このまま節電要請が当たり前になる?(写真はイメージ)

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政府は2022年7月1日から、9月30日まで節電への協力を呼びかけている。数値目標は設けていない。6月27日〜30日にも東京電力管内で電力需給ひっ迫注意報が発令され、解除後も節電要請が続いている格好だ。

2021年の冬シーズンにも、電力の供給状況が「過去10年間で最も厳しい見通し」になっているとして、「効率的な電力の使用(省エネ)」への協力が呼びかけられた。2022年でもこのまま夏シーズンが過ぎても、冬に再び節電要請が出される可能性がある。

ロシアによる燃料供給どうなる

21年10月には、同年度冬季には電力需給が「かなり厳しい見通し」になっていると政府は説明。電気事業者に対しては、供給対策・市場対策に関する要請を実施するとともに、利用者側については節電要請は行わないものの、無理のない範囲での「省エネ」への協力を呼びかけた。

資源エネルギー庁サイトによると、2022年夏の電力需給は、全国で瞬間的な需要変動に対応するために必要とされる「予備率3%以上」を確保しているものの、やはり「厳しい見通し」だ。大規模な発電所のトラブルが発生した場合、安定供給ができない可能性があるという。太陽光発電の出力が減少し、電力需給が厳しくなる傾向にある17時〜20時ごろには特に節電に協力するよう呼びかけた。

6月7日に政府が実施した「電力需給に関する検討会合」の資料でも、ウクライナ侵攻により、「エネルギーを取り巻く情勢は一変」したと説明されている。火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの価格が高騰しており、燃料の安定調達を確保できないリスクが高まっている。さらに、ロシア産 LNG の供給が途絶するリスクもかつてなく高まっており、エネルギーの安定供給は予断を許さない状況にあるとしている

ロシアを発端としたエネルギー不安をめぐる報道は最近も伝えられている。22年7月1日付朝日新聞デジタル(電子版)によると、ロシアのプーチン大統領は極東資源開発プロジェクト「サハリン2」について、運営会社の資産を新会社に移す大統領令に署名した。

同記事によると、大統領令の詳細は不明。ただ、日本は火力発電の燃料となるLNG輸入の8・8%(2021年)をロシアに依存しており、その大部分がサハリン2なのだという。「仮に供給がストップすれば、国内のエネルギーの安定供給に大きな影響が出る」と記事では指摘している。

予備率「マイナス」の見通し

また6月7日に政府が実施した「電力需給に関する検討会合」によると、22年冬の電力需給は「2012 年度以降で最も厳しい見通し」。23年1月には東京で「予備率」マイナス0.6%、2月にマイナス0.5%を予想しており、夏よりも厳しい見通しだ。

電力需要の増加リスクや、ウクライナ侵攻による燃料調達のリスクの高まりから、「数値目標付きの節電協力要請の必要性など、夏季以上に講ずるべき需要対策の検討を開始する」としている。

「環境エネルギー政策研究所」公式サイトの2022年4月4日付記事によれば、21年の日本における太陽光発電の年間の発電電力量の割合は推計で9.3%。前年の8.5%から増加している。プレジデントオンラインの6月20日記事によると、太陽光発電は日照量や日照時間に発電量は大きく左右され、「曇りの日が多い冬場には発電量は極端に落ちる」。夏・冬の電力不安が常態化し、冬場においても節電要請が政府から出されないかが気がかりだ。