コロナ破たんは引き続き高水準、第7波対策の行方に注目 東京商工リサーチ

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 東京商工リサーチは15日、新型コロナウイルスの影響で7月に経営破たんした国内事業者数が、15日時点で90件に達したと発表した。引き続き昨年を上回るペースで推移している。アパレルなどコロナの影響が大きい業界で業績の回復が見られる中、第7波拡大への警戒感も高まりつつある。コロナ対策の内容によっては、個人向けサービス産業の業況が再び悪化しかねない。

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 東京都は15日、都内で新たに確認されたコロナ感染者数が1万9,059人で、前週金曜日の約2.17倍に達したと発表。年代別では20代が最も多く、この年代における3回目のワクチン接種率の低さについて、政府は課題認識を持っている。人工呼吸器ないしECMOを使用する重症患者は1名増え16人となり、死亡者は2人が確認された。

 7月に入り感染者数が急増する中、東京都は14日に感染状況の警戒度を「大規模な感染拡大が継続している」へと1段階引き上げた。一方、同日に開かれた政府分科会では、第7波で主流の派生型における重症化率の低さを理由に、対策の緩和検討が求められている。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間16日午前9時時点で5億6,104万人超に達した。国別の最多は米国の8,939万人超、次いでインドが4,371万人、ブラジルが3,325万人。以下、フランス3,288万人、ドイツ2,956万人、イギリス2,328万人、イタリア1,998万人と続く。日本は直近4週間の新規感染者数が世界で8番目に多く、累計感染者数は1,010万人を超えた。

 ファーストリテイリングは14日、2022年8月期の純利益について従来予想を上方修正し、前期比47%増の2,500億円になるとの見通しを示した。海外事業の好調に加え、国内でも、値引きの抑制による粗利益率の改善や物流コストの見直しがプラスに働いた。しまむらは、客足の回復を受け、2022年3〜5月期の純利益が過去最高の102億円に達した。コロナの影響で客足の鈍かったアパレル等で業績の回復が鮮明になりつつある。

 かかる状況下、東京商工リサーチは、新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数がハイペースを維持しているとの結果を発表した。7月は15日時点で90件、コロナ発生以降の累計では3,874件(負債1,000万円未満を含む)に達した。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで3万4,453人となる。

 大手アパレル等の業績が上向くなど、コロナで大きな影響を受けた業界の回復が鮮明になりつつある。一方、足もとでは第7波が急速に拡大しており、今後の事業環境の不透明感は高まっている。中小事業者においては資金繰りで苦慮する企業が多く、厳しいコロナ対策・規制が再び導入されることで飲食や宿泊などの破たん件数がさらに増えかねない。