岸田総理(自民党総裁)は10日、内閣改造と党役員人事を行う。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やその関連団体と国会議員との接点が次々に判明する中、これまでに関係を認めた7人の閣僚が交代する見通しだ。

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 9日の『ABEMA Prime』に出演した元文部科学事務次官の前川喜平氏は「私も報道を通じて知っているだけだが、これほどまでに“汚染”が広がっていたのかと呆れている」と話す。

 「ここからは推測になるが、政治は貸し借りの世界。やっぱり借りがあれば借りを返そうとするだろう。その一つが雑誌の表紙を飾ったり、イベントで挨拶したりするという、いわば“広告塔”になるということではないか。そして政治権力を使い、旧統一教会の望むことをしてあげる、ということも出てくるんじゃないか。例えば国税庁が関わる税法上の問題、警察庁が関わる刑法上の問題で政治家が抑え込むこともできるかもしれない、2015年の名称変更も一つだと私は思っている」。

 前川氏は文部省宗務課長だった1997年、当時『世界基督教統一神霊協会』と名乗っていた旧統一教会から名称の変更について相談を受けた際、実態が変わっていないとして申請を出さないよう求めたことを明らかにしている。

 「その2年前にオウム真理教事件が起きた。それまでの宗教行政は、いわば“性善説”に立ち、“悪いことはしないんだ”、“信用してますよ”という大前提でやってきた。しかし宗教法人が凶悪犯罪を起こすという前代未聞の事態を受け、信教の自由は保障しつつも、注意深く見守る必要があるという態度に変わっていった。そういう中で96年に宗教法人法が改正され、全国的に活動している宗教法人については都道府県知事の所轄から文部大臣の所轄になり、テロの防止やカルトの規制まではできないものの、少なくとも健全に活動していることを確認するため、必ず年に一度、書類を出してもらうようにした。

 そういう時期に私は宗務課長になり、そして旧統一教会から“名称変更のための規則変更を認証してくれという”相談が来た。当時、様々な問題を起こしていることがメディアでもたくさん報じられていたし、若い女性信者たちが正しい事だと信じて壺などを売り、人生を捧げきって、気づいたら青春を搾取されていたという“青春を返せ裁判”という訴訟もあった。宗務課としては、そういう背景のある団体が実態を変えないまま名称を変更するということは認めるべきではないと考えた。

 当時の文部省の内部規定上、申請があった場合の認証は文化庁文化部長が行うものだが、“宗務課長に任せる”という態度だったので、実質的に私が宗務課長としての職にある者として“実態が変わっていない以上、認証すべきでないと判断している”ということを伝えたところ、納得して引き下がってくれた。もしこの時に究極的な実態隠しだと言えるあの名称変更を認証していたら、時の文部大臣は社会的批判を浴びていたと思う」。

■「下村大臣に判断を仰いでいるとしか考えられない」

 しかし第二次安倍政権下の2015年になると一転、『世界平和統一家庭連合』への変更の申請が認証されることになる。これについて、当時は文部科学次官に次ぐポストである文部科学審議官を務めていた前川氏は「外部からの力が働いたとしか考えられない。当時文部科学大臣だった下村博文さんの意思が働いていたことは100%間違いないと思う」との見方を示している。

 「行政としては18年間、“水際で申請を出させない”ということで推移してきた。しかし申請を出してきた。これ自体、裏になにか政治的な動きがあったと推測せざるを得ない。それだけではなく、下村さんは“文化部長が判断した”と説明していたが、文化部長よりも上のポストの私のところに宗務課長が説明にきたので、“これは認証すべきではない”と言った。この私の判断を覆せるのは大臣しかいない。

 さらに言えば、下村大臣は認証の前と後に報告があったことを認めている。もちろん、政治的な圧力がどこからかかったのか、官邸なのか、自民党の有力議員なのか、そこはわからない。しかし、判断をするに当たって話を上げているということは大臣に判断を仰いでいるとしか考えられない。どんな組織であっても、これで“私は関係ない”とは言えないのではないか」。

 スタジオのコメンテーター陣からは、1997年の前川氏の“申請を思いとどまらせた”判断やその過程に至る記録の多くが残されているか不透明なこと、さらに2015年の名称変更について「政治的な力が無ければ起こり得ないないことだと確信している」という主張に対して厳しい批判が相次いだ。(『ABEMA Prime』より)