ソフトバンク・秋吉亮【写真:藤浦一都】

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1年目から3年連続60試合以上登板、17年WBCメンバーに選出

 8月3日の日本ハム戦で、秋吉亮投手がソフトバンクの一員としてマウンドに立った。打者5人に対して2安打(1本塁打)2失点とほろ苦い“デビュー”となったが「次の登板ではしっかりと抑えてチームの力になりたい」と前を向いた。ヤクルトと日本ハムで中継ぎ・抑えとして活躍し、日本代表として国際舞台も経験した右腕にとって、残るシーズンは自らの再起を懸けた重要な数か月となることだろう。今回は秋吉の球歴を紹介。ピッチングの特徴や、新天地で期待される役割についても確認する。

 秋吉は都立足立新田高、中央学院大、パナソニックを経て2013年ドラフト3位でヤクルトに入団。1年目の14年から61登板で防御率2.28をマークし、翌15年は自己最多の74試合に登板。防御率2.36、6勝22ホールドの数字を残した。16年はシーズン途中からクローザーを任され、10ホールド19セーブ。3年連続で60試合以上に登板した。

 17年に開催された第4回WBCでは日本代表の一員としてプレーしたが、レギュラーシーズンでは故障もあって43登板にとどまり、3年連続で2点台前半だった防御率も3.35に。18年は35登板で防御率4.23にとどまった。18年オフにトレードで日本ハムへ移籍し、19年は故障による約1か月の離脱がありながらキャリア最多の25セーブを記録した。

 しかし20年は防御率がワーストの6.37に。昨年は10登板で防御率2.70に終わり、オフにチームを離れる運びとなった。今年はNPB復帰を目指し、独立リーグ・日本海オセアンリーグの「福井ネクサスエレファンツ」に入団。18試合で20回1/3を投げて35奪三振、防御率2.66をマークし、7月16日にソフトバンク入団が決定。約半年でNPB復帰を果たした。

高い奪三振率、昨年までの通算は8.26

 秋吉は76回1/3で81三振を奪った15年をはじめ、NPBでの8シーズンのうち、奪三振率が8.00を上回った年が5度。通算の奪三振率も8.26.。三振を奪う能力が高いことは、リリーフとして大きな強みだろう。ヤクルト時代は15年を除いて与四球率がいずれも2点台と安定しており、奪三振が多く、与四球は少ない、という理想的な傾向を示していた。

 しかし、日本ハムへの移籍以降は3年連続で与四球率が3点台とやや数字が悪化した。被打率は年によってややばらつきがあるものの、昨年は.189とキャリアベストの数字を記録。好成績を残していた15年と16年には、2年続けて被打率1割9分台を記録していた。1イニングで出した走者の平均値を示す「WHIP」でも21年は1.10で、19年と同様の数字を記録している。

 今季のソフトバンクは秋吉と同じ右横手投げの又吉克樹投手がセットアッパーとして開幕から大車輪の活躍。しかし、7月8日の日本ハム戦で右足を骨折、離脱した。昨季までにNPB通算379試合に登板してきた秋吉にはその穴埋めとしての働きが期待される。左封じのスペシャリストである嘉弥真新也投手が防御率1.17(8月4日終了時点)と好調をキープしている点も、秋吉にとってプラスとなる可能性がありそうだ。秋吉は対右打者の被打率が低い傾向にあるだけに、左キラーとしての実績が抜群の嘉弥真との補完性は高いと考えられる。

 加えて、現在抑えを務めるリバン・モイネロ投手の3連投を避けたい試合では、秋吉がスポットで9回を任されるケースも考えられる。開幕時のクローザーだった森唯斗投手が新型コロナウイルスの影響で7月31日に登録を抹消されているだけに、12球団セーブという希少な記録の達成者でもある秋吉にかかる期待も大きくなりそうだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)