「エルメス製品の定価買い」を狙う“エルパト”。出現した瞬間、激しい争奪戦に

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―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

◆定価で買えれば万々歳のデイトナ

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。ブランド品に興味がない方からすると、「入手困難な高級品がある」ということは理解し辛いかもしれませんが、高級品ほどそういったアイテムが多くあります。

 例えば、腕時計の場合では、20年以上も前からロレックスのデイトナ(ステンレスモデル)が入手困難という状態が続いています。2022年現在、デイトナ116500LNの定価は約160万円でありますが、中古市場では380万円台以上といった相場となっています。

 そうなると、定価でデイトナを入手することが出来たならば、買った瞬間に「高く売れる可能性」があるわけで、自分用に欲しいという方だけでなく、転売目的で買うという人も出てくるわけです。

 なんとかして定価でデイトナを手に入れたいという人は、毎日正規店をめぐり「デイトナありますか?」と聞いて回るわけですが、そのような行為は「デイトナマラソン」と名付けられ、時計好きの間では知られた言葉となっています。

◆エルメスパトロール、通称“エルパト”

 従来、定価100万円超えといった価格帯の高級品は、一部のお金持ちが買うアイテムだったわけですが、多くの人が「欲しい」と思った結果、今や「100万円だったら安い」という状態になっているのが面白いところです。

 そして、「デイトナマラソン」ともう一つ、同じような用語があるのですが、それが「エルパト」であります。これは、「エルメスパトロール」の略なのですが、どういった意味かというと、エルメスの実店舗、もしくは公式オンラインショップを注視し、なかなか手に入らない製品をチェックするという行為であります。

 ということで今回は、「デイトナマラソン」と比較すると、まだ知られていない「エルパト」についてお伝えしたいと思います。

◆デイトナマラソンとエルパトの違い

 エルメスといえば、バーキンが最も入手困難で、その人気度や入手困難さは、まさにデイトナと同じポジションだといえます。また、バーキンも定価以上で取引されることが多く、デイトナと同じく「定価で購入できたならば、転売可能なほど、市場の相場が高い」という傾向があるといえます。

 しかし、エルパトの場合、対象となるのはバーキンに限りません。エルメスの革製品は、全体的に品薄傾向で、「いつでも買える状態でない」という特徴があります。

 通常の高級品であれば、「いつでも売っている」のが当たり前だから、「いつか買えば良い」と思うわけで、“結局は買わない”ということもありえます。

 けれども、エルメスの革製品は、いつでも売っているわけではないため、欲しいと思った場合、「見つけたら即買い」が基本となるわけです。エルメスの場合、そこまで強く欲しいと思っていなかったアイテムに、たまたま巡り合ってしまった場合でも、「もう買えるチャンスが無いかも」という心理から、買うという行動になるのだと思います。

◆エルパトの対象となる製品

 エルメス場合、実店舗と公式オンラインショップとで、入手難易度が高い製品が分かれる傾向にあるのですが、ここでは公式オンラインショップのエルパト対象アイテムを紹介したいと思います。

 エルメスの製品は、公式オンラインショップでは以下のカテゴリーに分類されています。
 ・ウェア
 ・スカーフ、ショール&マフラー
 ・シューズ
 ・バッグ&スモールレザーグッズ
 ・ベルト
 ・ハット・手袋
 ・ファッションジュエリー
 
 これらカテゴリーの中で「エルパト」の対象となるのは、主に「バッグ&スモールレザーグッズ」です。そして、その「バッグ&スモールレザーグッズ」の中にもさらなるカテゴリーが形成されています。