刺繍画家・ipnot(@ipnot)さんのツイートより

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「24時間チーズが伸び伸び」という投稿文で披露されたユニークな振り子時計の動画が、ツイッターで感心の声を集めている。振り子部分に精巧なピザの刺繍が施されており、揺れにあわせてチーズが糸を引く。作者にこだわりを聞いた。

「すごいリアルだし、カワイイし、おいしそう」

話題となっているのは、刺繍画家として活動するipnot(@ipnot)さんによる2022年8月9日のツイートだ。投稿文で「早起きしたのでピザ刺繍の振り子時計を作ってみました」と伝え、動画で実物を披露した。

時計は布を張った刺繍枠を文字盤とし、赤色の刺繍で数字を表している。下部には小さくも精巧に描かれたピザ・マルゲリータの立体的な刺繍が添えられ、振り子の上にカットされた1ピースが。揺れに合わせてピザの間に渡された糸がチーズのように伸び縮みする。

投稿は3万8000件以上のリツイートや22万4000件超の「いいね」を集め、「すごいリアルだし、カワイイし、おいしそう ずっと見ていたい...」「目が点になりました。素敵!」「チーズの質感すごい」などと感心する反応があがった。動画の視聴回数は484万を超えている。

販売を希望する声も多数寄せられ、ipnotさんは商品化に前向きな様子を見せている。

今回の制作についてipnotさんは10日、J-CASTニュースの取材に対し、およそ30分で完成したと明かす。刺繍部分に過去の作品を用いたため短時間で出来たといい、仮にゼロから作る場合は2週間ほどかかるとする。「美味しく見えるようなチーズの伸び具合」にこだわったという。

かねて自宅用の時計を刺繍で作る構想を温めており、材料を探すうちに「振り子を活かした面白い時計を作りたい」と思い付いた。「仕掛け時計が大好きなので」と遊び心を覗かせる。

自由度が高い「フレンチノット」技法で制作

ipnotさんが刺繍作品に用いるのは「フレンチノット」と呼ばれる技法だ。布に小さな結び目を連ねて、粒々の立体感を持った点描のようにモチーフを描き出す。表現の自由度がとても高いといい、具体的には、

「粒が小さいので細かなところまで色の調節ができ、陰影も付けやすくより写実的に刺繍ができます。素材も綿なのでとても柔らかく何層も重ねることが可能なので質感も良い意味で刺繍っぽさが消えて表現の幅がグッと広がります」

と説明する。構想を具現化するのに最適だと7年前に魅入られて以降、フレンチノットに特化して制作を続けてきた。過程も好みだといい、「一粒の小さな点が立体になる。どこか宇宙のはじまりみたいですよね」と思い入れを伝える。

反響を受けては、これまで投稿してきた制作時間を長く要する作品とは異なって気軽に公開したにもかかわらず「今までで一番の反響でした。笑」と驚く。一方で、

「自分が楽しんで作ったものがこうやってたくさんの方も同じように楽しんでもらえることが何より嬉しいです」

と喜びを示し、「心から楽しんで作るって大事ですね」と述べた。

なお、当初はハムスターにピザを食べさせる構図も考えていたという。しかし、「振り子が止まってしまったりピザをあまり美味しそうに食べていなかったので諦めました」。ipnotさんは「また早起きしてリベンジします」と意気込んだ。