明豊戦に先発し完投勝利を挙げた愛工大名電・有馬伽久【写真:共同通信社】

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エース左腕の有馬が2失点完投、打線は初戦から3試合連続2桁安打をマーク

 第104回全国高校野球選手権大会は15日、大会第10日目の第3試合で愛工大名電(愛知)が5-2で明豊(大分)を下しベスト8進出。2失点完投の左腕・有馬伽久投手(3年)は試合後に「この試合は1人で投げ切るつもりだった」と、エースのプライドをにじませた。

 最後までマウンドを譲らなかった。3点リードの9回、代打・石川を中飛に仕留めるとエース・有馬は安堵の表情を見せた。初戦の星稜戦では8回11安打2失点、2回戦の八戸学院光星では7回途中10安打5失点で降板と本来の姿ではなかった。

 3試合目の先発マウンドを託されたエースは試合後に「この試合は自分1人で投げ切ると思っていた。1回戦は足がつって、2回戦は降板となって。この試合は自分が投げ切る気持ちが強かった」と振り返った。

工藤公康を擁した1981年以来のベスト8「それを越したいという気持ちが大きい」

 緩急を使い、打たせて取る投球を見せたエースの姿。倉野光生監督は当初、継投策を考えていたが「7回が終わった時点で岩瀬、山田でいきたいと思っていた。でも、本人が『任せてください、いきます。自分が投げ切ります』と言ってきたので」と、有馬の意思を尊重し、試合を託したことを明かした。

 今大会は元中日・岩瀬仁紀氏を父に持つ右腕・岩瀬法樹投手(3年)が、投げる度に話題を集めている。それでも、有馬が見せた意地とプライドの力投でチームは1981年以来、41年ぶりのベスト8進出を果たした。

 当時、同じ左腕でエースだった工藤公康氏(前ソフトバンク監督)の姿と被るが「偉大な先輩で尊敬はあるが、それを越したいという気持ちが大きい」とキッパリ。中2日となる18日の準々決勝では、第1試合で仙台育英と対戦する。“大先輩超え”を誓った有馬は「良い投手、良いバッター揃っているチーム。自分たちの野球をして一戦必勝でいきたい」と語っていた。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)