厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第8回:スワッグチェーン

 現役時代に快速で鳴らしたメジャーエンブレム。その名牝の子がまもなくデビュー戦を迎える。

 美浦トレセンの田村康仁厩舎に所属するスワッグチェーン(牡2歳/父ロードカナロア)である。


スワッグチェーンの母は、2016年のGINHKマイルCを制したメジャーエンブレム

 同馬の母メジャーエンブレムは、2015年6月にデビュー。初陣を完勝すると、続く500万下(現1勝クラス)のアスター賞(中山・芝1600m)も2着に2馬身半差をつけて快勝した。

 その後、3戦目にはGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)に参戦。スローペースで逃げたものの、最後はキレ味勝負となって、デンコウアンジュの強襲に屈して2着に敗れた。

 しかし、この教訓を生かしたGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)では、よどみのない流れのなか、自らのリズムで疾走。4コーナーで早くも先頭に立つ強気の競馬を見せると、そのまま押しきってGIタイトルを手にした。

 さらに圧巻だったのは、年明け初戦に挑んだGIIIクイーンC(東京・芝1600m)だ。ここでも速いペースで逃げると、最後は後続に5馬身差をつける圧勝劇を披露。勝ち時計も1分32秒5という驚異的なタイムをマークした。

 そして、迎えた3歳牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(阪神・芝1600m)。断然の1番人気に推されたが、道中7番手という位置取りを強いられて4着に敗れた。

 それでも、続くGINHKマイルC(東京・芝1600m)で見事にリベンジを果たす。スタートを決めると、軽快なペースを刻んでトップを快走。直線に入ってからライバルたちが追撃を見せるが、最後まで抜かせずに鮮やかな逃げきり勝ちを収めた。

 GI2勝目を挙げて、さらなる飛躍が期待されたが、秋に備えた放牧先で負傷。以降、戦列復帰を目指して調整を進めるも、結局それが叶うことはなく、現役引退となった。

 スワッグチェーンは、そんなメジャーエンブレムの3頭目の子。現在は初陣に向けて調整を重ねているが、厩舎スタッフは同馬についてどう評価しているのだろうか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「スワッグチェーンは3月に一度入厩し、ゲート試験合格後に放牧に出されました。成長をうながされて夏場に戻ってくると、『もともとスラッとしていた体型でしたが、さらに背が伸びた』とスタッフ。その姿を見て、同僚のカメラマンも『馬が相当変わった』と漏らしていました。

 スタッフによれば、性格的には大人しくて扱いやすく、『中距離が合いそう』とのこと。陣営は2000mあたりの距離に適性を感じているようでした」

 母はマイルで活躍したが、息子はその体型と性格から母よりも長めの距離での活躍が見込まれ、デビュー戦も福島・芝2000mの2歳新馬(7月23日)を予定。鞍上は三浦皇成騎手が務めるそうだ。

 なお、スワッグチェーンの調教の動きについて、先述のトラックマンはこう語る。

「調教ではまだピリッとしていない印象があります。スタッフからも『晩成気味かも』という声が聞かれました。とはいえ、調教の本数を重ねるにつれ、『動けると思う』といった意見も。いずれにせよ、厩舎としては楽しみな1頭であることは間違いないようです」

 2015年の2歳女王を母に持つスワッグチェーン。母同様に早くから活躍できるのか、まずは初戦の走りに注視したい。