YouTubeなどが小学生にも人気の「論破王」こと、ひろゆきさん。雑誌『プレジデンFamily』に寄せられた「ウチの子は勉強しないで、ゲームばかりしている」といった親の悩みに対して、「優等生より問題児に育てよう」と回答した――(前編/全2回)。

※本稿は、『プレジデントFamily2022年夏号』の一部を再編集したものです。

写真=『プレジデントFamily2022年夏号』より

■Q 子供が自分から勉強をしません。自ら勉強したくなるいい方法はありますか?

A 漢字は漫画で、計算はお小遣いで

子供がやりたくないことをやらせること自体は、アメとムチを用いればできると思いますが、モチベーションの維持が難しい。一時的にやらせることができたとしても、学年が上がればアメとムチを使った手段は通用しなくなります。

子供に勉強をさせたいなら、必然性をつくるのがいいと思います。僕たち大人だって、外国語やプログラミングをいきなり「やれ」と言われてもやる気なんて出ませんよね。

例えば、漢字を学習させたいんだったら漫画を読ませればいいんです。親御さんも教科書より「週刊少年ジャンプ」や「なかよし」などの漫画を読んで漢字を覚えませんでしたか? 読み進めるうちに漢字を自然と覚えていきますし、ストーリー上、重要なセリフに知らない漢字が出てきたら自分で調べるかもしれません。

漢字だけでなく三国志や戦国時代、フランス革命などの歴史も漫画から学べます。

計算を教えるのであれば、お小遣いを与えて、自分で買い物をさせるといいと思います。「これとこれを買うには○○円足りないよね」と足し算や引き算を、高価なものを買うなら「お小遣い○カ月分だな」と掛け算や割り算を自然にするようになります。

僕の友達は、子供のお小遣いに利子をつけているそうです。お小遣いを一定期間預けておくと○%増える、みたいな。買いたいものがあるならお小遣いをどれくらい預けておけば買えるか、という複雑な計算を子供が自らするようになるそうですよ。

ちなみに自分が小中学生のときは学校の宿題をやる意味がよくわからず、まったくやりませんでした。本はよく読んでいたので漢字は読めましたし言葉の意味などもわかっていましたから。宿題をやってこないことで毎日先生に怒られていましたが、怒られることがわかっていても宿題をする気にはならなかったんですよね。

あの当時、やっておいたほうがよかったと後悔したことはありません。無理してやっても定着しなかったでしょうから。

■Q うちの子は夢中になっているものがありません。興味のあることを見つけてやる方法はありますか?

A テレビやスマホを取り上げて、暇にさせましょう。

西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)

子供がやりたいことを見つけられないのって、なんとなくテレビがついていたり、スマホやゲーム機をダラダラいじっていたりと中途半端に刺激が与えられてしまっているからではないでしょうか。外から刺激が与えられるなら、自分から何かをしようとはしないものです。

テレビやスマホやゲーム機を与えず、暇な状態にするのがいいと思いますよ。「部屋でゴロゴロしていなさい」と言われて、何もせずにゴロゴロし続けられる子っていないと思うんですよ。刺激がなければ、きっと何か興味あるものを探し始めるはずです。

子供の興味の対象が、勉強につながることでなくてもいいと思うんですよね。僕は暇だったので、3歳くらいから小5まで、トカゲを捕まえるのに夢中でした。東京都北区赤羽に住んでいたので、トカゲと遭遇するのって結構難しいんですけど、行動パターンと居場所などを日々研究していました。トカゲは変温動物だから、午前中は日当たりのいいコンクリートの上にいることが多いんです。当時はトカゲが人間に見つかったときにどっちに逃げるかといったことも把握していました。

写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

トカゲ捕獲も子供ながら試行錯誤をし、失敗を繰り返してどんどん捕まえるのがうまくなっていきました。あの時、仮説を立てて、考えて、試してと試行錯誤をしながら正解を見つけていった経験が、後にインターネットのサービスを開発することに活きたと思います。何かに夢中になって突き詰めて考えた経験って、別分野でも使えるんですよね。

■Q うちの子はゲームオタクでアイドルの追っかけに夢中です。放っておいても大丈夫でしょうか?

A 役立ちそうなものに誘導しても、子供は大成しません

学力だけが将来役に立つものだと思っていませんか? 学校教育や塾で学んだことが世の中で役立つことはあまりありませんよね?

『プレジデントFamily2022年夏号』

個人的には将来役に立つ教科は、家庭科や保健体育、図工のような実技系だと思います。家庭科は料理や洗濯を学べますし、保健体育で健康について学べます。自分の生活を健康的に維持する能力はどんなキャリアを歩んでもついて回りますよね。図工はものづくりに直結します。僕のまわりをみると、成功するのは理系でものづくりができる人が多いんですよ。

僕が親なら子供を、“ユニークでオリジナリティーがある子”に育てたいですね。僕はトカゲに夢中になっていましたし、興味の対象はゲームでもアイドルでも何でもいいと思いますよ。

日本の教育現場では「問題を起こさない子が良い子」とされていますが、欧米なら記憶に残らないつまらない子で終わってしまいます。教師から多少目を付けられるような子のほうが個性豊かでユニークな子だとポジティブに見られます。

僕がいいなと思ったのは、とある海外の女性起業家がやっていた育て方です。毎日子供と夕食を取るときに“今日やった失敗”を報告させるようにしていたそうです。

普通に生きていたら毎日失敗することはできませんよね。だから失敗をする可能性があることにチャレンジするようになるそうなんです。いろいろなことにチャレンジしているうちに、経験が増え、ユニークな子に育つというわけです。

親としては人生で失敗しないようにと興味の対象を受験勉強やプログラミングなど将来役立ちそうなものに導きたいかもしれませんが、子供が興味のあることを突き詰めさせたほうがユニークで、これからの時代に活躍できる子になると思いますよ。

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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は150万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)など。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき 文=土居雅美 撮影=松永学)