スマホの利用時間について考えてみた!

みなさんはスマートフォン(スマホ)の利用時間を気にしたことがあるでしょうか。スマホの普及が進み、最近では「今日は暇でずっとスマホのゲームを遊んでたなぁ」とか、「いけないとは分かっていても寝るとき布団の中でスマホいじっちゃうんだよね」などといった会話は日常茶飯事かと思います。

モバイル社会研究所が8月4日にスマホの利用時間についてのアンケート調査「2022年スマホ利用者行動調査」を公開しましたが、それによればスマホ利用者の半数以上が「自身のスマホ利用時間を減らしたほうがよい」と回答したそうです。

昨今のスマホ依存とも呼べる人々のスマホの利用シーンを思い浮かべると至極当たり前にも感じる調査結果ではありますが、実際に数値で観てみると改めて実感が湧くとともに、どのような人々がスマホの利用時間を気にしているのかが透けて見えてくるようでもあります。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はスマホの利用時間についての雑感などをつらつらと書き連ねてみたいと思います。


あなたは毎日何時間スマホを使っていますか?


■若い人ほど「脱・スマホ依存」の意識が高い?
はじめに、冒頭で紹介したモバイル社会研究所のアンケート調査の内容を精査してみます。

スマホの利用時間を減らしたほうが良いと答えた人が半数以上だと書きましたが、その内訳を見てみると、どのような人々がそう考えているのかもう少し具体的に見えてきます。

全体としては21%の人が「そう思う」と答えている中、男性に対して女性の割合が有意に高くなっていることが分かります。

また年代別に見ると、10代のスマホ利用時間削減への意識が非常に高く、年代が上がるに連れて見事に意識が低くなっていくのが非常に面白い点です。


ここまでキレイに年代によって差が出るのは興味深い


理由は様々に考えられます。

まず考えられるのはスマホの普及割合や利用率です。50代〜70代の高年齢層はスマホの利用率もあまり高くなく、ウェブサイトの閲覧やオンラインサービスの利用、SNSの活用なども比較的低い傾向があります。

スマホの利用時間を減らす以前に、そもそもスマホをあまりいじっていない(生活でフルに活用していない)という世代とも言えます。

一方で、若い世代ほどスマホの利用率や活用率が高く、さらにゲームやアプリなども多数利用しているため、必然的にスマホ利用時間が長くなりがちです。

その上、10代の場合は勉学という常に最優先とされる課題があるため、「スマホをいじってないで勉強しないと」という思いが常に心の片隅に引っかかり続けているのではないでしょうか。


スマホの利用時間が長い人ほど「やめなければ」という思いが強い傾向であるのが分かる


2時間以上スマホを利用している層でも年代によって意識が大きく違い、10代では「そう思う」と答えた人が48%にものぼっている一方、年代が上がるに連れて同じ利用時間でも利用時間削減への意識は徐々に下がっていきます。

スマホ利用時間への危機意識はスマホ依存への危機意識とも読み取れる部分がありますが、その点で若者のほうが年配者よりも危機意識が高く、生活への影響が出ることを危惧していると言えるのかもしれません。


スマホ利用時間が2時間未満の場合、年代による意識のばらつきが大きい


■ニュースソースとしてのTwitter、自己表現の場としてのInstagram
他の角度からもスマホの利用時間について調べてみましょう。

グロッサムが2021年7月に公開した「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2021」によると、2021年のスマホ利用時間の平均は136.3分となっており、2019年の集計から毎年1割前後増加し続けているとのデータがあります。

コロナ禍によってテレワークやオンライン授業など自宅にいる時間が増え、スマホをいじる時間が増えたことが大きな要因として考えられますが、もう1つ「SNSのメディア化」も大きいのではないかと考えるところです。


スマホの利用時間は年々増え続けている


以前のコラムで、当時Twitterに実装された「フリート」という機能について執筆した際、人々がTwitterを情報発信の場ではなく情報収集の場として活用しているという指摘をしたことがあります。

【過去記事】秋吉 健のArcaic Singularity:フリートってなんだ?Twitterに突如現れた“謎”の新機能をこれまでの利用実態や存在意義から考える【コラム】

この時、マイボイスコムが2020年1月に公開した「Twitterの利用に関するアンケート調査」を引用して

「自身による情報発信ではなく趣味や時事ニュースなどの情報収集が上位を占めており、人々がTwitterにメディアとしての役割を期待している」


このように考察した上で、Twitterにはフリートのような気軽な情報発信の手段が必要になっているとまとめました。


人々はTwitterを新たなニュースメディアとして活用し始めている


しかしながら、その後フリート機能は実装からわずか9ヶ月で廃止となり、結局人々の情報発信が活発化されることはありませんでした。

実際にTwitterのタイムラインや情報を眺めてみると、時事ニュースや話題のTVアニメ、映画情報、真偽定まらぬゴシップネタなど、これまでテレビや雑誌が担ってきたニュースやエンターテインメントで溢れかえっており、個人的なつぶやきをしている人が非常に少なくなりました。

筆者が聞き及んだところでは、10代の若者などはTwitterを「野次を書き込んで拡散できるニュースメディア」や、「YouTubeのコメント欄」と同じように捉えており、承認欲求のための自己主張や自身の日常をつぶやくのはInstagramで良いと考えている人が多いようです。

これを裏付けるように、グロッサムの調査データでもTwitterの利用時間や利用率が伸び悩む中、Instagramの利用時間や利用率が大きく伸びており、とくに20代以下の利用率の伸長具合が顕著である点が挙げられます。


Twitterの利用時間及び利用率は高めで推移しているが徐々に落ちている



一方でInstagramの利用時間は大きく伸びており、20代以下の利用率の増加が顕著だ



TwitterをはじめとしたSNSがニュースソースとして活用されている様子は、企業広告への反応率の増加傾向を見ても分かる(とくに女性で顕著)


■スマホ利用に自分なりのルールが必要な時代に差し掛かっている
人々はこれまでテレビメディアなどで入手していた情報をSNSに求めるようになり、また自己の承認欲求を満たす場としてInstagramを活用するなど、よりスマホを生活の一部として深く利用している様子が伺えます。

また、スマホが単なるアーカイブ的な情報閲覧の道具ではなく、タイムライン上に次々と送られてくる最新情報を収集するための道具となったことでますます目が離せなくなり、人々は常に新しい情報を見たい・もっと詳しい情報を知りたいと渇望するようになっています。


仕事中や勉強中でも情報が気になってついついTwitterを開いてしまう。そんな経験のある人も少なくないだろう


一方で、増え続けるスマホ利用時間に対して危機感を持っている人も多数存在し、現状がベストやベターではないと感じ取っているのも事実です。

現在の社会はスマホを中心に動いていると言っても過言ではなく、通信各社のポイント経済圏の活用や物流・eコマースとの連携など、スマホを必須とするサービスも大量に生まれています。

スマホを活用した快適なスマートライフを維持しつつも、生活のリズムを崩すことなくスマホの利用時間を削減するにはどうすれば良いのでしょうか。

そろそろ本気で考えなければいけない時代に差し掛かっているように感じます。


スマホを見るのが癖になっている人、要注意


記事執筆:秋吉 健


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