上海証券取引所の科創板への上場を目指している、貴州振華風光半導体(688439/上海)が8月17日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。5000万株を発行予定で、公募価格は66.99元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 上海証券取引所の科創板への上場を目指している、貴州振華風光半導体(688439/上海)が8月17日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。5000万株を発行予定で、公募価格は66.99元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2005年設立の国有企業で、21年に株式会社化した。信頼性の高い集積回路(IC)の設計、実装、テストおよび販売を主業務としており、シグナルチェーンやパワーマネージャーなどが主要製品。パワーマネージャーは160以上の型式を持ち、機載、弾載、艦載、車載など幅広い分野の武器装備に用いられており、全温度環境対応で長寿命、耐腐食性、抗放射線、抗衝撃などの性能を確保している。顧客は中国の華東、華北、西南、西北地域の航空、宇宙、兵器、船舶、電子、原子力工業など400社あまりにのぼり、中航工業集団、航天科技集団、兵器集団など軍事関連工業グループの関連企業、研究所を含んでいる。売上構成は、シグナルチェーン製品が約80%、パワーマネージャーが約10%だ。

 中国のアナログIC市場規模は2016年の1995億元から20年には2504億元に到達、年平均5.85%のペースで成長した。25年には3340億元にまで拡大すると予測されている。また、中国の国防予算は年々増加し、10年の5191億元から21年には1兆3553億元にまで拡大した。その中で軍事電子産業がますます重要な役割を担うようになっており、市場規模は21年の3508億元から25年には5012億元にまで拡大する見込みだ。さらに、中国では18年に国際貿易摩擦が激化して以降、半導体を含む重要製品の国産化を国家政策として進めており、関連産業は政府の助成を背景に成長を続けている。同社を取り巻く市場環境は良好と言えそうだ。
 
 同社は増幅器、シャフト転換機などの製品設計、実装、テスト技術を中心に高い技術力、研究開発力を持っていること、航空宇宙、軍事分野を中心に豊富な顧客リソースを持っていること、製品のラインナップが幅広いこと、軍の品質管理体系に沿った信頼性の高い製品といった強みを持つ。一方で、資金調達の手段が限られていること、本社が経済の発展していない貴州省貴陽市にあり、地域にIC関連の研究機関も不足していて産学研究協力が難しいことなどがボトルネックとなっている。また、少数の顧客に売上が大きく集中していること、少数のサプライヤーに材料調達を依存していること、今後軍事分野事業に参入する資格が失われる可能性があることなどの経営上のリスクが存在する。
 
 2021年12月期の売上高は5億232万元(前期比38.97%増)、純利益は1億8765万元(同77.43%増)。22年1〜6月期の売上高は4億60万元(前年同期比49.67%増)、純利益は1億9398万元(同65.48%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)