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同じ時期に近いエリアで

AUTOCAR JAPANでは2022年5月1日夜に盗難され、その後、茨城県境町にあるスリランカ人経営(親会社)の中古車販売店「ライオントレーディング」の敷地内にとめてあったトラックの中から5月2日発見されたシルバーのマツダRX-7(FD)について、5月4日に報じていた。

【画像】バラバラFD発見時の状態は?【詳しく見る】 全39枚

実はこのとき、もう1台、同じ時期に盗まれた白いRX-7(FD)がほぼ同じ場所でオーナー本人、および一緒に探していた仲間によって発見されていたことが明らかになった。


バラバラの状態で発見されたFD(RX-7)。境警察署内で撮影。

シルバーのFDは鍵穴近辺が破壊されていたものの、外観には大きな損傷はなく「ほぼ無傷」といえる状況だった。

しかし、同じ会社の敷地内で発見された白いFDのほうは、前後を切断され完全にバラされた状態で発見されている。

その後、バラバラにされた白いFDは警察に押収され約1か月半の間、警察署で保管されていた。

このほど、見分が終わってオーナーのところに戻って来たのである。

トラックの中から発見されたシルバーのFDとほぼ同じ場所。

その会社の経営者も駐車場などの所有者も同じであるにもかかわらず、盗んだのは誰なのか? 発見された場所を管理する会社は何と言っているのか? 警察はまだ「捜査中」とのことで、詳しいことは明らかにされていない。

なお、「自動車盗難情報局」によると、バラバラで発見された白いFDを含め、今年4月30日〜5月2日の間に比較的近い範囲で以下の2台のFDが盗難車として登録されていた。

ちなみに、トラックの中から発見されたシルバーのFDも盗まれた場所は埼玉県内であり、また5月1日夜に盗まれたことがGPSの発信記録からわかっているが、自動車盗難情報局に登録をする前に発見されたため情報局への登録はされていない。

1台はバラバラに……

その2台とは以下となる。

千葉で盗まれたFD(マツダRX-7 FD3S)

・盗まれた場所:千葉県佐倉市井野の自宅駐車場
・盗まれた日時:2022年5月1日夜〜5月2日未明
・ナンバー:千葉302ひ715
・車台番号:FD3S-60****
・特徴:ボディカラー白、タイプRZ 純正ホイール装着
・盗難場所の状況:自宅駐車場から持っていかれた
・盗難対策の有無:未記入

埼玉で盗まれたFD(マツダRX-7 FD3S)


画像は千葉で盗難されたFD。今だ有力な情報は得られていないという。

・盗まれた場所:埼玉県さいたま市緑区美園
・盗まれた日時:2022年4月29日13時〜4月30日13時の間
・ナンバー:千葉300ね5233
・車台番号:FD3S-30****
・特徴:テールランプを丸目に交換
・盗難場所の状況:自宅近くのマクドナルドのとなりにある賃貸駐車場で盗まれたことがわかった。ガラスの破片などはなし。
・盗難対策:施錠のみ

なお、千葉で盗まれたFDに関して、オーナーに話を聞いたところ、「気にかけてくださってありがとうございます。盗難されて2か月経ちましたが、何の情報もなく、警察からの連絡もありません。もう完全に諦めついたところです」との丁寧な回答をいただいた。

当時のツイートには以下のような情報もある。

「23時50分頃、仕事帰りに東金市東上宿のモスバーガー付近で不審に住宅地を3周ぐらい走ってたクルマ見かけました。ナンバープレート715は、見えました。一応警察に連絡しました」

ナンバーも同じでおそらくは盗まれたFDそのものだと思われるツイートで期待が持たれたが、結局発見には至らなかった。

バラバラFD 発見時の状況は?

発見された時のことを記しておこう。

話してくれたのは白いFDオーナーの長年の友人で盗難直後から一緒に探していた仲間の1人(Mさん)である。


スリランカ人経営の中古車販売店「ライオントレーディング」の敷地内で見つかったシルバーのFD。

Mさんはトラックの中から発見されたシルバーのFDオーナーの友人とも仲が良く、シルバーのFDを探している時に、GPSによって場所が特定された際、「もしかしたらこの近くに白いFDも一緒にあるのでは?」と考えて外から探していたところ、偶然発見されたという。

「発見された場所は小屋のような納屋? のような場所でした」

「探していたオーナー自らも一緒に確認しています。20年連れ添って走行距離も17万km。エンジンもオーバーホールして手を掛けて、大切に乗り続けてきたクルマだったんですよ」

その大切なFDがバラバラにされた状態で発見された。オーナーの悲しみは想像を絶する。

Mさんは続ける。

「おそらくですが、バラバラにされた白いFDが盗まれたのが4月30日〜5月1日ですから、ほぼ無傷で発見されたシルバーのFDよりも1〜2日早いわけです」

「だから、発見された時にすでに解体されていたのでしょう。そこに、シルバーのFDが入っていたトラックが後で入って来た……。そんなところでしょうね」

「想像ですが、白いFDを盗みに行った帰りにたまたまシルバーのFDを見つけたのかもしれません。そして、『あそこにもあるから、また盗みに行こうぜ』と次の日の夜に盗みに行った可能性が高いと思われます」

「FDの盗難が急増していますが、今回、同時期に3台が盗まれており、3台の場所は比較的近いです。同じ窃盗団によるものと思われます。FD専門に盗みを働き、輸出しているやからがいるんでしょう」

警察はどう動いていた?

シルバーのFDがトラックの中から発見された時点で、バラバラになった白いFDも警察は認識していた。

窃盗団の関係者が現場から白いFDのパーツをどこかに移動したり隠したりしないよう、「現場保存」の目的で警察の24時間監視が始まった。


バラバラの状態で発見されたFD(RX-7)。境警察署内で撮影。

Mさんはその時も現場に足を運んでいる。

「捜索差押許可状を取得して敷地内で捜査をおこなえるようになるまで、監視していたのだと思います」

「門を塞ぐような形で茨城県警のパトカーが停まっており、証拠物件である2台のFDが持ち出されたりしないよう、夜中もずっと監視していましたよ」

「盗難された2台のFDが発見された場所は外国人が経営する中古車販売店です」

「会社名は複数あり、外国人労働者の人材派遣から中古車販売や外国への輸出などいろいろな事業をやっているようです」

「今回の盗難に関しては、『うちは知らない。関係ない。トラックを持ち込んだことに関係していると思われる人も行方が分かっていない』など、『関係ない』を貫いているようですが……。2台ともここで発見されているのですから無関係ではないと思われますが……」

警察によると、「捜査中」の一点張りで詳しいことはもちろん何も教えてはくれない。

昨今は外国人窃盗団による自動車盗が増えており、自動車盗難に関わるニュースを見ていると、日本人もメンバーに入っていることもあるが首謀者は外国籍であることが多い。そしてその国籍も興味深い。

警察白書「来日外国人犯罪の国籍・地域別検挙状況」の「自動車盗」のデータを見てみると、上位は例年、同じ国が占めていることがわかる。

2019年:1位ブラジル、2位スリランカ、3位ロシア
2020年:1位スリランカ、2位ルワンダ、3位ブラジル、4位ウガンダ
2021年:1位ウガンダ、2位ブラジル、3位ベトナム、4位スリランカ

なお、「来日外国人」とは入管法上の在留資格をもってわが国に在留する外国人のうち、永住者、永住者の配偶者など、および特別永住者を除いた者という定義になる。

今回、盗難された2台のFDが見つかった会社はスリランカ国籍の経営者が経営している。

盗難との関係は否定しているが、少なくともその会社の敷地内に盗難されたFD 2台が持ち込まれたことはたしかだ。

1台は解体までされているのだから警察はもっとしっかりと捜査をするべきではないだろうか?

外国人だから、旧車だから、大規模盗難ではないから……そんな理由でどうか見逃さないで欲しい。

なお、バラバラにされた白いFDのオーナーは「ここまでバラバラにされても必ず復活させる!」と、ロータリー車の専門店でFD復活の作業を開始している。