10勝目を挙げたパドレス・ダルビッシュ有【写真:ロイター】

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ダルビッシュは6回107球を投げて3失点で5年ぶり2桁勝利

■パドレス 13ー5 ロッキーズ(日本時間3日・サンディエゴ・ダブルヘッダー第1試合)

 パドレスのダルビッシュ有投手が2日(日本時間3日)、本拠地ペトコ・パークで行われたロッキーズとのダブルヘッダー第1試合に登板。6回を投げ6安打3失点7奪三振と好投し、今季20登板目を2017年以来の2桁10勝で飾った。

 5月19日からの12登板中100球以上の粘投は10試合を数える。この日のマウンドでも今季のテーマに掲げる「できるだけ長いイニングを投げる」を貫いた。

 4回までに84球を費やす苦しいマウンドだった。

 初回は3者凡退に封じる上々の立ち上がりも2回にランドル・グリチャックに2ランを被弾。4回には先頭のブレンダン・ロジャースに3-3の同点とされるソロ本塁打を浴びたが、四球と安打で招いた無死二、三塁のピンチを圧巻の3者連続三振で切り抜けた。戻ったベンチでルーベン・ニエブラ投手コーチに告げられたのは「あと1イニングだからな」。スイッチは完全に切り替わった。

「絶対に嫌だと言うのをわかっているから、僕のリアクションを見たかったと思う。とにかく今日は120球までいきたいと監督に言ってくれと言いました。だからすごく気持ちは入りました」

5回1死一二塁で、一発浴びていたロジャースを併殺に仕留めた

 5回表、1死から2連打を許し一、二塁の場面で打席に迎えたのは同点の一発を浴びている4番ロジャース。1球で術中にはめる。本塁ベースの右前で止まりかけた打球を捕手ノラが好判断で対処。素手でつかみ迷うことなく三塁へ送球。カバーのマチャドがノーステップで一塁へ転送し曲芸的なリレーで“2-5-3”の併殺に仕留めた。

「(やった経験は)ないとは思うんですけど。ただ、あれは、頭にあったんです。あのバッターはツーシームがすごく苦手。自分のところにはワンチャンスで弱い打球が来る可能性も考えていましたが、あそこまでキャッチャーの目の前はなかなかないのでビックリしました」

 表情を和らげたダルビッシュが続けた。

「シンカー(ツーシーム)だったんですけど、シンカーで一番楽しいところはああいうところなので、よかったです」

 この日最少の11球で切り抜けると、ニエブラ投手コーチから6回の続投が許された。

「自分が6回を最低でもいければ、2試合目の戦術は大きく変わってくる」

「力は入ってなかったんですけど。最後のイニングは真っすぐで押し切ろうとノラには言っていて。向こうがあまりにもスライダー系をちょいちょい打つので、それだけ考えてました。とりあえず真っすぐをゾーンに投げようと。それで98マイルが出て、そこでみんなが盛り上がっていたのでよかったなと思います」

 先頭グリチャックへの3球目、98球目にしてこの日最速の98マイル(約158キロ)を計測すると、7番コナー・ジョーを97マイル(約156キロ)のシンカーで見逃し三振に仕留め3者凡退で責任を果たした。

「自分が6回を最低でもいければ、2試合目の戦術は大きく変わってくるので。自分自身でその状況に置くというのはもちろん簡単なことではないんですけれども、それの方が僕は気持ちが入ると思っていた」

 パドレスは第2試合をサヨナラ勝利で飾り6月半ば以来となる4連勝。ダルビッシュ有の気概に満ちた107球がしっかりと結びついた。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)