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●楽天銀行が上場申請

 7月4日、ネット通販大手の楽天グループは、子会社の楽天銀行を、東京証券取引所に上場申請したと発表した。2021年9月に上場準備の開始を公表。東証プライムに上場する予定だが、今後上場審査などがあるため、上場の可否や時期はまだ確約されたものではないとしている。

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 2022年5月には、同じく楽天G子会社の楽天証券について、上場準備を始めることを発表していた。楽天証券に関しては、2021年9月の楽天銀行の発表時と同様に、今後の検討次第では上場しないという選択肢もあり得るという段階である。

 財務内容が悪化し、株価も下落している楽天にとって、楽天銀行の上場など、グループ再編を切り札として再生できるのだろうか?

●苦境が続く楽天G

 2022年6月に上場来安値を付けるなど、楽天Gの苦境が続いている。

 楽天Gは携帯電話事業の基地局の整備に多額の資金を投じたことが原因で、財務内容が悪化しているとの指摘がある。加入者離れも進んでおり、モバイル事業の赤字も膨らんでいる。

 財務内容の悪化からか、楽天ポイントなどのサービスも変更を余儀なくされており、“楽天経済圏”に陰りが見え始めている。

●楽天銀行上場の狙いは?

 楽天Gは楽天銀行の上場で、「独自の資金調達を含めた様々な成長及び財務戦略を検討することが可能」になるとしている。

 一方で、楽天銀行の上場は単なるモバイル事業の穴埋めのための資金調達という冷ややかな意見もある。

 楽天銀行は、口座数が1000万(2022年1月時点)を超えており、ライバルと目されるPayPay銀行の倍近くあり、ネット銀行のフロントランナー的な存在である。

 2027年3月期までには、現状の2.5倍の2500万口座を目標としており、みずほ銀行や三井住友銀行などメガバンクと同規模まで成長することを目指している。

 メガバンクや地方銀行に比べて、固定費の少ないネット銀行は将来が見込まれる。

 長期的にはフィンテックを活用し、個人の利便性をさらに高めることや、法人向けでも選ばれるようなブランド価値の向上とサービスの展開を目指している。

 楽天Gとしてモバイル事業などの課題は残るが、楽天銀行の成長は収益の大きな柱となるだろう。