サブウェイルート153南箕輪店(日本サブウェイ提供)

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サンドウィッチチェーン・サブウェイの「ルート153南箕輪店」(長野県南箕輪村)が、2021年秋の閉店を経て22年8月5日に「再オープン」した。

都市部の店舗が多い中、全国的にも珍しい「村」にあるサブウェイ。異例の復活を果たした裏側には、何があったのか。

「大のサブウェイファン」熱意が再出店呼んだ

長野県南部、木曽山脈の東側に位置する人口約1万6000人の南箕輪村。南信地方を縦断する国道153号線沿いに、サブウェイルート153南箕輪店はある。駅前や繁華街、ショッピングモールなど都市部での店舗が多いサブウェイ。村に出店している店舗は、白馬五竜店(長野県白馬村、冬季のみ営業)と同店のみだ。

8月10日、日本サブウェイの広報担当者に取材すると、同店は12年8月に開店。しかし、20年2月に当時の店長の退職と新型コロナウイルスのまん延に伴い休業した。その後、同年6月に新しい店長の元で再オープンしたものの、コロナの終息が見えず、売り上げも厳しかったことから、21年11月に閉店した。

だが、ここで終わらなかった。

「閉店直後から閉店を惜しむ声を数多く頂いておりました。具体的には、数名の方から、良い店なので運営を行いたい、という有難いお問合せを頂いておりました」(日本サブウェイの広報担当者)

名乗りを上げたうちの一人に、長野県内で飲食店を運営するおりじん(松本市)に勤める「大のサブウェイファン」がいた。この社員が、おりじんの社長に同店をフランチャイズ運営できないか談判し、社長が承諾。閉店時の設備をメンテナンスし、8月5日に再オープンを果たした。店長を任されたのは、閉店決定後に運営を名乗り出た「サブウェイファン」の社員だった。

地元住民に向けた再オープンのお知らせは店頭告知のみだったが、再オープン初日から若いカップルや家族連れなど、多くの利用者が訪れた。スタッフに「再オープンありがとう」「待ってた」などの声をかける利用者もいたといい、おりじんの関係者は「お客様からの多くの反響に身が引き締まる思い」とした。

日本サブウェイは「長野県南部の伊那地域を南北に走る国道153号線沿いという、車でアクセスの良い立地から、地元の方のみならず遠方から来店されるお客様のご利用も期待しています」としている。

ツイッターで「出店要望」募る...店舗開発の参考に

ルート153南箕輪店では「サブウェイファン」の熱意が再出店につながったが、日本サブウェイも、FCオーナーの新規出店・再出店を後押しするような施策を行っている。

「#がんばるんだサブウェイ をつけて応援しよう あなたの声がサブウェイの店舗を作る」

サブウェイの公式ツイッターは22年5月14日、こんな投稿を行った。駅ビルやショッピングモールなど、サブウェイが新しく出店してほしい場所をツイッターユーザーから募ることで、FCオーナーに出店の参考にしてもらおうというものだ。

この呼びかけに対し、ツイッターユーザーからは「丸の内に欲しいです」「新大阪に作ってほしいです!!」など、出店の要望が続々と寄せられた。中でも目立つのは、「博多駅に帰ってきてください」「仙台に戻ってきて」「山形市内にまた出店して欲しい!」といった、一度撤退したエリアへの再出店を求める声だ。

こうした出店を望む声の一つ一つに、サブウェイの公式ツイッターは「また、ご近所に帰って来れるようにがんばります!」「店舗拡大を目指して頑張ります」などと、逐一返信を行っている。ユーザーの声に反応する理由について、広報担当者は「Twitter上で積極的にお客様や、サブウェイファンの方々とダイレクトでコミュニケーションを取ることで、さらにサブウェイに好意的なファンになってもらいたいと考えております」としている。

現時点では出店・再出店に繋がった実績はないというものの、こうした声は店舗開発の参考にするという。「ここに届けられるのはダイレクトなお客様の生の声ですので、この情報を重んじた事業運営を行っております」