この記事をまとめると

■近年、クルマの高性能化と重量増によってブレーキの重要性が増している

■ブレーキにはその機構によってディスク、ドラム、回生の3つに分類することができる

■それぞれにメリット・デメリットがあるため使い分けがされている

止まるためにはなくてはならないクルマでもっとも重要なパーツ

 近年、クルマはどんどん速くなり、装備や安全性などの兼ね合いで、車体もどんどん重くなってきた。そして、その速くて重たい車体を止めるため、ブレーキの重要性は増してきている。

 そのブレーキだが、どのぐらいの種類があるかご存じだろうか? 大別すると現在主流のディスクブレーキの他、ドラムブレーキとEVやハイブリッド車の回生ブレーキの3種類がある。

 ディスクブレーキは、回転するディスクにブレーキパッドを押し付け、クルマのスピード=運動エネルギーをその摩擦によって、熱エネルギーに変換するシステム。メリットは放熱性がよく、制動力の安定性に優れていること。

 ドラムブレーキは、車輪とともに回転するブレーキドラムの内側に、ブレーキシューを押しつけることによって、運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、減速させる仕組み。制動力だけでいえば、ディスクブレーキ以上のものがあるが、熱がたまりやすく、圧着力が高まるにつれ急激に摩擦力が増すなど、安定性には乏しい。

 回生ブレーキは、減速時にタイヤの回転力でモーターを回すことで、運動エネルギーを電気として回収するシステムで、自転車のライトのリムダイナモの抵抗と原理は同じ。

 また、ディスクブレーキのキャリパーにも、片押し式(鉄製)と対向型(アルミ製)があり、対向型はピストンの数で4ポット、6ポットなどと呼ばれる。通常の対向型キャリパーは左右ふたつの部品を組み合わせる2ピースタイプだが、レース車両や高性能車には、一体成形で継ぎ目のない、高剛性のモノブロックキャリパーも使われている。

素材も機構もいろいろあるディスクブレーキ

 さらにローターにもいくつか種類がある。一番オーソドックスなのは、ツルッとした一枚の円盤のソリッドディスク。二枚のディスクを合わせて、その間にフィンを設けて、空気が流れるスペースを作り、放熱性を高めたのはベンチレーテッドディスク。

 また、ローター表面に穴が空けられているのはドリルドローター、溝が切られているタイプはスリットローターと呼ばれている。

 ローターに穴や溝があることで、摩擦係数が高くなり、初期制動が向上したり、制動時にパッドから発生するガスを逃がしやすくする効果がある。加えて、穴や溝があることで、パッドの表面をきれいに整え(削る)、ブレーキのタッチが向上し制動力もアップする。

 その反面、ローターにクラックが入りやすくなり、パッドの摩耗が早く、ブレーキダストでホイール等も汚れやすくなるデメリットも……。

 その他、モータースポーツ用のローターでは、ディスクがインナーとアウターの2ピース構造になっているフローティングディスクタイプもある。2ピース化するメリットは、まずインナーとアウターで素材を変えられること。アウターは強度と耐摩耗性が重要なので鋳鉄にし、インナーはアルミで軽量化。そして、アウターの熱膨張をフローティング部分で吸収し、インナーローターやハブベアリング、ホイールへの熱の影響を最小限に押さえられるのも大きなメリット。熱による歪みが吸収されることで、パッドとローターもより平面であたりやすい。

 素材の話でいえば、一般的なローターは鋳鉄製だが、ポルシェやフェラーリなどは、軽量でなおかつ熱容量の大きいカーボンセラミックブレーキなどを採用している。カーボンセラミックブレーキは、鋳鉄ローターよりも50%も軽く、強度、形状安定性、耐久性ともに、鋳鉄ローターを上まわる。おまけにセラミック素材は腐食に強く、制動時の騒音抑制にも効果的。しかし、非常に高価でブレーキシステムだけで130万円〜500万円ものコストが……。

 ちなみにブレーキ関係では、パッドやフルードだけでなく、ローターも消耗品。新品時からローターの厚さがおよそ2mm(フロント/リヤは1〜1.5mm)減ったら交換時期。ローターの外周に、「MIN TH 22mm」などと摩耗限界値(Min Thickness)が刻印されているので、定期的に摩耗具合をチェックして、使いきらないうちに交換しよう。