「今期ドラマNO.1」「今期の中で1番好き」「ハマってます」という声も多く上がる金曜ドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系、毎週金曜よる10時)。“石子”と“羽男”を演じる主演の二人、有村架純と中村倫也の掛け合いはコミカルでテンポよく、そんな二人がちょっと気になる“大庭”赤楚衛二の視線にキュンとしながら、「ご飯一緒に食べよう」と優しい”石子のお父さん”さだまさしの大きさにほっこり。蕎麦屋では石子にゾッコン“塩崎”おいでやす小田が大盛り天ぷらを用意して、石子用の天ぷらなのだとキレる。しかし、ドラマが与えてくれるのは楽しさだけではない。テーマはいつもタイムリーで現実的。自分の行動を見つめ直すきっかけや、社会の問題や現実の厳しさを投げかけ、正しさを問いかけてくる。(以下、一部第3話のネタバレ含む)



先週の第3話。映画を結末まで見せる形で10分程度に短く編集したもの=ファスト映画を自身の動画チャンネルに投稿し、映画会社から著作権法違反で告訴された若者(井之脇海)。

「僕の動画は収益化してません」「結果的に映画の宣伝になってたらいいじゃないですか」と罪の意識のないところから、「なんてことしちゃったんだろう」と罪の意識を持つまでをこんなにエンタメ感たっぷりに、納得な形で見せられるとは(もうこれはとにかく映像でみてほしい)。この被告人の行いを発端に、結果的には被告人が大好きな監督の映画は打ち切りとなり、監督に対する風評被害まで。土下座して詫びる若者に、監督(でんでん)が突き付けたのは“謝罪を受け入れない”という答え。心から謝る若者に手を差し伸べるいわゆるドラマ的な終わり方ではなく、「許せない」という結末は被害者であり作り手のリアルな心情。謝罪で全てが消えるわけではない。

10年かけて作った映画、65歳の監督にとって次回作はないかもしれない。「未熟で申し訳ない。どんなに謝罪をされても受け入れることはできません」という監督の言葉は“違法アップロードは著作権侵害になるのでいけません”と言われるよりも、心に重く刺さった。


その後、法の裁きでは執行猶予つきの判決が出されたものの、SNSで拡散される被告人の写真。被害にあった監督が叩かれたコメントも残り続ける。そんな現実もリアルで、より私たちの身近な問題として映し出された。


重いテーマを扱うなかで、腕組みしてプンと睨みつけるかわいい有村架純も、オフモードで彼氏感を味わわせてくれる中村倫也も、照れて手で顔を覆って「(部屋が)普通の散らかり」とちょっと天然発言する赤楚衛二も、取ってつけた風ではなく自然な形で見せてくれる。

何度も見返したくなるような作りこまれたシーンが、絶妙なバランスで配される。



そして、司法試験に4回落ちた石子と、家族からは圧力、想定外のことにめっぽう弱い弁護士・羽男のコンビが「感謝はしてる」(羽男)「十分有能だと感じています」(石子)とお互いを認め合いながら夏の空を見上げる。いろんなことがてんこ盛りなのにまとまっていて、ドラマの伝えるメッセージは強く浮き出てくる。


毎話ドラマの冒頭で有村と中村がさまざまな格好(ファミレス店員と客、小学生と警官、警官と映画をダウンロードする若者)で提示する身近な犯罪の芽。「カフェで充電したら訴えられた」「息子がゲームで知らないうちに課金してしまった」「ファスト映画」。その芽がきっかけとなって一話完結のストーリーが二転三転していくなかで、そのトラブルに関わる人たちの物語が見えてきて、やがてそこから現代の社会問題とつながる。入口がとても身近で想像しやすい上に、キャストの魅力が存分に発揮されながらドラマを楽しく見られるものだから、視聴者が社会の問題に気付きたどり着くことにストレスがなく、それでいて見終わると相当重いテーマを自分のこととして見つめられるようになっている。

制作発表会見で中村が「見るべき作品」と言っていた意味をドラマを見て噛みしめてしまう。第3話放送後、視聴者からは「考えさせられた」「身に染みました」「ずっと後まで見た人の心に刺さってると思う」「色んな人に見てほしい回」と反響が相次いだ。


今夜の第4話は電動キックボードでの事故が発端となるストーリー。電動キックボードを運転中に接触事故を起こし、転倒した相手が帰宅後に意識を失い病院に緊急搬送。事故の加害者は事故直後に相手の男性を救護し「ケガはない」と言われたと主張する…。加害者役を“めるる”こと生見愛瑠、被害者役をシソンヌ・じろうが演じる。趣里が演じる加害者の姉が、今回の依頼人だ。「人に優しく生きようと思わせてくれるお話」(趣里)「誰にでも起こり得ることなので、改めて私も気をつけなきゃなと思いました」「家族の大切さとか、あったかさを感じる作品」と話す第4話に注目だ。



<第4話あらすじ>

潮法律事務所に堂前絵実(趣里)から弁護の依頼が舞い込む。妹の一奈(生見愛瑠)が運転する電動キックボードにぶつかって転んだ新庄隆信(じろう)が、帰宅後に容体が急変。警察がひき逃げ事件として捜査し、一奈が逮捕されてしまったのだという。

一奈から「すぐに男性に駆け寄った」と聞いた石子(有村架純)と羽男(中村倫也)は示談の可能性を探るが、新庄の妻はひき逃げを主張。裁判に持ち込まれ、羽男は姉で検事の優乃(MEGUMI)と争うことに。

さらに、事故当日の目撃者探しをしていた石子と羽男は、真相を探ろうと思わぬ行動に…!



■金曜ドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』
毎週金曜よる10:00〜10:54

(C)TBS