松坂大輔、筒香嘉智ら…横浜高校歴代ベストナインを名参謀・小倉清一郎が選出。「化け物だと思った唯一の人物」は?
甲子園春夏合わせて5度の全国制覇を成し遂げた名門・横浜高校野球部の監督・部長を歴任し、数多くのプロ野球選手を輩出してきた小倉清一郎氏。横浜高校野球部の生き字引とも言える小倉氏に、教え子のなかから「歴代ベストナイン」を選んでもらった。
横浜高校時代、3年間で69本塁打を放った筒香嘉智
ピッチャー:松坂大輔(元西武ほか)
横浜の歴代エースからひとりを選ぶなんてできないが、甲子園春夏連覇の実績で松坂にした。松坂はボールこそ速かったが、コントロールもよくなかったし、入学当初はそこまですごい投手ではなかった。ただ、松坂は体力があった。教え子のなかでも相当鍛えたひとりであることは間違いない。もちろん、愛甲猛(元ロッテほか)や成瀬善久(元ロッテほか)、涌井秀章(楽天)など、思い出深い投手はたくさんいるが、今回は甲子園の活躍ということも含めて松坂にした。
キャッチャー:吉田博之(元南海ほか)
福田永将(中日)や近藤健介(日本ハム)もいい選手だったが、捕手は吉田博之(元南海ほか)だ。本職はショートだったが、愛甲のストレートをまともに受けられるのは吉田しかおらずコンバートした。慣れないポジションでもしっかりこなし、センスのよさが光る選手だった。バッティングもよく、甲子園で本塁打を放ったのも印象に残っている。
ファースト:筒香嘉智(パイレーツ)
高校時代はおもにサードを守っていたが、ファーストは筒香嘉智だ。とにかく長打力があって、ミート力も抜群だった。またスイッチヒッターをやっていたこともあり、両打席でホームランを打てる技術を持っていた。化け物だと思った唯一の素材が筒香だ。
愛甲猛とともに1年夏から甲子園出場を果たした安西健二
セカンド:安西健二(元巨人)
セカンドは愛甲とともに1年生から甲子園の土を踏んだ安西健二だ。身長166センチと小柄な選手だったが、俊足・巧打の1番打者として活躍してくれた。甲子園でホームランを放つなどパンチ力もあり、センスに溢れた選手だった。プロ(巨人)では結果を残せなかったが、セカンドは安西がナンバーワンだ。
サード:後藤武敏(元西武ほか)
横浜からドラフト1位で指名された紀田彰一もいい選手だったが、高校時代のイメージは控えめだった。長打力と勝負強さで後藤武敏を選びたい。高校1年からベンチ入りしただけあって、素質のよさが光っていた。高校3年の時は腰のケガもあったが、甲子園春夏連覇に貢献。進学した法政大では三冠王を獲ったように、バッティングが魅力の選手だった。
ショート:阿部真宏(元近鉄ほか)
横浜のショートは、プロには進まなかったが超高校級の選手が何人もいた。たとえば、平馬淳や松本幸一郎などがそうだ。彼らも忘れられないプレーヤーだった。ただ、高校時代の活躍なら阿部真宏が一番だ。スラッガータイプではなかったが勝負強く、守備も安定感があり、頼りになる選手だった。
松坂大輔らとともに1998年に甲子園春夏連覇を達成した小池正晃
レフト:斉藤宜之(元巨人ほか)
中学時代から評判の選手で、1年春からレギュラーとして試合に出ていた。シュアなバッティングが印象的で、ツボにくれば一発もあった。紀田彰一、多村仁(元横浜ほか)らとクリーンアップを組んでいたが、高校時代のバッティングは斉藤が一番よかった。
センター:荒波翔(元横浜)
荒波も斉藤同様、1年春からレギュラーになった選手で、スピード感のある選手だった。1年夏の甲子園では1番・センターとしてチームのベスト4入に貢献してくれた。堂々としたプレーぶりは鮮明に覚えている。守備範囲も広く、こういう選手がひとりいてくれるとチームは助かる。
ライト:小池正晃(元横浜ほか)
ライトは多村仁や佐藤賢治(元ロッテほか)といった選手もいたが、高校時代の実績なら小池だろう。彼も中学時代から評判の選手で、速さと強さを兼ね備えていた。松坂らとともに甲子園春夏連覇を果たすわけだが、攻守に高いレベルのプレーでチームの勝利に貢献してくれた。
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今回はあえて9人を挙げさせてもらったが、みんなオレのかわいい教え子であることに変わりはない。だから、みんなそれぞれに思い入れがあるし、よく厳しい練習についてきてくれたと思っている。それに多村のようにプロ入り後に急成長を遂げた選手もいて、指導者として本当にうれしい限りだ。