街なかを見ていると、バンパーがへこんでいたり傷が残っていたりする車が多く走っています。

実は、「バンパー部分は金属ではないからボディよりも少額の修理費用で済む」……というのは過去の話。最新の車はバンパーの修理代が以前よりも高額になる傾向があります。

なぜ、ちょっとした傷やへこみでもバンパーの修理代は高くなってしまうのでしょうか?

近年の新車はバンパーに「センサー」を装着しているから

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バンパーに細かい円状の”物体”が付いているのを見たことはありませんか?その物体は「クリアランスソナー」と呼ばれるもので、安全運転サポート機能を働かせるためのセンサーです。

クリアランスソナーは、近くに障害物があるとドライバーへ危険な状態を伝えるほか、衝突被害軽減ブレーキを働かせるのに役立っています。

近年、販売されている新型車にはこのような安全運転サポート機能が搭載されています。バンパーの修理代が高くなってしまうのは、こうしたセンサー類が装着されていることも原因といえます。

試しに、トヨタで販売されている車種をチェックしてみましょう。

カローラシリーズ初となるSUV「カローラクロス」。Zグレードはクリアランスソナーが標準装備となっている

定番モデルの「カローラ」をはじめ、いくつかの車種で上級グレードに、標準装備あるいはメーカーオプションでクリアランスソナーが用意されています。メーカーオプションで選択する場合、車両本体におよそ2万円程度の追加予算が必要となります。

安全運転サポート機能が普及する以前の車であれば、このような装備が搭載されていなかったため、バンパーに傷をつけたりへこませたりしても、ディーラーや整備工場で板金を依頼すれば手っ取り早く直すことができました。

しかし現在は、傷や凹みを直す際に、センサーの修理・交換や動作確認をしなければならないため、交換・修理に至るケースが多くなっています。そのため、費用が高くつくようになってしまっているというわけです。

センサー付きバンパーの交換は高額になることも…

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軽度の傷やへこみであれば、バンパーを修理するだけで綺麗になることがあります。

バンパー修理は、工賃込みでも5万円程度の予算があれば可能でしょう。脱着作業が必要ではなく、部品をそのまま使うため新しく調達しないことから費用を安く抑えられるためです。

一方、ラジエターなどの内部がむき出しになるほどフロント部が破損している場合は、バンパーの交換を余儀なくされるかもしれません。

こうなると、交換用のバンパーを購入しなければならないほか、フォグランプなどバンパー付近に装着されているパーツも取り外すこととなります。さらに、前述のクリアランスソナーがついていると、上記の金額例に加えて費用がかかるでしょう。

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とある全国チェーンに加入している板金業者に金額を尋ねたところ「車種にもよりますが、センサー1個あたり工賃込みで1万円から2万円程度はかかると想定していただければと思います」とのこと。

さらに、センサーを正常に機能させるための「エーミング」作業を行うこととなるため、1万円から2万円程度の費用がプラスされるそうです。

つまり、本来バンパーの交換だけなら5万円から10万円までかかるものが、センサーの修理まで至るとなるとプラスで10万円近くかかる可能性があるということです。

衝突被害軽減ブレーキをはじめとする、安全運転サポート機能が搭載された車が普及したことで、このような思わぬ出費に直面する可能性があります。これまで「バンパーくらいぶつけても平気」という感覚だった人は、普段の自分の運転を見直してみたほうがよいでしょう。