「落ち着きがない子ども」2つの“効果的な改善方法”&上手な接し方

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「落ち着きのない息子」に振り回されていたり、手を焼いているママ・パパは少なくありません。

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そこで本記事では、園の理事長などを務めながら保育の問題を解決している、元公務員保育士の今津太陽さんに「落ち着きのない子」との上手な接し方や、育て方のコツを伺いました。

「落ち着きのない男の子」に悩む親は多い…原因はあるの?

--まず、未就学児の「落ち着きのない子」について悩みやストレスを抱えるママ・パパが多いことについて、今津さんに意見をうかがいました。

今津太陽さん(以下、今津)「僕にも娘と息子がいて、夫婦は二人とも保育者ですが、息子のほうは手に負えないことが多いです。『ほめて育てたいのに、ほめるところが…』という言葉が出てしまうほどです。

おそらく、男の子の落ち着きのなさは人類共通の悩みで、女の子を持つ親からは理解されにくいことでしょう。

男の子ならではの特徴は、1歳、2歳くらいからその片鱗が現れ始めます。保育園では、1歳児クラスではすでに縄張りがあり、その空間に入ったものならひっかかれるか、噛みつかれるかします。

2歳児クラスになると、何人かは友達同士で恐竜の服を着て、恐竜になりきって登園してきます。就学前の5歳〜6歳になっても、まだ何かと戦っているし、仲間たちが増えパワーアップしていきます。男の子はずっとこんな感じです。

ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)というケースもありますが、基本的には“そういう生き物”なんです」

男の子への接し方で大切な「2つのこと」

--今津さんは、男の子たちに対してどのように接しているのでしょうか?

今津「男の子に対して僕が大事にしていることは2つあります。

一つは“共感”という技を使うこと。『◯◯したかったんだよね』というものです。そして、もう一つは『そういう生き物だ』と割り切って接することです。

男の子は、“予想不可能な生き物”。その認識を大前提として持っておくことが大事だと考えています」

--なぜ「共感」と「割り切り」を行っているのでしょうか。

今津「男の子は“頑固”で“衝動的”で“不器用”です。私自身もそうなので。これは大人になっても変わらないかもしれませんね。

共感と割り切りで対応している理由は、男の生態を理解したうえで、それを受け入れて子育てしたほうが断然楽しいからです。僕は子育ても保育も楽しんでいます。

そして、保育者だからこそ身についている大事な部分が“共感”だと思っています。人間、誰しも否定ばかりはつらいものです。だから、一度は“共感”してあげる。これは保育の基本でもあります。そこが抜け落ちると『もう!』『なんで?』という気持ちしか出てきませんからね。親も子どももつらいだけです。

男の子は、ネタとケガが尽きません。実際、不可解な行動をネタとしてためておけば一冊の本があっという間にできあがるでしょう。ケガは勘弁してほしいですけどね」

--日々、男の子と一緒に生活していると、電車の中で大声で話をしたり、じっと座っているのが苦手で歩き回ろうとしたり、外で急に思わぬ方向へ走り出し、交通事故にあいそうになったり、親子でのお出かけ先や家庭で落ち着きを失い、騒いだりと困るシーンって多いですよね。

そこで日々、困っているママ・パパ向けに、落ち着きがない男の子への接し方の具体的なアドバイスをいただきました。

今津「保育の現場で先生から怒られているのはたいてい男の子です。この前は友人の息子が家のゴミ箱に向かっておしっこをした話を聞きました。男の子ってこういう生き物なんです。特に異性であるママの常識では図れない生き物なんです。

当の本人たちは、落ち着きがないと見られている行動を意図的にやっているわけではないから、困ったものですよね。

だから、その子の興味の先を予想しましょう。例えば、うちの子はすぐに高いところに登ります。気づいたら、カウンターテーブルの上や薪ストーブの上に登っています。定期的に“猿”の血が騒ぐようです。

僕は『机から落ちるかもしれない』と常に予想していますから、咄嗟に手が出やすい体勢ができています。それでも予想外が多すぎて顔面のケガは絶えませんが……。本人は『いてっ』と言って泣いていますが、数時間後には忘れて同じことをしています。

何度も言いますが、男の子はそういう生き物なんです。そこをしっかりと割り切ると、けっこう楽になります」

わが子の「落ち着きのなさ」を改善するには?

今津「お調子者、単純、自由、いつも戦っている、乗り物大好き……子供の落ち着きのなさは、改善しようと思っても逆効果だと思います。恐怖で押し付けることもしたくありません。

それでも対応法としてあえて何かを行うとするならば、次の方法がおすすめです」

1.“その瞬間”に注意する

今津「何か注意するとすれば、“その瞬間”でないと効果がないということを理解しましょう。

昨日のことを今日言われても男の子は覚えていませんから、気になったそのときに伝えましょう。言葉はできるだけシンプルに!」

2.顔芸を駆使する

今津「これは保育者がよく使う手なのですが、“顔芸”も効果的です。声を出しにくい場所や場面はよくありますよね。そんなとき、ママやパパの顔を一瞬『不動明王』化させてみてください。

子どもは親の顔をよく見ています。その表情を見て瞬時に『これはよくないことかも』と悟ります。業界では、発表会や卒園式などの、声をなかなか出せない場面での保育者の顔芸は、歌舞伎の役者さん級のレベルです。面白いですよ」

【取材協力】今津 太陽さん

1980年生まれ。社会福祉法人泉新会理事長。元公務員保育士。株式、小規模、社会福祉法人の保育現場を経験。保育の現場の問題を解決することが大好き。全国の園長先生や保育士に話をすることもしばしば。保育のオンラインサロンをnote上で展開中。
『保育の進化論』