フェアウェイキープは5回でも、ラフでもいいホールを見極めてスコアを伸ばした(撮影:岩本芳弘)

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<日本プロゴルフ選手権 初日◇4日◇グランフィールズカントリークラブ (静岡県)◇7219ヤード・パー71>
6週間ぶりの国内男子ツアー。オープンウィークの大半をフィジカル再構築のためにトレーニングに充てた石川遼が、5バーディ・1ボギーの「67」、4アンダーで滑り出した。
インの10番から出た石川は、12番パー4の2打目でグリーンを外して、3打目のアプローチを打つときに雷雲接近のため中断。2時間30分後の中断明けでアプローチを寄せきれず、ボギー先行。しかし、16番パー4では2打目を1メートルに寄せてバーディ。18番パー4はグリーン奥のエッジからの3打目を、チップインでアンダーの世界に突入。折り返した1番パー5は3メートルに2オンさせて2パットのバーディとスコアを伸ばした。
「今年の中ではラフが深いセッティング。ラフに入れて160ヤード残るとグリーンに届かせることが精いっぱいという状況ですが、このコースはパー4が長くなかったので、9番アイアンとかピッチングウェッジ以下でラフから狙えました」。フェアウェイからだけでなくラフからの距離感もよく、ラフからでもチャンスメイクがうまくいき好発進につなげた。
この日はドライバーを10回ほど握ったが、ラフに行ったといっても曲がりまくっていたわけではない。自分のミスの傾向とホール形状を確認したうえで、“ラフもOK”のマネジメントが多かったと話す。
例えば、バーディを奪った16番パー4。フェアウェイ右サイドにフェアウェイバンカーがあり、バンカーに届かないクラブで刻む選手が多いが、石川はバンカーを超えるドライバーを握った。「あのホールは右サイドが広くて、左が崖。自分のミスの傾向が右なので、右にちょっと抜ける分には問題ない。フェアウェイに打てる自信があるから打っているというよりは、右のラフもOKと思って打ちました」。結果はいいスイングでフェアウェイをキープした。
また、同じくバーディとした18番パー4では、「右に外すのがダメなホール。今日のピン位置がグリーン右サイドだったのでアングル的に左サイドのラフもある程度許容範囲。左のラフを向いて打ちました」。あと数センチ右ならフェアウェイだったが、“狙い通り”の左ラフに打った。「ピン位置が左奥の場合は、番手が変わるかもしれない」とピン位置から逆算をしてプランを立てている。
昨年や今季序盤に比べると明らかにティショットでドライバーを持つ回数が増えた。「昨年とかは練習をしているときからいろんな球が出ていたので、ドライバーを使わないマネジメントが多かったですね。そのときは逆に200ヤード前後のショットの精度を上げる時期だと思っていて、そこで勝負していました。今は、ドライバーのフィーリングがよくなり、全体的に自分の持ち球が出来上がってきた感じ」。スイングの形が固まりつつあり、球筋も安定し、自信を持って打てているためドライバーを使ったマネジメントが増えている。
やはり一番飛距離の出るクラブを使えれば、2打目で短いクラブを握れる。精度が高くなるし、ラフからでもチャンスにつけられる。「明日は明日で冷静にジャッジをしていきたい」。気を引き締める石川。残り3日、メジャーの舞台で真価が問われそうだ。(文・小高拓)
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