銀河が結んだ宇宙のリボン。ハッブルが撮影した“オリオン座”の不思議な銀河

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【▲ ハッブル宇宙望遠鏡を使って撮影された銀河「CGCG 396-2」(Credit: ESA/Hubble & NASA, W. Keel)】


こちらは「オリオン座」の方向約5億2000万光年先にある銀河「CGCG 396-2」の画像です。


画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、CGCG 396-2は銀河どうしが合体して1つになる銀河合体によって形成された銀河だといいます。湾曲した幾つもの腕が複雑な構造を作り出しているCGCG 396-2の姿は、まるで宇宙に出現した巨大なリボンのようにも見えます。


CGCG 396-2は市民参加型の天文学プロジェクト「Galaxy Zoo」で発見された銀河の一つです。10万人以上のボランティアが参加したGalaxy Zooでは、未調査の銀河90万個が分類されました。プロの天文学者が何年も費やした可能性がある作業を、ボランティアたちはわずか175日間で達成したといいます。


ESAによれば、Galaxy Zooプロジェクトでは相互作用銀河をはじめ、風変わりで素晴らしいタイプの銀河が幾つも見つかっており、その一部はこれまで研究されたことがなかったといいます。そこで、Galaxy Zooは「ハッブル」宇宙望遠鏡による追加観測の対象を選ぶための投票を2018年に実施。一般市民から約1万8000票が投じられた結果、CGCG 396-2を含む300個の銀河が選ばれました。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡に搭載されているカメラ「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と、地上の望遠鏡による掃天観測プロジェクト「スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)」による光学観測データをもとに作成されたもので、ESAから2022年7月4日付で公開されています。


 


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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, W. KeelESA/Hubble - Hubble Spies a Galactic Gem

文/松村武宏