ダイキンと京セラによる「パフォーマンス向上起床システム」のイメージ。(画像: ダイキンの発表資料より)

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 6月18日の読売新聞オンラインが、『「ヤクルト1000」ずっと売り切れ、急拡大する「睡眠市場」・・・眠りに悩む人が増えている』と題する記事を配信した。SNS上でヤクルト1000は「乳酸菌:シロタ株」を多く含むことでストレスを低減し、睡眠の質を高めるとブレイクしていると言う。

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 睡眠市場という言葉に興味を覚え、調べて見た。

 米国のシンクタンク:ランド研究所の試算に出会った。それによると・・・

『睡眠不足がもたらす経済損失は、日本の場合はGDP比2.92%:約15兆円。調査対象とした米・英・独・加・日の中で最も悪い数値』

『主要国の平均睡眠時間で日本は21位。7時間22分。ちなみにトップの南アで9時間13分』

 さてここからが本論。

 良好な睡眠を実現するためには「スリープテック(機器)」が不可欠な状況だと言う。世界の市場は2020年で125億ドル。これが27年には406億ドルと想定されている。年間平均成長率17.8%。対して国内の市場調査企業:シードプランニングによると、日本は21年段階でテクノロジー関連以外の寝具などを含むトータルな睡眠関連市場は1兆6200億円。スリープテック市場は4600億円、約28%にとどまっている。

 スリープテックとは「スリープ(睡眠)」と「最新のテクノロジー(IT技術)」を掛け合わせた造語。日本のスリープテック市場の成長余地は大きい。

 成長必至市場であることは、特異なスタートアップ企業が相次いでいる点にも見て取れる。ニューロスペース(企業向け睡眠改善プログラム開発。実績で100社を超える)。ブレインスリープ(独自の睡眠偏差値を事業化。睡眠の質を高める枕も開発・販売)。アクセルスターズ(睡眠と覚醒を高精度で見分けるアルゴリズムを開発)etc。

 国内の大手企業でもスリープテック領域に参入している事例が少なくない。ダイキン(東証プライム)は京セラ(同)と共同で「心地よい起床」の研究を進め、「パフォーマンス向上起床システム」なるものを開発している。パナソニック(同)では「睡眠の質改善」を謳った「エオリアスリーブ(エアコン)」を発売している。寝具の大手:西川はパナソニックと共同で「快眠環境サポートサービス」をリリース、センサー搭載のSIマットレスを開発している。

 知人は下戸。私を「いいよな、お前は酒で寝られるから」と言う。彼は病院で「睡眠導入剤」を処方してもらい服用している。不眠症治療薬の需要も増していくだろう。不眠症治療用のアプリも臨床試験がフェーズIIIまで進んできている。グローバルインフォメーションの調査では不眠治療薬の世界市場は、21年で51億2484万ドル。これが25年には78億744万ドルまで拡大するだろうと推計されている。

 酒で眠れる私は「幸せ者」と、酒の神に感謝?しなくてはなるまい。