パリSGを率いるガルティエ監督。ツアー中は近寄りがたい雰囲気を発していたが、最後は優しそうな笑顔を見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 あ、笑った。

 軽い驚きとともに、ファインダー越しにその表情を見ながら、思わずつぶやいてしまった。シャッターを押す指にも力が入る。

 少し前の話で恐縮だが、プレシーズンマッチで来日していたパリ・サンジェルマンの監督、クリストフ・ガルティエは、かなりの強面。これぞ“頑固おやじ”のような面構えが印象的だった。

 パリSGは日本滞在中、試合のほかにはサッカークリニックやレセプションパーティーなど様々なイベントに参加していたが、ガルティエはほとんど笑顔を見せなかった。退屈だとか、早く帰りたいとか、そういう感じではない。だが、とにかく仏頂面。何か気に入らないことでもあったのだろうか。

 ピッチ上でもそうだ。選手たちに鋭い眼差しを向ける。グッとにらみつける。それはそれで、勝負師の顔に見えた。
 
 怖そうな人。そういうイメージしかなかったが、日本ツアー最後の試合となったガンバ戦のあとの会見では、冒頭で記したとおり、現役時代は名DFで鳴らした55歳のフランス人がとびきりの笑顔を浮かべる。

 今回のツアー中に、チームに帯同してフランス語通訳を務めた方にマイクを通してお礼を述べる。会見後には、ガルティエ自らがその通訳の方に歩み寄り、優しそうな笑みを浮かべ、そこでもまた感謝を伝えて、がっつり握手。なんだ、良い人じゃん。

 近寄りがたい雰囲気をビンビンに発しておきながら、人とのつながりは大事にする。そんな“ツンデレ”指揮官に率いられたパリSGは、8月6日に行なわれた新シーズンのリーグ開幕戦で、クレルモンに5発圧勝。上々のスタートを切ったなか、ガルティエはどんな表情をしていたのだろうか。

取材・文・写真●金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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