大谷翔平は2本の本塁打を放つも、チームは敗れた【写真:ロイター】

写真拡大

6日からマリナーズ戦でイチロー超え通算118本塁打に期待がかかる

■アスレチックス 8ー7 エンゼルス(日本時間5日・アナハイム)

 1試合7本塁打の歴史的アーチショーも届かなかった。試合終了から10分後。エンゼルスのクラブハウスは、負けゲームにも関わらず、なぜか勝利の際に流れるノリノリの音楽が流れていた。奇妙な空間。その中で、悲運のヒーロー・大谷翔平投手は、せっせとシアトル遠征へ向けた準備をしていた。

 10日前に自打球が直撃した右太もも内側は、直径20センチほどの円形で黒ずんでいた。見るからにして痛々しいが、そんな手負いの二刀流が今季5度目のマルチ本塁打の大暴れ。でも、試合は1点差負け。やはり泣けてくる。

 勝負の5年目だったが、すでにポストシーズンは絶望的。この日は2発とも笑顔なし。ここ最近は、毎日毎日、悲壮感たっぷりだ。

「モチベーションは難しいと思いますけど、個人的にもやらなきゃいけないことはたくさんあります。まだまだ続いていく野球人生なので」

 5日(日本時間6日)からの敵地・マリナーズ戦では、イチローさんを抜く日本人単独2位の通算118本塁打に期待がかかる。そして、そのイチローさんが球場にいるかもしれない。奇しくも現役時代は同じような“境遇”だった。稀代の天才打者がアドバイスするなら、一体どんな言葉をかけるのだろうか。

 すでにミナシアンGMはトラウト、大谷を中心としたチーム作りをする方針を見せている。少なくとも、このオフに再契約交渉に臨むだろう。この日、ニューヨーク・ポスト紙の敏腕記者ジョン・ヘイマン氏が大谷のトレード交渉の舞台裏を執筆。他球団幹部の「14か月でオオタニは出ていってしまう。そして1度出たら2度と戻ってこないだろう」との見解を紹介しているが、今季もまだ57試合もある。少しでも希望の光を見出したい。(小谷真弥 / Masaya Kotani)