2022年上半期(1月〜6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。マネー部門の第4位は――。(初公開日:2022年1月28日)
今春からスタートする「東証プライム市場」。『株で資産3.6億円を築いたサラリーマン投資家が教える 決算書「3分速読」からの“10倍株”の探し方』(KADOKAWA)の著者で個人投資家のはっしゃんは、「東証1部の2191社のうち、8割以上となる1841社が新しいプライム市場に横滑りしており、期待外れだった」という。そこで、独自の指標で絞り込んだ「はっしゃんプライム200社」を紹介する――。
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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GOTO_TOKYO

■東証プライム市場の銘柄を見て絶望した

※情報はすべて初公開時のものです。

従来の区分である「東証1部」「東証2部」「JASDAQ・スタンダード」「JASDAQ・グロース」「マザーズ」の5市場が、2022年4月から、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編されることになりました。この再編は、過去に東証と大証が統合した際に、それぞれの区分を残していたため、その違いが不明確になっているのを見直すためでもありますが、なにより東証1部に上場する企業が増えすぎてその質や市場への信頼性が低下している現状を打破し、企業が上場後も積極的に企業価値を向上させていく取り組みを促し、外国人投資家の投資を呼び込みたい狙いがありました。

ところがフタを開けてみると、東証1部の2191社のうち、8割以上となる1841社が新しいプライム市場に横滑りすることに。私はその顔ぶれを見て、半ば絶望的な気持ちになってしまいました。なにしろ、プライム市場に上場を許された企業の8割ほどは、右肩下がりの日本経済をそのまま反映させたような斜陽企業だからです。

私は年に4回発行される『会社四季報』は必ず購入し、全ページに目を通して投資候補となる次なる成長株を探しているのですが、新しいプライム市場の顔ぶれの大半は、その際に秒で読み飛ばしてしまう企業で占められています。これらの企業は本気で成長する意欲などないし、できるとも考えておらず、少しでも長く現状維持できれば十分だと考えている企業だからです。“ゾンビ企業”と言ってしまえば言い過ぎかもしれませんが、“ゾンビ予備軍”ぐらいには言っても差し支えないと考えています。

東証がこれらゾンビ予備軍企業に過剰な配慮をして、このような事態になるであろうことはある程度予想はできていましたが、6年近い歳月をかけて準備してきたにもかかわらず、あまりにも露骨な横滑りには落胆しかありません。ただでさえ人口が減少していく国なのに、こんなやる気のない市場再編をしているようでは、外国人投資家の資金を呼び込むことなど到底期待できないでしょう。本来は淘汰されるべきゾンビ予備軍企業を生き永らえさせている限り、いずれ日本経済のお荷物になり国民の負担が増すことになります。

■第一の条件は伊藤レポートで注目の「ROE8%」

そこで私は、もう東証の市場区分に頼らずに、自らオリジナルのプライム市場、名付けて“はっしゃん式プライム市場”を編成してみることにしました。本来のプライム市場の狙いである「外国人投資家の投資を呼び込む」ために重要だと思われる3つの条件を設定し、順に絞り込んでいます。

写真=iStock.com/gorodenkoff
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はっしゃん式プライム市場の第一条件は、「ROE(自己資本利益率)8%以上」です。これは2014年、経産省のプロジェクトとしてまとめられた約100ページにものぼる報告書、通称「伊藤レポート」の中で、企業の持続的な成長のために達成が必要であると提言されたことで注目を集めた指標です。

ROE=純利益÷純資産(%)

ROEは企業が資本をいかに効率的に利用して利益を上げているかを示す指標で、日本の株式市場の売買の7割ほどを占めるといわれる外国人投資家が重視するとされています。純利益を純資産で割って算出するので、成長を続けている企業なら純資産の増加を上回る利益成長が続き、ROEは増え続けることになります。

ROEの数値そのものには業種や企業によって差があるのですが、伊藤レポートでは「グローバルな投資家から認められるにはまずは第一ステップとして、最低限8%を上回るROEを達成することに各企業はコミットすべきである」と言及していることから、この8%という条件をそのまま流用しました。

ただし、本来の計算式では最終の当期利益(純利益)を分子とするため、特別利益や特別損失といった本業以外のイレギュラーの要因が加味されて、本来の成長性を反映できない恐れがあります。そこで、はっしゃん式プライム市場のメンバーを抽出する際は、純利益の代わりとして「経常利益の70%(経常利益×0.7)」の数字を使いました。

■海外で稼いでいない企業は除外

次なる条件は、「海外売上比率10%以上」です。

人口減少が見込まれる日本市場だけで勝負している企業は、素朴に考えて長期的な成長は見込みにくいでしょう。持続的に成長していくには、ある程度海外に出て勝負し、成功している企業である必要があります。海外で利益を上げて日本を豊かにしてくれる企業のみに絞り込むには、売り上げの1割程度は海外から得ている企業である必要があると判断して設定しました。

このため、KDDIやJR各社など、一般的には優良銘柄とされていても、海外展開をしていない企業や、していても10%以下の企業は除外されています。

ちなみに海外売上比率のデータは、『会社四季報2022年1集新春号』の掲載データを参考にしました。はっしゃん式計算式によるROE8%を満たした企業の中から、海外売上比率10%以上の条件を満たす企業をピックアップしたところ、384社に絞り込まれました。

■外国人投資家は時価総額が大きい銘柄を好む

はっしゃん式プライム市場の第三の条件は、時価総額です。

一般的に、外国人投資家は時価総額が大きい銘柄を好み、その目安は時価総額5000億円以上とされています。そこで、第一の条件と第二の条件を満たした384社のうち、時価総額の大きい順に200社をはっしゃん式プライム市場のメンツとしました。

実はこの200社のうち、時価総額が5000億円を超えているのは6割程度なのですが、平均すると1兆9000億円の時価総額となるので全体としては適合しています。5000億円に達していなくても競争力のある大型株は多くあることから、この200社をはっしゃん式プライム市場銘柄として選定しました。

このはっしゃん式プライム市場の200社は、3つのデータだけで機械的にスクリーニングしたものであり、定性的な条件は一切加味していません。このため、決して完璧とはいえないのですが、それでもなかなかに良い顔ぶれがそろったのではないかと自負しています。

■厳選200銘柄は意外と割安でお買い得

前述した通り、日本の上場企業の大半は、成長していこうとする明確な意思を持たない“ゾンビ予備軍”ではありますが、個別で見れば長期的に日本を支えていけるような競争力と成長性を持ち、投資する価値が十分ある企業はいくつもあります。“はっしゃん式プライム市場”では、こうした長く成長を続けていける可能性のある企業の中から、日本を代表する優良大型銘柄を抽出できており、おそらく10年後も外国人投資家に支持され続け、不況や金融ショックといった外部環境の悪化があっても生き残れる可能性が高いと感じています。

はっしゃん『株で資産3.6億円を築いたサラリーマン投資家が教える 決算書「3分速読」からの“10倍株”の探し方』(KADOKAWA)

ちなみに、200社平均のROEは13.06%で、海外売上比率は50.84%、時価総額の平均は1兆9000億円です。しかも、PBR(株価純資産倍率……株価が1株当たり純資産の何倍で買われているかを見る指標)は2.77倍と意外と割安なうえ、配当利回りの平均も2.02%あるので、成長力はありながらも割安な銘柄群といえるかもしれません。

私自身は、3年で2倍を目指す成長株投資を信条としており、投資対象は中小型株が中心です。これは値動きが軽いことから中小型株を選んでいるだけで、大型株の中にも持続可能な企業成長を期待できる企業はいくつもあります。こうした成長力の高い企業が海外からの投資を呼び込み、それが回り回って日本経済や賃金水準を向上させる力になると考えています。

はっしゃん式プライム市場の200銘柄は、あくまで一定の条件でスクリーニングしただけのリストです。ここから投資銘柄を探そうとする方は、興味ある企業の決算書やビジネスモデルをよくご検討の上、ご自身の責任で投資してくださるようお願いします。

それではご覧ください。

■はっしゃん式プライム市場200銘柄 時価総額ランキング1〜50位

■時価総額ランキング 51〜100位

■時価総額ランキング 101〜150位

■時価総額ランキング 151〜200位

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はっしゃん投資家、VTuber
サラリーマン時代に従業員持株会から投資を始め、投資歴は25年。決算分析・理論株価・四季報・月次情報などを武器に30代で資産1億円を達成。2019年、資産3億円を突破したあと、サラリーマンを卒業し、独立起業。「株ブログはっしゃんのスロートレード」や「成長株Watch」「月次Web」「理論株価Web」といった監修サイトは、数多くの個人投資家から愛用され累計PVは1億以上。また、近年ではTwitterやYouTubeなどのSNSでも投資に役立つ情報を発信中。
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(投資家、VTuber はっしゃん)