21年10月から8か月間に渡る、運用改善の結果は

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■短期集中連載「SNS改革」(最終回)

SNSマーケティング支援を手掛けるテテマーチ(東京都目黒区)の力を借り、J-CASTトレンド(以下、トレンド)公式ツイッターアカウントを改革する様子を数回に分けて伝える本連載。

第4回は、同社のふくままさひろさんから「URL付きツイートが、タイムラインに表示されにくい仕様になっている」可能性を指摘され、記事投稿を中心に見直した。結果、記事は原則として、「スクリーンショットをツイートに添付して紹介する」形式に変更した。ツイートから得られるPV数より、インプレッション(ツイートの表示回数)を重視し、アカウントの存在や取り組みを知ってもらうためだ。2022年5月16日〜31日の半月、URLを載せないよう徹底して「最後の運用改善」に励んだ。

インプレッション数が1.5倍に

記事ツイートは、(1)担当記者による説明文、(2)見出し、(3)スクリーンショット、の3要素で構成した。従来は、(1)担当記者による説明文、(2)見出し、(3)URL、だった。

記事をスクリーンショットし、添付する手間が新たに増えたため、各記者が独自に行っていた企画ツイートは一旦休止とした。

投稿間隔が短いと、ユーザーのタイムラインは「前のツイートが表示される前に、新しいツイートが流れてくる」状態になり、自アカウントからの発信同士でかき消し合うことになる。そこで、平日は朝(7時)、昼(12時)、夜(20時)の三枠で記事を紹介。14〜16時には、交流を目的としたオリジナル投稿をメインに、記事を取り上げる場合もあった。

記事ツイートは、オリジナル投稿より「いいね」「RT」を得にくい傾向があるが、エンゲージメント(ツイートへのリアクション)が全体的に増した肌感があった。テテマーチ社のふくまさんに、5月16日〜31日と、運用改善前(5月1日〜5月15日)のツイートアナリティクスデータを分析・比較してもらったところ......。

ふくまさん「スクリーンショットで記事紹介する前と比べ、インプレッション数が約1.5倍になりました。『記事を見てもらうための入口を広げる』作戦は成功ですね」

想定通り、以前より多くの人にツイートが届いたと言える。運用前後での条件の違いは、 記事ツイートにおける「URLと画像の有無」だけで、あとはほぼ同じだ。RTを多数獲得しやすい、プレゼントキャンペーンも実施していない。

記者「スクリーンショットを、スマートフォンで見やすいサイズにするよう工夫しました。ツイッターを、スマホから見る人が多いと思ったからです」
ふくまさん「よいと思います。画像は複数のほうが『画像クリック』増につながり、エンゲージメントも得られますが、ユーザーに見づらさを感じさせては本末転倒です。臨機応変に、ですね」

PDCAサイクルを回し続ける

ただ、ふくまさん曰く「ツイッターにおける『必勝パターン』は、ない」。そこで、以下が重要になる。

(1)目的、アカウントに応じた運用を常に模索する
(2)「失敗してもいいから、やってみよう」と、積極的に新しい取り組みを実行する
(3)運用から得られたデータの分析、検証をこまめに繰り返す

(2)は、故意に見る人を不快にさせたり、炎上リスクがある行動を取ったりするのを勧めるものでは全くない。

J-CASTトレンドで言えば、記事の要点を画像に落とし込んでツイートしていたが、データから「労力に見合った反響がない」とわかった。これだけ見れば「失敗」かもしれないが、集まったデータを踏まえ、スクリーンショット投稿を試してはどうだろう、と次なる挑戦につなげられた。

結果、一定の成果を収めたが、今後「ずっと、記事をスクリーンショットで投稿し続ければよい」とも限らない。簡易的な調査ではあるが、J-CASTトレンドが「記事をURLでなく、スクリーンショットで紹介するようになった」のをどう思うか、フォロワーに投票を募った。すると、3割は「画像の方が読みやすい」と答えたが、「URLの方がよい」とした人も23%いた。現行のツイートでは、全てのニーズに応えきれない。

ふくまさんは「スクリーンショットでの記事紹介は継続。さらにURLをツリーで投稿した場合、伸び方がどうなるのか検証する」手を勧める。常に、より良い形を模索し続ける姿勢が必要だ。

二つの悩みが解決

2021年10月にスタートした、本連載。第一回での「悩み」はこうだった。

(1):アカウントに、単なる「メディアアカウント」以上の個性がない
(2):後継者問題

(1)は、メインで運用に当たる担当者(本稿執筆者)に加え、同じ編集部の記者2人がそれぞれ「独自企画を立て、平日にツイートする」体制をつくった。フォロワーとの交流機会を多く持つことができ、記事投稿するだけのメディアアカウントでいるより、読者との距離を縮められた手応えがある。

これにより、複数人が運用に携わる流れも生まれた。記事ツイートのみしていた記者たちが、オリジナル投稿やリプライ対応を通じ、説明が難しい「ツイッターの独特の空気感」に慣れたことが、財産になった。「チーム」でアカウントを管理すれば、誰かが不測の事態で運用から離れても、更新を滞らせずに済む。後継者問題の解消にもつながるだろう。

さらに、主力の武器である「記事ツイート」を、より多くのユーザーに届けられる「スクリーンショット」施策を編み出し、インプレッション増を果たした。社外のSNSのプロの意見を取り入れなければ、成し得なかったことだ。URLをツイートからなくせば、サイトへの導線は断たれるが、掲げる運用目的は「ニュースサイトの認知度向上」であり、PV獲得ではない。まさしく、思い描いた通りの「改革」ができた。

▼ふくま まさひろ1990年生まれ。学生時代、クラブイベントやファッションショーの運営を経験。大学卒業後、2社を経てテテマーチ株式会社に入社。
同社にて、企業のSNSコミュニケーションの企画提案、及び自社のマーケティング企画等を兼務。アドテック東京2019・2020公式スピーカー、個人の活動としては、20代のマーケターイベントの企画や、chill outをコンセプトにした200人規模のイベント等を開催している。趣味は囲碁とファッションとツイッター。