ベイルもMLSで好スタートを切っている photo/Getty Images

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トロントFCにはイタリアからFWロレンツォ・インシーニェ、フェデリコ・ベルナルデスキ、DCユナイテッドにはベルギー代表FWクリスティアン・ベンテケ、ロサンゼルスFCにはFWガレス・ベイル、DFジョルジョ・キエッリーニ、ロサンゼルス・ギャラクシーにはバルセロナを離れたMFリキ・プッチが加わるなど、今夏もアメリカ・MLSには欧州を離れたトップタレントが続々と参入した。

近年のMLSはキエッリーニやベイルのような欧州で活躍した一流ベテランプレイヤーの獲得はもちろん、アメリカ代表強化を目指して若手の育成に力を入れたり、中南米から才能ある若手を引き抜いたりと精力的な動きを見せており、リーグの魅力は確実に上がってきている。

注目されているのは、MLSのクラブが抱える選手の市場価値だ。

市場価値で見ると、現在MLSで最も旬なタレントを抱えているのはアトランタ・ユナイテッドだ。その市場価値は7768万ユーロとなっているのだが、これは同じ北中米のライバルであるメキシコ国内リーグのリーガMXのクラブを含めてもNo.1の数字だ。リーガMXで最も市場価値が高いクラブは名門モンテレイだが、その価値は7320万ユーロと僅かにアトランタ・ユナイテッドより下だ。

アルゼンチン国内リーグを見ても、アトランタ・ユナイテッドを超える市場価値を持つクラブはリーベル・プレート(9605万ユーロ)とボカ・ジュニアーズ(7910万ユーロ)の名門2クラブのみ。

ポルトガル国内リーグでもアトランタ・ユナイテッドを超えるのはスポルティングCP(2億5300万ユーロ)、FCポルト(2億5270万ユーロ)、ベンフィカ(2億4580万ユーロ)、SCブラガ(1億1273万ユーロ)の4クラブだけだ。

MLSでは積極補強に動くトロントFC(6488万ユーロ)、ロサンゼルスFC(6068万ユーロ)といったクラブも市場価値が高くなっており、スペイン『MARCA』もMLSのクラブが急速に進化していると驚く。

それも有名なベテランプレイヤーに頼ってばかりというわけでもなく、アトランタ・ユナイテッドのチーム平均年齢は24.9歳、トロントFCは26.2歳、ロサンゼルスFCは25.4歳、ニューヨーク・レッドブルズは22.4歳など若い構成になっているところが目立つ。

アトランタ・ユナイテッドで最も市場価値が高いのも、21歳のアルゼンチン人MFティアゴ・アルマダで1800万ユーロだ。アルマダはアルゼンチン代表での活躍も期待される若手で、欧州5大リーグのクラブからも関心を集めていたタレントだ。そうした南米の若き逸材がMLSに流れ始めており、それもMLSのレベル向上に繋がっているのだろう。

その成果は国際大会でも表れ始めており、北中米No.1を決めるCONCACAFチャンピオンズリーグ2022ではMLSのシアトル・サウンダーズがメキシコのプーマスを撃破し、アメリカ勢としては21年ぶりとなる北中米制覇を達成している。

今後はこうした流れが続く可能性もあり、もうメキシコ一強の地域ではない。MLSクラブの強化が進めば、それこそクラブワールドカップなどでJリーグ勢も苦戦を強いられることになるかもしれない。

MLSの急速な発展はサッカー界の勢力図や選手のキャリア選択を変えることにも繋がるはずで、アメリカ国内のサッカー人気がどう変わっていくのかも楽しみだ。