UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。

7月20日(水)の放送では、フードデザイナーの小枝指来実(こえさし・くるみ)さんがゲストに登場。UoCで開催中のゼミの詳細や、ジビエが浸透しない理由などについて語ってくれました。

(左から)Hide、小枝指来実さん、Misa


小枝指さんはフードデザイナーとして、料理の撮影やレシピ作成、食のイベントの他、企業と協働で駅弁や調理家電の商品開発などに携わっています。UoCの第2期ゼミでは「食にまつわる人の暮らし方」を担当。食と暮らしを見つめ、素材を触って体感するワークショップをおこなっています。

◆食を通じて自分の暮らしを見つめ直すゼミを開催

Misa:UoCではキッチンに立っていろんなお仕事をされています。現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか?

小枝指:離島のイノシシ・鹿肉の商品開発とか、アパレルショップに併設されているカフェのコンサルをやっています。

Misa:来実さんが食の仕事を始めたきっかけは何でしたか?

小枝指:そもそも、食べ物とものづくりが大好きなんですよ。食べ物に関係した学校に通っていたんですけども、そこは管理栄養士の養成課程だったので食べ物そのものを取り扱うことが多かったんですが、途中で食べることやその周辺のことが好きだってことに気付かされて、今に至っています。

Hide:だから、UoCのゼミの内容も「食にまつわる人の暮らし方」なんですね。

小枝指:そうなんです。私にとって食はメディアなので、食べ物であることだけではなく、その周りとか先にあることが大事なんですね。食材研究をするゼミではなくて、その先にあるものを目指しています。

Hide:食べ物はメディアでいろんなものが入る場所であり、食べるだけじゃないってことですね。

小枝指:はい。栄養士の大学に通っていたときは、食物の栄養的価値を最大化して、その人にフィットしたものを届けることを重視していました。それも一つの食の役割なんですが、食はそれだけじゃないっていうことを、友だちが紹介してくれた撮影のお仕事で知ったんです。食べ物に想いが込められていることとか、食材や作ってくれる人のバックグラウンドとか、場を円滑に進めるための食べ物の仕掛けが好きだってことに気付かされました。

Hide:なるほどね。ゼミではどんなことをされているんですか?

小枝指:「食にまつわる人の暮らし方」では、食に関わっている方のお話を聞いて、自分の暮らしを見つめ直す作業をしてほしいなと思っています。タイトルのまんまなんですけども(笑)。

Misa:すごく魅力的なタイトルだと思います。

小枝指:ゼミ生は食材にも興味があるのですが、「自分の暮らしはこのままでいいのか」と考えていたり、移住に興味を持っていたりするんですね。ライフスタイルを見つめ直したい方が多かったりします。ゼミでは毎回ゲストがいらっしゃって、お話を聞きます。対話をしてから食材に触ってみて、調理をして食べて、片付けをするみたいな内容です。

Hide:どんな方がゲストにいらっしゃるのですか?

小枝指:山形の農家さんや対馬でジビエを扱う方など様々です。対馬の方には猪の部位をすべて送ってもらって、それぞれの部位を猪の形に並べてみるということをやりました。

Hide&Misa:おおー(笑)

◆食べ物の感想を口にすると味を記録しやすい

Misa:しんどい仕事をお願いされるときとかに、おいしい食事に連れて行かれることがあるんですよ。でもそういうときって何の味もしないんですよね。

小枝指:しない、しない。

Misa:大事な話のときほどおいしい食事の店に行くけど、緊張しすぎて何の味もしないんです。

Hide:わかるなあ。

小枝指:そういうときって、食べ物の感想をあまり言い合わないんですよね。食べ物が大事じゃなくって、その場でコミュニケーションを取ることがメインになっている。そうなると、食べている料理の味や感想を言語として体のなかに記録しないんですよ。

仲のいい友だちとご飯に行って「盛り付けかわいいね」「トマトの酸味が最高だね」みたいな話をすると、どんどん味とかが記憶に残っていきます。

Misa:へええ!

◆ジビエが人々に浸透しない理由は?

Hide:いま、日本中で有害鳥獣による被害が増えているんですよね?

小枝指:そうですね。その対策の一環で、イノシシや鹿を獲っている部分が大きいんですが、イノシシや鹿を食べる人が増えていかないと、お肉にしたところでしょうがないんですよ。食べてくれる人がどうやったら増えるのかっていうのは、日本全国の課題だと思います。ゼミでもその問題を一緒に考えてみたりしています。

Hide:ジビエってあんなにおいしいのに、なんで広がっていかないんでしょうか? 鮮度を保つのが難しいとか?

小枝指:まず、現代的に日本の食生活にイノシシや鹿の肉が(一般的な食材として)馴染むのに時間がかかっている点はあると思います。それ以外にも例えば、ぼたん鍋だと脂身がたっぷりあるお肉を想像される方が多いと思うんですね。

Hide:そうですね。

小枝指:でもジビエって家畜じゃないので、何を食べているか管理されているわけではないんですよね。なので、すごく脂が乗っているときもあれば、そうじゃないときもある。

Hide:ばらつきがあると。

小枝指:あと季節によっても変わってきますし、個体ごとに個性もある。天然だと品質管理を一律にするのは難しいですよね。

Hide:みんな工業製品みたいに品質が一定で高いものを欲しがっちゃうから、天然ものが求められないんですね。

小枝指:規格に沿ったお肉にみんなが慣れ過ぎているんですよね。これは一概にいいとか悪いという話ではないです。安定して生産されることで、みんなが安全でリーズナブルに食材を手に入れられておいしいものが食べられる側面もあると思うので。自分で考えて取捨選択というか、「選べる」っていう状況を作り出せたらいいなと思っています。

Misa:なるほど、確かに。では最後に番組恒例の質問を。来実さんにとって、ワクワクする社会創造のタネは何でしょうか?

小枝指:「人と交わること」だと思います。自分の考えられる範囲というのは限られていて、誰かとの違いを知ることによってすべてが生まれると思うんです。私は人が好きだから食の仕事をしているって部分が大きいんですよね。誰かを知ることや違いを知ることが自分の原動力になっているし、それが社会創造のタネだなと思います。



次回7月27日(水)は、元パタゴニア日本支社長で、社会活動家、ソーシャルビジネスコンサルタントの辻井隆行さんがゲストに登場します。お楽しみに!

番組でお届けしたトークは音声サービス「AuDee」 https://audee.jp/voice/show/47297と「Spotify」 https://open.spotify.com/show/6biaO40gUuf4gbI2QhdTsL?si=C2-xOifkQz230V6X514UlAでも配信中。ぜひチェックしてみてください!

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聴取期限 2022年7月28日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala