ソシエダMF久保建英とプロトレーナー木場克己氏【写真提供・COREトレSTUDIO】

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久保は日本代表の6月シリーズ後に木場克己氏のスタジオでトレーニング

 スペイン1部レアル・ソシエダは現地時間8月14日、カディスとのリーガ・エスパニョーラ開幕戦でスタメン出場し、右足ボレーで決勝ゴールを奪うセンセーショナルな活躍を見せた。

 今後のさらなるゴールラッシュへ期待が集まるなか、恩師のプロトレーナー木場克己氏は今季初ゴールで、昨季の怪我を乗り越えた肉体改造への取り組みの成果を確認。「ワールドカップ(W杯)で最高の仕上がりを見せてくれるはず」と太鼓判を押している。

リーガ開幕戦を鮮烈ゴールで飾り、勝利の立役者となった久保。天才復活への第一歩は、日本代表の6月シリーズ終了直後の6月17日、江東区の「COREトレSTUDIO」からスタートしていた。小学生時代から師事している体幹・バランストレーニングの第1人者、木場氏の指導を受けるためだった。

「代表戦が終わって、オフに入ったばかりのタイミングでしたが、トレーニングをしたいと連絡がありました。かなりのモチベーションを感じました」

 レアル・マドリードとの去就問題でいつ渡欧するのか分からない状況で、久保は直接指導の機会を求めて恩師を訪ねた。

 長年久保を指導している木場氏には修正点は明確だった。「キレがなくなっている。脇腹とお尻、ハムストリングと内側広筋(太腿の内側)の線が細くなった印象がある」と久保にこう伝えたという。

「タケフサはキレを出したいと話していました。代表戦でのプレーを見ても、一歩の動き出しを含めて遅くなっているという印象を持ちました。脇腹とお尻、ハムストリングと内側広筋の4箇所がうまく連動していない。だから、キレが出てこなかった」

 木場氏はこう語った。昨季キレを欠いた理由は右膝の故障の影響もあったという。

「膝の怪我を抱えることで左右の動きに不安を感じていたら、中臀筋(臀部の横の筋肉)を鍛えることに対する不安にもつながります。右足で踏み込んだ時に、臀部に体重がしっかりと乗っていなければ、お尻で支えられません。膝にテンションがフルでかかってしまいます」

カディス戦のゴールシーンで成果が表れる「動作の連動がしっかりとできている」

 木場氏は特製の三角形のファンクショナルクッションを活用した最新メニューを指導。課題解決に向けた「キツめのレシピ」を動画などで愛弟子に伝授した。スペインに戻り、レアル・ソシエダに新天地を求めた久保だが、フィジカルの仕上がり具合には「いい感じです」とメッセージで伝えていたという。

 そして、カディスとの開幕戦の鮮やかな抜け出しから、右足でのゴールシーンでも早くも進化の一端は見えたという。「画面越しでも、抜け出す場面などプレーで動き出しのスピード、キレという部分は見て取れました。ボレーシュートの場面もジャンプと体幹部分のひねる動作の連動がしっかりとできています。成果は出ましたね」と恩師は目を細めた。

「ストイックさと向上心は不変ですね。以前のタケフサと変わりません。今年は確実に進化しますと本人も言っています。お尻は一朝一夕に仕上がるものではありませんが、3か月後にはプレーの部分でもっと、しっくりくると伝えています。W杯は11月ですから、そこには最高のコンディションに仕上がると確信しています。新天地で本領発揮してもらいたい」

 新天地ソシエダで戦う愛弟子に恩師はエールを送っていた。

[プロフィール]
木場克己(こば・かつみ)/KOBA式体幹バランストレーニング協会代表。都内でトレーニングジム「COREトレSTUDIO」運営。鍼灸師、柔道整復師。FC東京ヘッドトレーナー(95〜02年)を経て独立。久保建英、中井卓大らの専属トレーナー。(FOOTBALL ZONE編集部)