<AIG女子オープン 最終日◇7日◇ミュアフィールド(スコットランド)◇6680ヤード・パー71>
この日22ホール目となるパーパットを入れた瞬間、一気に感情がこみ上げた。チョン・インジ(韓国)との4ホールに渡るプレーオフを制し、ツアー初優勝をメジャーで飾ったアシュレー・ブハイ(南アフリカ)は「AIG女子オープンで優勝できたことは、本当に夢のよう」と大粒の涙を流した。
3日目を終えて、2位に5打差をつけて首位。それでも決して簡単な道のりではなかった。2番でボギーが先に来ると、5番で戻したものの9番でもスコアを落として、ハーフターンの時点で3打差まで詰め寄られた。
その後はパーを並べていき、優勝への糸を手繰り寄せていく。だが、15番でまさかの出来事が。ティショットを引っかけてフェアウェイ左サイドのバンカーに入れると、左のフチについていた。バンカーの外に立って構えても、砂の位置が低いためグリーン方向に打てず。左に少し出すつもりが、これが行き過ぎてしまい今度はフェスキューへ。
3打目はフェスキューがクラブに絡まって30ヤードしか飛ばず、次でグリーン手前まで運んだがアプローチは5メートルオーバー。2パットを要してトリプルボギー。インジと並ぶ首位タイとなってしまい、勝負はプレーオフへ突入した。
大会としては32年ぶりとなるプレーオフ。18番の繰り返しで行われ、1ホール目は互いにパー、2ホール目は互いにミスショットが出てボギー、3ホール目は互いにバーディパットがわずかに外れてパーと、ともに譲らない戦いが続く。そして4ホール目、ここまで安定感抜群だったインジのティショットは右のバンカーへ。フェアウェイへ出すだけのかたちとなる。一方のブハイはこのホールもフェアウェイをキャッチ、大きなチャンスを迎えた。
あとは乗せて2パット。だが、この日難易度1位ホールの魔の手がブハイを襲う。2打目は大きく右に行きバンカーへ。最後の試練が訪れた。
「プレーオフでは、かなり冷静だった。自分のしていることに集中しようとしただけ。他のことはコントロールできなかったけど、タフになることは分かっていた」
この距離のある難しいバンカーを50センチに寄せるスーパーショット。インジがパーパットを外してボギーとしたのを見てからきっちりとウィニングパットを沈め、3年前にこの日と同じ渋野日向子と最終組で戦って届かなかった因縁の大会にケリをつけた。
「ここで多くの南アフリカの成功を収めることができ、大変光栄に思う。私のアイドルである2人の偉大な選手に続き、私たちが初めてここミュアフィールドでプレーし、歴史を作ることができ、とてもとても光栄だし、いま南アフリカ人としてとても誇りに思うわ」
彼女のアイドルは、母国・南アフリカのレジェンド、ゲーリー・プレーヤーとアーニー・エルス。プレーヤーは1959年に、エルスは2002年にミュアフィールドで行われた「全英オープン」を制している。ブハイの名前は、ミュアフィールドで行われた最初の全英女子チャンピオンとして、その歴史にしっかりと刻まれた。
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