「ミニチュアは実物を見ていただくのが最高」(Mozu) 撮影/内田涼

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ミニチュア、コマ撮りアニメ、トリックラクガキで話題のクリエイター・Mozuこと水越清貴の初の個展『Mozu アートワーク -ちいさなひみつのせかい-』が丸東京店11階催事場にて開催中。

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それに先立ち、プレス内覧会が行われ、水越氏は「ミニチュアは実物を見ていただくのが最高なので、ぜひたくさんの方々に見ていただければ」とアピールした。

高校時代から現在までに制作された約70点の作品を展示

日常の風景をリアルに再現したミニチュアがSNSで注目を浴び、メディアなどの多方面から取り上げられているアーティストMozu(モズ)こと、水越清貴。

まるで部屋の片隅にこびとが住んでいるかのような、リアリティがあるミニチュア「こびとシリーズ」などで知られ、多くのSNSフォロワー数を持つ話題のクリエイターだ。

今回の個展には、高校時代から現在までに制作された約70点の作品群がずらりと並ぶ。

「人を驚かせることが大好き」。そんなMozuの精巧で遊び心あふれる作品はもちろん、細密図や絵コンテ、アイディアノートなどMozuの世界を網羅しており、一部作品を除き、写真撮影なども可能な体感型の展覧会になっている。

会場に足を踏み入れ、まず目に飛び込んでくるのが、作家デビューのきっかけにもなった「自分の部屋」(2014年)のミニチュア作品。

高校1年生の頃に初めて本格的に作ったミニチュアで、「楽しすぎて夜眠れなかったのを覚えている」と振り返る原点ともいえる作品だ。

また、「自分の理想の部屋を一から作り上げた」という「友達の部屋」(2017年)は、部屋の間取りから家具のデザインまで、「すべてが思い通りに作れた」という自信作。

「自分の部屋」と比較するだけでも、クオリティの向上ぶりは一目瞭然だ。机の上のノートや教科書、食べ終わったお菓子の袋、無造作に置かれたお札といったディテールは、ぜひ実物を鑑賞し、確認してほしい。

壊れた冷蔵庫や古新聞、ゴミ袋などが散らかる「ゴミ捨て場」(2015年)は、近所のゴミ捨て場に通い、徹底的な観察を経て完成に至った。

高校3年生の1年間を費やし、学習机とイス34セットを配置した「教室」(2016年)は自身が手掛けるコマ撮りアニメーションの舞台にもなっている。

細部にまでわたるこだわりはもちろんのこと、見る人を笑顔にさせるユーモアもMozu作品の魅力のひとつ。

「なんでも巨大になったらアート作品のようになるのでは」という発想をもとに、極小の美術館を作ることで、相対的になんでも小さくなる「美術館」(2019年)はその最たるものだろう。

もしも自分の部屋に“こびと”が住んでいたら…?

もしも、自分の部屋に“こびと”が住んでいたら。そんな空想を具現化したのが、Mozuの代表作ともいえる「こびとシリーズ」だ。

シリーズ第1号となった「こびとの階段」をはじめ、駅、床の間、非常階段、押し入れ、ベランダ、用水路など、本当にここにこびとたちが暮らしているような生活感あふれる仕上がりに目を奪われるはず。

特に思い入れが強いという「こびとの秘密基地」(2019年)は、コンセントカバーを開くと、狭い空間に作業机やテレビ、エアコンなどが詰め込まれ、無線LANのルーターもチカチカと点滅。

電子レンジの中にはラップした料理まで入っている凝りようで、完成するまでに費やされた時間は約4カ月。「ルーターが点滅しているところを再現したい」という思いから制作が始まったという、小さな超大作だ。

会場の照明が暗めになっているのも、Mozuの強いこだわり。「作品の中ではライティングが重要になっているので、会場を少し暗めにしていただき、スポットライトで作品が目立つように調整した」。

また、子どもも鑑賞しやすいよう、ミニチュアのそばには足場も設置された。子どもの頃から物づくりが大好きだったというMozuの優しい心遣いだ。

今回の展覧会では、紹介した造形物に加えて、オリジナルキャラクター「マルとパッチ」が登場するコマ撮りアニメの上映や、「クレヨンしんちゃん」の新オープニングで使用された、野原家を忠実に再現したミニチュア模型の展示も。こちらは写真撮影ができなくなっているので、ぜひその目でじっくりを鑑賞してほしい。

なお同展は、東京での開催の後、8月11日(木・祝)より8月29日(月)まで横浜郄島屋ギャラリー 8階へ巡回。その後、熊本、高知など全国巡回を予定している。

開催情報

『Mozu アートワーク -ちいさなひみつのせかい-』
7月22日(金)〜8月9日(火)、大丸東京店11階催事場にて開催