安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検された無職・山上徹也容疑者(41)が、Twitterで宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」を批判する投稿をしていたことがわかった。本人のものとみられるTwitterアカウントで、2019年10月に投稿を開始している。

 2019年10月14日には、《オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない》と旧統一教会への恨みを述べると、2019年12月7日には、《ネトウヨとお前らが嘲る中にオレがいることを後悔するといい》と自身を《ネトウヨ》と認めるツイート。

 安倍政権については、2020年8月31日に、安倍政権を批判するツイートに対し《安倍政権の功を認識できないのは致命的な歪み。永久泡沫野党宣言みたいなもの》とリプライ。

 2022年3月22日には、同じく安倍政権を批判するツイートに対して、《下らないねえ》《安倍憎しの最初にありきが見え見えの愚論》などと安倍政権を擁護するツイートを繰り返していた。

 山上容疑者と思われるツイートについて、米山隆一衆院議員が本誌取材にこう話す。

「冷笑系のネトウヨといえますね。リベラルが安倍氏を批判することに対して、冷たい口調で非難している。リベラルならどれほど非難してもかまわないという風潮を拗らせた人が凶行に及んだといえるわけです。だとしたら、これまで語られていた『安倍批判が凶行を招いた』という意見はおかしいじゃないですか」

 評論家の八幡和郎氏は、ウェブメディア『アゴラ』に『安倍狙撃事件の犯人は「反アベ無罪」を煽った空気だ』という記事を寄稿。《安倍晋三氏については、特定のマスコミや有識者といわれる人々が、テロ教唆と言われても仕方ないような言動、報道を繰り返し、暗殺されても仕方ないという空気をつくりだしたことが事件を引き起こした》と指摘した。

 フジテレビ上席解説委員の平井文夫氏も、『FNNプライムオンライン』に『安倍晋三さんを死なせたのは誰だ』という論説を執筆。八幡氏の論考を引用したうえで、

《「闘う政治家」だった安倍氏に対しては攻撃もまた激しかったが、中には「許さない」とか「死ね」とか明らかに常軌を逸したものもあった。そしてそうした言動に対して私たちは「ダメだ」とはっきり言ってこなかったのではないか(中略)

 私たちが苦しんでいるのは、日本という国が、この社会の空気が、安倍さんを殺してしまったのではないかということなのだ》

 と結んでいる。

 再び、米山氏が言う。

「山上容疑者が冷笑系ネトウヨだったことに対して、八幡氏や平井氏は、『安倍批判が凶行を招いた』論を訂正するのが、少なくとも言論人としての責任じゃないでしょうか」

 山上容疑者と見られるツイートが報道されると、ネット上には驚きの声があふれた。

《山上容疑者、「アベガー」ではなく「ネトウヨ」じゃん》

《山上容疑者、元自衛官のネトウヨだったという衝撃の事実》

《ネトウヨの方が山上容疑者と近しいやないかーい。もう無駄な左派叩きはやめてみんなでカルト排除しようよ》

 安倍元首相の銃撃事件の背景は、冷静に議論される必要がありそうだ。