小学生を対象にした野球教室に参加した多賀少年野球クラブ・辻正人監督【写真:間淳】

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「多賀少年野球クラブ」の辻監督が初心者の小学生を指導

 8日に開幕する高円宮杯全日本学童軟式野球大会「マクドナルド・トーナメント」に出場する滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督が、都内にある「フィールドフォースボールパーク」で小学生を対象にした野球教室に参加した。初心者を対象にした教室で投げ方や捕り方など基本の動きを指導。わずか1時間で子どもたちの動きは激変し、見守った保護者も驚きを隠せなかった。

 初心者を対象にした教室には、野球を始めたばかりの小学校低学年の子どもたちも参加した。たった1時間で、子どもたちの動きは変化するのか。子どもも保護者も半信半疑で教室はスタートした。

 今回の野球教室は、よしもと興業が進めるイベント「よしもとエンジョイベースボール」の一環で、野球好きで知られるお笑いコンビ「トータルテンボス」の藤田憲右氏や、元中日・石川駿氏らも参加した。初心者向けの教室で、中心になって指導したのは多賀少年野球クラブの辻監督。8日に開幕する「マクドナルド・トーナメント」で、2018、19年に連覇して以来となる優勝を目指す全国屈指の強豪チームを指揮している。

 辻監督はまず、子どもたちに投げ方を指導した。真っすぐ投げるために、右投げの子どもたちには左足のつま先を投げたい方向に向けるよう助言。正しくトップがつくれるように、子どもたちの右肘を補助しながら、ポイントを伝えた。自身が指揮するチームでも、未経験者の指導では投げ方に重点を置く。その理由を「投げ方は後から直すのが難しいので、最初に身に付ける必要があります」と説明する。

保護者も辻監督の指導に感心「親も勉強になりました」

 ゴロの捕球ではグラブの使い方を説明した。グラブでボールをすくい上げる時に手首を手前に引くようアドバイス。子どもたちは、辻監督らが手で転がしたボールを捕る練習を繰り返すうちに、徐々にコツをつかんでいく。上手くできたら褒められ、失敗したら修正点を丁寧に伝えられると、積極性や自主性が高まっていった。

 教室に参加した野球歴3か月の小学2年生の男の子は「いいボールを投げられるようになった。楽しかった」と充実感をにじませた。練習の休憩時間には教わった投げ方を自主的に復習するほど、前向きに取り組んでいた。

 男の子の父親は「教え方も、やる気の引き出し方も上手でした。息子の動きが全く変わって、短時間でここまで上手くなるとは思いませんでした」と驚いた様子。キャッチボールに誘っても乗り気ではない普段とは対照的な姿に「教え方で、子どもの姿勢が変わることに感心しました。親も勉強になりました」と語った。

 少年野球の人口が減少する中、年々メンバーが増えて現在は80人を超える多賀少年野球クラブ。子どもが集まり、選手が入れ替わっても毎年のように全国大会上位の成績を収める理由が、わずか1時間の野球教室にも詰まっていた。(間淳 / Jun Aida)