Tレックスも凌駕する肉食恐竜ギガノトサウルス(左)
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 映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(全国公開中)の要となるアニマトロニクスを担当したジョン・ノーランがリモートインタビューに応じ、本作で初登場する肉食恐竜ギガノトサウルスの制作過程を語った。

 『バットマン ビギンズ』『タイタンの戦い』『メリー・ポピンズ リターンズ』といった大作映画に携わってきたノーランは、自身のスタジオ「John Nolan Studio」を率いる気鋭のアーティスト。『ジュラシック』シリーズ完結編となる本作では、アニマトロニクスのスーパーバイザーとして27体の恐竜を制作した。

 アニマトロニクスの制作期間は、恐竜の種類によって変動すると語るノーラン。中でも、T-レックスよりも巨大で、肉食恐竜の頂点に君臨する新恐竜ギガノトサウルスは多くの時間を費やしたそうで、「車よりデカい頭部は制作に3か月かかりました」と明かす。

 「まず、VFXチームからギガ(ギガノトサウルスの愛称)のデータをもらいます。そこから、6センチほどの小型アニマトロニクスを制作して、コリン・トレヴォロウ監督をはじめとするクリエイター陣と、恐竜の可動域について会議を行いました。話し合いがまとまった時点で、実物大のアニマトロニクス制作にとりかかります。特殊効果チームの協力のもと、2〜3トン近い金属を使った巨大な頭部ができあがります。そこに目玉、自在に動く口や舌を、15センチ近い厚さの皮膚を取り付けて完成です」

 ギガノトサウルスは「VFX、特殊効果、アニマトロニクスの3チームが共同で制作した最高傑作です」と自信をのぞかせたノーラン。その言葉通り、実際の撮影ではクリス・プラット、サム・ニールら新旧キャストを本当に怖がらせるほどだったそうで、「最高でしたよ。彼らが本気で絶叫している動画は、今もスマートフォンで大切に保存しています(笑)。ギガノトサウルスの雄叫びは、最新のサウンドシステムによって繰り出されるので、実際に聞くと足がすくむほどリアルなんです」と明かした。

 新型コロナウイルスのパンデミック下で撮影された本作。多くのスタッフが関わるアニマトロニクスチームも、コロナの打撃を受けていた。「至近距離で作業をすることが多い部門なので、非常にトリッキーな撮影でした。ディロフォサウルスは通常12人体制で動かすのですが、密になってしまうため、人数を減らさざるを得ませんでした。ソーシャル・ディスタンスを保って動かす必要があったため、長いケーブルを使って遠隔操作するなど、さまざま工夫が求められました」

 ノーランにとって、『ジュラシック』シリーズは「アニマトロニクス制作者を続けている理由」だという。「1993年の『ジュラシック・パーク』が私たちの仕事を確立させました。スティーヴン・スピルバーグが生み出した恐竜たちは、30年経っても色褪せない。1作目のT-レックスを見るといまだに鳥肌が立ちますよ」(取材・文:編集部・倉本拓弥)