この記事をまとめると

■2022年7月の販売台数が発表された

■軽自動車は生産遅延の影響が出始めたのが早いように見える

■納期遅延車の改良によってさらなる混乱を招いている

軽自動車の状況は“横ばい”といえる

 全軽自協(全国軽自動車協会連合会)統計によると、2022年7月の軽四輪乗用車販売台は10万1434台、前年同月比で104.8%となった。前年同月比でプラスとなったので、回復基調になってきたのかと思ったのだが、そうでもないようだ。前年同月といえば2021年7月、すでに半導体不足などによる世界的な自動車生産の遅延が話題となっており、日本でもその影響が出始めていた。そこで、コロナ禍直前となる2019年7月と比較すると、約83%となっていた。2021年7月の販売台数と2019年7月の販売台数を比較すると、2021年7月が2019年7月比で約78%となったので、2022年7月の結果をやや改善してきているとみるよりは、ほぼ横ばいと見たほうが良いといえよう。

 登録車については、自販連(日本自動車販売協会連合会)が発表した2022年7月の登録乗用車販売台数は18万6711台となり、前年同月比で87.8%となった。軽四輪乗用車同様に、2019年7月と比較すると、約72%、そして2019年7月に対して2021年7月は約82%となるので、登録乗用車の状況は2021年よりもやや悪くなっていると見たほうがいいだろう。

納期遅延車の改良によって事態はより深刻な状況に

 こう見ると、より量産が重んじられる軽自動車のほうが、生産遅延の影響が出始めたのが早いようにも見える。そして登録乗用車の状況が2021年よりも悪いように見えるのは、やはり国内販売で圧倒的なシェアを持つトヨタの納期遅延が2022年になり、より顕著になっていることが大きく影響しているといえよう。

 2021年は後半から生産及び納期遅延が顕在化してきているのだが、2022年になるとその問題がより混迷しいる。納期遅延車のなかで一部改良やマイナーチェンジを迎えるモデルが目立ってきたのである。いまどきは納車まで半年ほど待つのことはそれほど珍しくないが、それはバックオーダーを半年生産分ほど持っていることになる。平時ならば一部改良などで生産ラインの変更などを行うために、改良前モデルの新規受注を停止する“オーダーストップ”は、改良モデル発表の1カ月前など短期間で済んだ。しかし、半年分バックオーダーがあれば、半年前にはオーダーストップしなければ、改良までに改良前モデルの生産が終わらないことになる。

 しかも、まだまだ部品調達などが不安定で、生産台数が直前まではっきりしない状況が続いているので、最近では改良前モデルでオーダーをもらったものの、部品調達などの問題で作りきれず、改良前モデルのオーダーを改良後モデルへ持ち越すという動きまで起こってきている。軽自動車よりも登録車で2019年同月比においての落ち込みが激しいのは、この改良による生産現場の混乱がより大きく影響しているものと考えられる。