深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、北京漢儀創新科技(301270/深セン)が8月17日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2500万株を発行予定で、公募価格は25.68元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、北京漢儀創新科技(301270/深セン)が8月17日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2500万株を発行予定で、公募価格は25.68元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は1993年設立の民営企業で、2019年に株式会社化した。フォント設計、フォトライブラリーソフトウェアの開発、ライセンス付与、関連技術サービス、ビジュアル設計サービスなどを主業務としている。これまでに「漢儀菱心体」、「漢儀旗黒」など中国語フォントを中心に1700あまりのフォントライブラリを開発しており、企業の宣伝、印刷出版、商業広告、インターネットプラットフォームなどで広く利用されている。騰訊、淘宝、京東、華為技術、美的集団、コカ・コーラ、フォルクスワーゲンなどの多くの国内外著名企業が同社のフォントを利用している。
 
 21年12月期における売上構成は、フォントライブラリのライセンス業務が66.81%、インターネットプラットフォームのライセンス業務が25.32%、フォントライブラリ技術サービスが5.42%となっている。
 
 中国の出版・印刷市場規模は2009年の1兆341億元から21年には1兆6776億元と年平均4.11%のペースで増加している、中でも電子出版市場規模の成長が著しく、14年の28億6000万元から19年には52億8000万元と、年平均13.05%のペースで増加した。また、広告業界の市場規模も13年の5019億元から20年には9143億元と年平均8.94%のペースで増加した。経済の発展、消費レベルの向上、知的財産権に対する関心の高まりによって、企業や政府機関等によるフォント需要も拡大、ロゴや各種宣伝素材、製品の包装などに、より視覚効果の高いフォントを選び採用するようになっている。
 
 同社は約30年にわたりフォント業界に携わっており、フォントの設計、技術開発で豊かな経験を持つとともに、高いブランド力を備えていること、中国国内のフォント企業では方正字庫とともに業界をリードする地位にあること、フォント製品のラインナップが充実していること、企業・機関向けから個人向けまで多様化したブランドシリーズを持ち、多くの顧客層をカバーしていることなどを強みとする一方で、米国のモノタイプ、日本のモリサワなど世界の大手ブランドに比べると経営規模が非常に小さく、市場シェアも少ないことなどがボトルネックとなっている。
 
 また、知的財産権が十分に保護されず、フォントを盗用、模倣される可能性があること、大きな収入源となってきた騰訊のSNSプラットフォームQQにおいてユーザーの嗜好に変化が生じ、デコレーションフォントの売上が減少し続けていること、研究開発を進めている文字認識などの人工知能分野を産業化する上で騰訊などのIT大手企業との競争が不可避であることなどの経営リスクが存在する。
 
 2021年12月期の売上高は2億1975万元(前期比11.29%増)、純利益は6669万元(約40.15%増)。22年1〜6月期の売上高は9808万元(前年同期比3.63%増)、純利益は2586万元(同5.04%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)