安倍元総理の銃撃事件をきっかけに社会的に注目を集めている「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と政界との関係。野党が設置したチームは、所属議員と旧統一教会の関係を調査していて、日本維新の会は藤田幹事長、馬場共同代表を含む14人が関連団体のイベントへ出席していたと主張。立憲民主党も新たに3人がイベントに祝電を送るなど関わりがあったことを公表した。

【映像】“組織票”を依頼か…「旧統一教会」と安倍元総理の関係(画像あり)※24:37〜

 旧統一教会は1997年以降、18年にわたって名称の変更を希望していたが、認められなかった。しかし、2015年、突然これが認められたのだ。これにも「政治的な力が働いたのではないか」と指摘されている。

 当時、文部科学大臣だった自民党の下村前政調会長は「受理しなければ違法になる可能性があった」とし、政治的判断を否定している。一方で、5日行われた野党の合同ヒアリングでは、当時文部科学審議官だった前川喜平氏が出席。当時の下村大臣の意思が働いていたと証言した。

 はたして旧統一教会は政治にどれだけの影響力を持っているのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家とともに議論を行った。

 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「事実関係の調査は、もう証拠が残ってないので分からないだろう。うやむやで終わると思う。過去どうだったかというより、今何すべきなのか。そういう話にちゃんとシフトした方がいい」とコメント。

 産経新聞記者から弁護士に転身した、ファクトチェック・イニシアティブ事務局長の楊井人文氏は「あくまで事実と法律に基づいて議論を整理することが大事だ」と話す。

「私は旧統一教会と全く何の接点もないし、問題を擁護する気持ちはさらさらない。追及すべきは追及する。名称変更を認めるべきであったか、それがきちんと法的手続きに基づいて行われていたか。どのように18年間『認めない』と決定できていたのか。ちゃんと分けて整理しないといけない」

 宗教法人の名称変更は許認可でなく認証制で、簡単に拒否できない仕組みだという。楊井氏は「全く裁量の余地がゼロというわけではない。本当に法律違反があれば拒否できると思う。宗教法人法に照らして名称変更が認められないのであれば、堂々と『認証しない』という決定を出せばよかった。だが、それをしなかった。しなかった理由は、適合性が疑われ、争うことになるからだろう」と述べた。

 その上で、ひろゆき氏は「今、行政手続法の話をして何か意味あるのか」と指摘。

「宗教法人は教義があり場所があり信者がいたら、設立自体は可能と法律に書いてあるが、新規ではほとんど通らない。バンバン審査を通してしまうと、非課税の事業を持つ法人がたくさん作られてしまう。法的な制度作りは、文化庁がやることではなく、国会がすることだ。被害者を増やさないために、文化庁のレベルでどうするか。要は名称変更を拒絶する。僕が文化庁の人たちを賢いと思った理由は、認証するときに間違った書類をあえて受け取ったことが正しいと思う。2015年に下村さんが大臣になってから通してしまったが『不備だらけの書類を通しているのはおかしい』と後世の人たちが見たときに『これはやはり変だ』と言える余地をちゃんと残していた。文化庁が文化庁の中でできるレベルで統一教会と対抗しようとした。僕はかなり頑張ったと思う」

 疑惑は名称変更だけではない。ネットでは「子ども庁」が統一教会の影響で「子ども家庭庁」に名称が変更されたこと、自民党の改憲案が旧統一教会の関連団体が示したものとよく似ていることなど、政治的影響を懸念する声が上がっている。

 楊井氏は「もちろん詳細な事実関係は分からない」とした上で、旧統一教会の名称変更について「どのような流れで承認する判断になったのか。申請がきて、議論した結果『認証しないのは法的に無理だな、これは通すしかない』となったのか、あるいは何も議論をせずに、流してしまったのか。まだ未解明な部分もある」と話す。

「まず『新しい宗教法人の設立は厳しい』はその通りだ。これはちゃんと文化庁でも設立の基準というのを設けていて、新しく宗教法人を認めるには3年程度の実績がないといけないなど、さまざまなハードルを設けている。きちんと内部の基準を満たせば通るし、満たさなければ通さない。問題は、名称変更について、どのようなハードルが設けられたか。『もし名称変更を認めたら被害が拡大するから認めるべきではない』という議論に反対しているわけではない。そのためにどのような制度にすべきか。きちんと議論していなかったから、こういう大きな問題になっているのではないか」

「つまり、名称変更のハードルを上げるならばきちんと法改正をするなり、あるいは基準を変更するなりが、本来やっておくべきことだ。それをやらずに門前払いしても、実際に申請書が提出されれば法的な処理としては、認証する方向に向かわざるを得ない。問題はそのハードルをどのように制度設計するのか。どこまでだったら許容できるのか、あるいは『問題を起こしている宗教法人の名称変更は一定期間認めない』と、何かルールなり規制を設けないといけない」

 旧統一教会との接点が分かった議員は日増しに増えている。報道されている議員の数に、楊井氏は「正直まだブラックボックスだ」とコメント。

「統一教会の問題に詳しい紀藤弁護士が、連日のようにテレビに出ていらっしゃるが、全国で信徒の数が実質5万人くらいではないかとおっしゃっていた。全国だから一つの選挙区当たりどれくらいいるのか、地方によって違う。接点を持ったのは1000人単位ではないか」

 国が定めた「宗教法人法」を見ると、宗教法人を“監督”する省庁は存在せず、都道府県知事または文部科学大臣が“所轄”となる。名称変更は申請を“承認”するだけの立場だという。これに対し、番組司会のテレビ朝日・平石直之アナウンサーは「文科省がはっきり『私たちはそういう立場ですよ』と言えばいい。当時担当大臣だった自民党・下村博文前政調会長も『責任を感じている』と言っている。この先どのような立て付けにすれば問題が起きないのか、しっかり議論を行うべきだ」とコメント。

 票以外の影響力も指摘されている旧統一教会。影響力について、楊井氏は「もちろん政治的影響力がないとは言えないと思う」と話す。

「過大評価もいけないが、過小評価もいけない。明らかになっている事実に基づいて冷静に見ていく必要がある。安倍元総理の衝撃的な事件のあと、犯人の供述をもとに旧統一教会がクローズアップされて『すべての悪いことの背後には統一教会が絡んでいるのではないか』みたいな。陰謀論的な言説が次々と出てきているが、まだ分からない」

 楊井氏の説明にひろゆき氏は「解明に焦点を当てるのが間違いだ」と指摘。

「結局負い目を持っている人が自分から言うことはない。旧統一教会側も政治家側も、証拠を開示することもない。今後どうするのかに焦点を当てたほうがいい。過去はもうしょうがない。ただ被害者がいっぱい出ていて、実際に容疑者の母親が1億円騙し取られたりしている。その人たちをどうやって救うのか。教会をどのように調査するのか。今ある権限を使って官僚や警察官をどう動かすのか。そういう話をちゃんとやるべきだ」

(「ABEMA Prime」より)