からはインテルで長く活躍した元コロンビア代表DFイバン・コルドバ、同じくインテルでもプレイしたチリ代表DFガリー・メデル、バルセロナでセンターバックにコンバートされた元アルゼンチン代表DFハビエル・マスチェラーノが挙げられる。

コルドバはサイドバックに入ることもあったが、基本はセンターバックだ。抜群の機動力を誇り、173cmのサイズながらインテルでは通算455試合に出場。名門インテルでこれほど長く活躍できるDFは特別だ。

特長的なのは、コルドバはインテルで、カンナバーロはイタリア代表で大型DFマルコ・マテラッツィとセンターバックコンビを組んでいたことがある。暴れん坊DFとしても有名なマテラッツィは193cmのサイズがあり、パワー勝負には絶対の自信を誇っていた。やはり小柄なセンターバックの相棒には空中戦を支配できる選手が必要なのだろう。マンUに移籍したマルティネスの場合、この役割を担うのはラファエル・ヴァランやハリー・マグワイアだ。

メデルはチリ代表独特の3バックシステムに合うセンターバックで、守備的MFに入ることもある。サイズは171cmとなっているが、守備力に合わせてビルドアップの出発点になることも求められてきた特殊なセンターバックと言える。

174cmのマスチェラーノは守備的MFを本職にしていたが、コルドバと同様にスピードがあった。そこでジェラール・ピケの相棒を任されることになり、ラインを高く設定するバルセロナの最終ライン裏スペースを自慢のスピードでカバーしていた。守備的MFもこなすIQの高い選手だ。

思えばバルセロナではカルレス・プジョルがレジェンドDFとなっているが、プジョルも178cmとそこまで背は高くない。プジョルの場合は対人戦に強さがあり、空中戦も苦にしていなかったのが特長的だ。

現代でも高い評価を得るリヴァプールのフィルジル・ファン・ダイクや今夏チェルシーへ加入したカリドゥ・クリバリのような大型センターバックと比較すると、マルティネスは15cmから20cmのサイズ差がある。ここは今季常に注目されていくだろうが、カンナバーロら偉大なる先輩たちと同じくトップクラスのセンターバックになれるか。