「外国の洗面台は買わないで!」元水道屋さんが作った悲痛の歌には切実な理由があった

“元水道屋”と名乗る人物がTwitterに投稿した「外国の洗面台買うな、の歌」と題する歌が話題となっている。「頼むから外国の洗面台買うな」と繰り返す真意とは。
元水道屋からのお願い。外国のちょっと小粋でお洒落な水栓を買わないで欲しい歌。決してカクダイの回し者ではない https://t.co/UXdy7V5P7r
— ぎょりー👨🍼 (@Gyo_ree) 2022年7月21日
こちらの歌を作ったのは、ぎょりー(@Gyo_ree)さん。なぜお願いの歌を作るまでに至ったのか?ご本人に聞いてみた。
そのオシャレ心、法律違反になりかねません!!
なぜ今、このような歌を作詞し、投稿されたのでしょうか。
“元”水道屋ではありますが、現在も建築関係の仕事をしています。そのため今も、水道に限らず日頃からこのようなことで頭を悩ませておりました。
想いを歌にしたのは、単なる注意喚起だと「怖さ」とか「怒り」を感じさせてしまって不興を買いそうだなと思ったからです。強い言葉にするよりは、現場の「苦労と哀愁」みたいなのが伝わって受け入れてもらいやすいかなと考え、歌にしました。
最近はインターネットで、個人で簡単に海外の製品を注文・入手できてしまいます。SNSで部屋をおしゃれにリフォームしたりする動画が流行っている影響もあり、個人で入手した器具を取り付ける方も多いと聞きます。その実態に「あぁ、これ数年後には大変なことになるなぁ…」と。
そもそも、個人で入手した海外の水栓取り付けは、厚生省の定めた『給水装置の材質の基準に関する省令』に違反している可能性が高く、平たく言えば水道法違反なのでダメなのです。
実際に取り付けできなかったという経験はありますか?
「個人で購入した洗面台を取り付けして欲しい」という依頼があり、職人が見にいったらロココ調の箪笥(たんす)みたいな洗面台がありました…。
取り付け自体おそらく水道法違反ですし、日本の水道管と外国の洗面台とはネジの規格があっていませんから「うちではできません」とお断りするしかありませんでした。
「修理できない 取り寄せできない 部品がない」の部分に関しては?
実際にあったケースは、「水栓の水漏れを直して欲しい」とのご依頼で伺ったら外国製で、まず品番も何も表記がないのでメーカーを調べようがない。あきらめて水栓ごと取り替えをお願いしましたが、ネジの規格が合っていないので壁の中に仕込んでいた配管から取り替えることに。値段のことなどで揉め、正直お断りしたかったです。
販売元が判明してても、外国製の部品取り寄せは空輸です。水漏れの修理で伺ったケースでは、国内品ならその日のうちに8,000円くらいで修理できたものが、部品代に3万円くらいかかり、修理完了まで3ヵ月。
納得のうえお待ちいただけることもありますが、金額や納期で揉めることが多いので「関わりたくない」というのが本音です。
「同じ理由でホームセンターのクソ安い衛生陶器も修理できません」と投稿されていますが、こちらはどういうものでしょうか?
同じ理由でホームセンターのクソ安い衛生陶器も修理できません
— ぎょりー👨🍼 (@Gyo_ree) 2022年7月21日
ホームセンターのオリジナルブランドや、ホームセンターで買える国内メーカー品で正規カタログに載っていない低価格の洗浄便座などです。
これらも微妙に規格が違い、一般の水道屋では修理できないのです。購入したホームセンターに問い合わせたら修理してもらえるはずですので、海外製よりはまだ安心ですが。
どこの家庭にも必ずある、洗面台やトイレの取り付けや維持に、これだけの水道屋さんの苦労と悲哀が詰まっていたとは…。
メロディーと歌もついてしまった
ぎょりーさんのこの投稿には同業者の賛同の声が集まる中、メロディーをつけて歌う猛者も現れた。こちらの投稿主は、Seaoftrees08(@seaoftrees08)さん。
@Gyo_ree .......すみませんやりたかっただけです。若干歌詞変わってますけど() https://t.co/6kS7i8Fkps
— Seaoftrees08 (@seaoftrees08) 2022年7月22日
サビ部分から入るコーラスの重厚感が何ともグッとくる。
なんだか壮大な気持ちに浸ってしまったが、水漏れには浸らないよう、外国製のオシャレな水回りの器具は「まず修理できないもの」と覚悟しておいたほうがよさそうだ。
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