オリックス・山本由伸(左)とソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史、藤浦一都】

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山本、佐々木朗、千賀…パの奪三振マシンたちは何を武器にしている?

「Monday パ」では、1軍公式戦が行われないことの多い月曜日でも、皆さまにパ・リーグを楽しんでもらえるよう、パ・リーグの旬な情報を配信していく。8月第3月曜日は、奪三振にフォーカス。パの“ドクターK”たちが投じるウイニングショットを特集する。

 まず、現在のパ・リーグ奪三振トップ3を紹介したい。(14日までの投球回数と奪三振)

1位 山本由伸(オリックス)138回、146奪三振=今季投球成績 19試合10勝5敗、防御率1.70
2位 佐々木朗希(ロッテ)96回1/3、139奪三振
3位 千賀滉大(ソフトバンク)105回1/3、115奪三振

 オリックスの山本由伸投手は、今季も勝利数、防御率など数々の投手タイトルでトップを独占している。奪三振数もリーグトップで、1試合あたりに奪う三振の数も9.52個と、規定投球回到達者の中でリーグ2位の成績だ。ストレートとスプリットが投球のおよそ7割を占め、その他3割は、ブレーキのかかったカーブ、細かく曲がるカットボールやシュート、キレの良いスライダーなど、多彩な変化球を操る。

 さらに“ウイニングショット”の投球割合を見ると、最も三振を奪った球種はストレートで33%。次に多いのはカーブの30.1%となっている。スプリットも28.8%でこの後につけ、この3球種で奪三振の9割以上を占める。一つ一つの変化球のクオリティも高いが、1試合の与四球平均が2.15個とそれらを自在に操るコントロールも持ち合わせており、山本を攻略する難しさを物語っている。

「令和の怪物」が投げるのは、“わかっていても打てない”2つの球種

 ペナントレースではここ3試合勝利がない佐々木朗希投手(ロッテ)は、序盤は圧倒的な数字で奪三振を重ねていた。球種別の割合を見ると最速164キロを記録するストレートが57%、次いでフォークボールは33%と、この2つが軸と言える。

 追い込んでからの勝負球でも、佐々木朗が用いる球種は主にこの2つ。しかし、その割合は見事に逆転している。ストレートは35.3%であるのに対し、150キロに迫るまさに異次元のフォークの割合が60.4%。パの強打者たちを翻ろうしてきた。

 カウントをつくる球も、勝負球もこの2球種を軸としている。「令和の怪物」と言われるゆえんも、この“わかっていても打てない”を文字通り体現している投球にもあるのだろう。

 千賀滉大投手(ソフトバンク)は1軍のマウンドに立ってから11年目、9イニングあたりの奪三振数を表す“奪三振率”が通算でも10を超える。最速164キロとこちらも球界トップクラスのスピードボールを投じ、「おばけフォーク」と言われるほど落差がすさまじいフォークも持ち合わせる。

フォークを武器にする佐々木朗と千賀の違いを探してみると

 この点に関しては佐々木朗と近い一方で、千賀はカットボールやツーシームなどいわゆる“動く球”も持ち合わせており投球の幅がさらに広い。そんな千賀投手のウイニングショットは言うまでもなく「おばけフォーク」だ。今季奪った三振の実に53%はこのフォークボールで決めており、ストレートの24.3%と合わせ、8割近くをこの2球種で占めている。他にも、カットボールで12.2%の三振を奪っており、打者は追い込まれるとあらゆる球種を想定しなければいけない。6年連続2桁勝利を挙げるエースの投球術はまさに一流だ。

 パのドクターKたちはいずれもリーグを代表する投手で、その持ち味は三者三様。その投球術にも注目しながら、シーズン終盤の戦いにも注目したい。

 最後に、今週のパ・リーグ見どころを紹介。先週は首位の西武が日本ハムに2度のサヨナラ負けを喫する苦しい幕開けとなったが、週末のカードでは楽天に勝ち越した。一方でその楽天は、最大貯金「18」から「0」へ史上最大の大転落と調子が上がってこない。そしてソフトバンクはロッテに3連勝するなど、首位を追走する。

 今週は西武とソフトバンクの首位攻防戦が、ゲーム差「1.5」の状況から行われる。週末には3位のオリックスと西武が戦うなど、Aクラス同士で熱戦の予感。対してロッテ、日本ハムはそれぞれ楽天との直接対決が予定されており、Aクラス争いのこちらも落とせない一戦になりそうだ。(「パ・リーグ インサイト」小野寺穂高)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)