内部告発するなら弁護士を頼れば「ノーダメージ」で可能!目的達成できる4つの理由とは

Twitterに投稿された現役弁護士の方による「職場の不正について内部告発をしたいと思っている人はSNSで拡散する前に弁護士に相談を」との警鐘ツイートが1万件近くリツイートされている。
告発する側は「逆に会社から訴えられてしまうのでは」といった不安を持つのも想像に苦しくないが、弁護士の方によると、告発者に「ノーダメージ」で目的を達したことは何度もあるという。
職場の不正がどうにも我慢ならなくて「内部告発をしたい」と思っている人はSNSで拡散する前に、できれば弁護士に相談してください。告発者に「ノーダメージ」で目的を達したことは何度もあります。
— 太田 伸二 (@shin2_ota) 2022年7月31日
また、このツイートでは内部告発について弁護士が介入すると、どういったことが可能になるのかも簡単に説明している。
内部告発も、やり方がうまくないと、名誉毀損などで訴えられるリスクがあります。そこをどうやって避けながら不正を暴くか、これは法的な判断と有効な手段のバランスの問題です。そこは弁護士が関われるところです。
— 太田 伸二 (@shin2_ota) 2022年7月31日
その問題が労働環境(例えば長時間労働)に関わるのであれば、かえって会社に支払わせることもできます。また労働組合が関わって環境改善を求めることもできるでしょう。動く前にぜひ相談を検討してください。
— 太田 伸二 (@shin2_ota) 2022年7月31日
一連のツイートを投稿したのは弁護士の太田伸二(@shin2_ota)さん。仙台弁護士会に所属し、労働問題・貧困問題に取り組んでいる。「ノーダメージ」で告発する方法とは?実際に動く前に、どこへ相談するべきなのか。太田さんに数々の疑問をぶつけてみた。
弁護士に依頼すべき4つの理由
「ノーダメージ」で告発する為に弁護士が必須なのはなぜですか?
まず一つには「内部告発」が要件を充たしているかの検討をするためです。
内部告発が公益通報者保護法(注:内部告発者等の保護を図る法律)の「公益通報」に該当すると、通報をしたことを理由とした解雇は無効となり、不利益取扱いをしたり損害賠償を請求することも許されません。
ただ公益通報者保護法の公益通報にあたるものについては、例えば通報対象となる約500本の法律の規定に違反する違法行為に限定されるなど、要件が絞られています。そのため、「内部告発」がその要件を満たしているかの検討が必要です。ただその限りでなくとも、解雇として無効になる場合や損害賠償請求が退けられる場合はあります。弁護士に相談すれば、告発者に不利益が及ばないかの検討ができます。
もう1つは、証拠の収集です。
証拠があるかどうかはとても重要です。弁護士は「どういう証拠があればいいか」を考えることができますし、「その証拠を取るにはどうすればいいか」を内部告発を考えている人と一緒に考えることができます。証拠が十分にあれば、不利益を被る可能性が低くなります。それから、行政への牽制という意味もあります。
弁護士が代理人として入ることで行政の動きが変わることもあります。最後に、会社からの反撃への対応です。
十分に準備をしたとしても、会社が内部告発者に対して損害賠償請求などをちらつかせてくることは考えられます。そういった場合に、今後の見通しや対処についてアドバイスをすることができます。
「内部告発も、やり方がうまくないと、名誉毀損などで訴えられるリスクがあります。」との部分について教えてください。
先も述べた通り、告発内容の証拠が不十分だと、誹謗中傷・名誉毀損だとして逆に損害賠償請求を受けるおそれがあります。
他のリスクとして、在籍中であれば内部告発をしたことや、内部告発のために資料を持ち出したことなどを理由として会社を解雇(懲戒解雇あるいは普通解雇)されることもあります。
実際に相談を受ける内部告発の内容はどんなものがありますか?
だいたいが労働基準法違反に関するものです。
そのほとんどは個別の対応(例えば依頼者の方の残業代請求)で終了をしますが、まれに依頼者の方の強い思いから、会社の対応を改めさせるために、労働基準監督署に違反事実の申告をすることがあります。私が担当したものでは、産前産後休暇の取得の妨害や残業代未払いなどの労働基準法違反の行為や、食品の安全性の問題や保育園での補助金の不正など、内部告発を受け動いたことがあります。
そのツイート、不利益が生じる可能性アリ
昨今のSNSで見かける職場の内情に関するツイートについて、どう感じていらっしゃいますか?
今後、SNSを通じての内部告発は続いていくと予想をしています。
そのことが有効な手段であることは間違いないのですが、かえって不利益が生じる事案が出てこないかと心配をしているところでもあります。
弁護士や労働組合といった専門家・支援者であれば「どうすればより安全に、より効果的に内部告発ができるか」を一緒に考えられるので弁護士や労働組合がそういった存在であることをぜひ広く知ってほしいです。
紹介されている「日本労働弁護団」はどういった組織でしょうか。
1957年に結成された労働問題に取り組む弁護士が所属している団体で、全国に約1700名の会員がいます。「老舗」ではありながら若手の弁護士が活躍していて、YouTubeを使って労働問題に関する動画を発信するなどの新たな取組みも行っています。
全国に会員がおり、日本のほとんどの地域で会員の弁護士にアクセスをすることができます。各地の相談窓口があり、電話相談も受け付けています。
日本労働弁護団:各地の法律相談窓口
日本労働弁護士団:ホットライン
労働問題や労働弁護士のお仕事が分かるYoutubeチャンネル
なるほど、弁護士はリスクを回避するためのサポートもできる頼もしい存在になりそうだ。会社に見逃せない不正がありながら悶々としているなら、弁護士に相談することも検討したい。
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